嘘つきは泥棒の始まり 【子ども目線】🔥4
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これは、子どもだった私の見ていた世界の話です。
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ノートを開いた瞬間、頭の中が真っ白になった。
「やってない。どうしよう」
まずそれが来る。
次に来るのは、胸の奥を一気に締めつける“焦り”。
心臓の音が、耳の中でドクドク響く。
怒られるところまで想像がいかない。
怒られる“前の段階の怖さ”でいっぱいになる。
頭の中が狭くなって、ほかのことが考えられなくなる。
悪いとか、良くないとか、ズルだとか——
そんな考えは一ミリも浮かばなかった。
ただ、
「怒られるのが嫌」
「こわい」
「今ここをなんとかしないと」
それしかない。
ノートの隅の古い日付を見つけると、
そこだけが“助けてくれる逃げ道”みたいに見えた。
考えるというより、反射だった。
指先が勝手に動いた。
震えているのに、早かった。
鉛筆が紙に触れる音だけが、やけに大きく聞こえた。
日付を消して、書き換える。
その間、何も感じなかった。
心は空っぽ。
「やらなきゃ」が先に立って、頭の中の全部を押しのけた。
書き終わった瞬間も、安心はなかった。
「よし、怒られない」とか
「バレなきゃいい」とか
そんな計算もない。
ただ、嵐の中で息を一回吸えたみたいに、
“とりあえず次へ進める”という感覚だけ。
自分を責める気持ちもなかった。
後悔もない。
反省なんてもっとない。
でも、誇らしさもまったくなかった。
これは嘘じゃなくて、
“生き延びるための処理”だった。
とにかく、怖いのを避けたかった。
怒られるのが嫌だった。
それだけだった。
日付を書き換えたページは、すぐに親に見つかった。
だって、日付欄だけが真っ黒だった。
消して書いて、また消して書いて——
焦れば焦るほど、かえって痕跡がくっきり残った。
ノートを見た親の顔が変わった瞬間、
背中からざぁっと冷たい水をかけられたような感覚が走る。
親は、何か色々言っていた。
ただ、
「勉強しないより、誤魔化すほうが悪い」
「嘘をつくのが一番悪い」
「どれだけ悪いか、教えてやる」
その言葉だけが、何度も、何度も頭の中で回り続けた。
でも、私は動揺しても、逃げても、止まることはできなかった。
ただ、次のページに鉛筆を走らせるしかなかった。

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