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終末期の独居は実現できるか

母の退院が近づいている。癌の終末期に独居は可能なのだろうか。母の場合は、完全な独居とはならないが、日中は自宅で一人で過ごさねばならないし、夜間は弟(母から見ると息子)と二人きりだ。私は週に2~3日なら母のために割くことができる。終末期の独居は、何が問題で、どのように準備すべきか、母のニーズをもとにして具体的に考えてみた。

訪問介護・訪問看護

母は、自宅にひとりでいることを不安がっている。症状が安定せず、病状の急変も考えられるため、家族としても心配だ。安心して過ごせるためには、常に人の目が届いていることが望ましい。

ただ、現状では、母は一人で入浴できるし、トイレにも行ける。要介護認定を受けたとしても、要支援1に該当するかどうかという段階だ。そうすると、介護保険を利用して頻繁に訪問してもらうのは難しそうだ。

精神病院に入院するまでは、介護保険は利用せず、健康保険の訪問看護を利用していた。癌の終末期ということで、制度上毎日3回までの訪問が可能であり、朝夕2回の訪問看護を受けて健康チェックなどを受けていた(残り1回分は緊急時に備えて空けておいた)。当面はこちらを継続するのが今の母のニーズに合っていそうだ。

見守り

朝夕に訪問看護を受けるとしても、それ以外の時間は一人で過ごすことになる。それから、訪問看護ステーションのシフトの関係で、週末は一日に1回しか訪問が受けられない。また、夜間は弟が在宅しているとはいえ、寝室が別のため、何かあっても気づいてもらえない可能性がある。母は、こういうことをとても不安がっている。

今は母の携帯電話に訪問看護ステーションの番号を登録していて、電話をかければ24時間対応してもらえる状態にはなっている。それでも、看護師さんの到着までは時間がかかるし、手元がおぼつかないとか、動転しているとかで、自分で助けを求めることさえできないことが出てくるかもしれない。

携帯電話のみでは不安なため、家庭用のナースコールを用意することにした。これは、病院のものと使い方は似ていて、患者がボタンを押すと、介護者の部屋にあるスピーカーとか、介護者のスマホにつながるというもので、色々なタイプがあるようだ。

それでも見守りに空白時間ができてしまう。その間、母がひとりに耐えられないなら、自費の介護サービスで空白を埋めるしかなさそうだ。

介護用品の調達

介護ベッドとか手すりとか、早めに動き出した方がよさそうだ。物の選定とか、自治体の制度利用などについては、地元の訪問介護事業所に相談すればいい。要介護認定を受けない段階でも、自費で手配するのを手伝ってくれるということだった。

食事

母は、体力が落ちて自分で調理をすることが困難になっている。果物を切ったり、ご飯を電子レンジで温めたりするくらいしかできなさそうだ。

以前に宅配弁当を試したことがある。冷蔵品を電子レンジで温めるタイプのもので、何度か一緒に食べてみた。小さなおかずが5種類もあって、味付けも悪くはないが、冷凍野菜や乾物を多用しているようで、あるときなどは、ひじきの煮物と昆布の佃煮と漬物が同時に入っていたりして、続けて食べるには厳しい内容だった。

冷凍弁当も試したことがあるが、こちらも、なかなか続けて食べる気がしないクオリティだった。こういったものは値段に照らすとあまり期待しない方が良いと感じた。

ウーバーイーツも考えてみたが、田舎では大手レストランチェーンの商品が中心で、高齢者が日常的に利用するには不向きなうえ、配送料が高くつきすぎる。

同居の弟は炊飯はできる。仕事帰りにサラダや弁当などを買って帰る余裕もある。但し、彼に任せていると、白飯にレトルトカレーか弁当か、ということになりそうだ。食が細っている母には難しそうだ。私が作り置きをするにしても限界がある。母の体調に合わせて食事内容を柔軟に変えていく必要があるところが難しい。弟がどこまで調理できるようになるかが鍵になりそうだ。どこまでコミットする気があるのか話してみる必要がある。弟が無理な部分は、自費の介護サービスで補うことになりそうだ。

将来的には食事の介助や服薬の管理まで必要になってくるだろうが、これは今すぐの課題ではないので、追々検討していくことにする。

料理以外の家事

洗濯、買い物、ゴミ出しは弟がメインでやっている。掃除は私が帰ったときにすればいい。母の丹精込めた庭の世話は、水やり程度で勘弁してもらうしかなかろうか。食事以外のことはクリアできるように思う。

各種事務手続き

主治医との治療方針の打ち合わせとか、診察の予約とか、訪問看護・訪問介護の手配とか、各種の支払いとか申請とか。
母は、今、4件の病院のお世話になっている。放射線科、精神科、内科、眼科。通院が無理な時は、往診を手配したり、本人に代わって薬をもらいに行ったりも必要だ。
今のところ、実際に窓口に出向く必要がある事柄は少なく、主に電話と手紙で何とかなっている。

入通院の補助・付き添い

入通院時には、車を使っての送迎が必要になる。診察時は同席して病状や治療方針を聞く必要があるし、入院時には持込品の準備や書類手続きをしなければならない。入院後も、物品の差し入れとか、主治医からの病状説明とか、面会とか、やるべきことは色々とある。

入浴、トイレ、嘔吐したときなど

入浴とトイレは、今は自分でできている。将来的には介助が必要になる可能性がある。どういう方策があるか、早い段階で訪問介護事業所に相談しておきたい。
それから、トイレで衣類を汚したとか、嘔吐したなどの場合に、自分で着替えたり、汚物を処理したりすることが困難になるだろう。母は、男性の弟にこれらの処理をしてもらうことに抵抗を持っている。自費介護サービスでの見守りをお願いしておけば、こういうときにも対応してもらえそうだ。

寄り添い

母のメンタルはかなり弱っている。いつも不安だし、寂しいと言っている。寄り添いが最も母の必要としていることなのかもしれない。私は、週に2~3日は帰省して一緒に過ごすことはできるが、その程度で大丈夫だろうか。


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書き出してみる過程で、いろいろなことに気が付いた。問題点を分解して文字化しながら検討していくと、思考が及んでいなかった部分や、考えの矛盾がいくつもあることが分かってきた。

公的制度では、どうしても空白部分ができてしまう。かといって、家族が全ての空白を埋めることはできない。母が不安がるのも当たり前だ。私は、「キーパーソン」などと呼ばれているくせに、当事者になり切っていなかった。

空白の部分を自費のサービスで埋められるかどうかが、ポイントになりそうだが、こちらは我が家の財政面からの検討が必要になるだろう。

そして忘れてはならないことは、今私が考えているような方法を母が望むかどうかということだ。家族に都合がいい事柄、家族が安心できる事柄が、母の希望と一致するとは限らない。良かれと思って準備した事柄が、思った通りに実生活にマッチするとも限らない。母からのフィードバックを受けながら、そして実際に運用しながら見直しを続けて、母にとってより心地よい生活を実現していきたい。


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