「カミングアウト」をする勇気
はじめに
この記事は、
何か特殊なセクシャリティ(セクシュアリティ)を持っていて、もしかしたらセクシュアル・マイノリティかもしれないと疑っている貴方、
そうだと自認して、これから勇気を出してそのことを言おう(=カミングアウトしよう)と思われている方、あるいは、言おうかどうか迷われている方、
そういった方々に対してカミングアウト経験者の私から何か参考になればと思って書きました。
ロマンティック・セクシャルを調べること
最初誰に伝えたのか
カミングアウトするにあたって緊張したかどうか
それをどうやって乗り越えたか
そのあたりを示してお伝えできたらなと思っております。
一応言っておきますと、誰かに打ち明けたり、公表したりするのは決して必須ではありませんし、他人から強制されるべきものでもないです。ですから、「このまま隠し通す」という生き方も一つの選択肢です。
ただ、もし長生きしようと思っている場合に、ずっと誰にも言えないまま生きるというのは結構辛いものではないかなと思います。
今は、LGBT-Q+の認知度も少しずつ少しずつ上がってきて、多様性の時代です。調べてみればきっと、「性」に関して自分と同じような価値観を持った人たちがいることを知ります。きっとあなたは一人じゃない。
吐き出してみたら意外と楽になるっていうこともあります。意外と温かい反応がもらえるかもしれません。もし良ければ「打ち明けてみる」「カミングアウトしてみる」、ちょっとだけその勇気を出してみる、ということも一度検討してみませんか…?
もちろん、カミングアウトをすれば、きっとその瞬間から「普通の人間」ではないという見方をされるとは思います。でも「普通の人間」がそんなに偉いでしょうか? それにどうしても合わせなければいけないでしょうか?
人はそれぞれ違っていて良くないですか?
大丈夫。カミングアウトしても死にません。
とは言っても、カミングアウトはやはり緊張しますので、是非以下をご覧いただいて、どうやって乗り越えればいいか、その参考になれば幸いです。
自分のセクシャリティを調べる・知る
私は先日、LGBT-QIAの「A」=「アセクシャル(アセクシュアル)」や「性嫌悪」などであることを自認の上カミングアウトしました。
ただ、実はそういった言葉・用語を知ったのはカミングアウトの1, 2ヶ月くらい前とかなり直前で、自分にはそういう特徴・価値観があることは自認していながらも長らく知らなくて、正直不勉強を恥じました…。
ですから、セクシュアル・マイノリティかどうかご自身の中で確定していない方、恋愛や性の分野で何か他人とのズレを感じる方には、カミングアウトの前にまず、
「セクシャリティ」を知る
用語を調べて自身にラベリング(ラベル貼り)をする
という作業をしていただければと思います。
「自分は "性" に関してこういう特徴がある」ということをカミングアウトするにあたっては、用語が断然効果的でわかりやすいです。一言で伝えられるし、言われた相手は気になれば自分で調べるはずなので説明の手間も省けます。例えば「L(レズ)」とか「G(ゲイ)」とかって言えば、同性愛者で恋愛や性愛の対象もすぐ伝えられますよね!
なので、
恋愛観(○○ロマンティック)
性的指向(○○セクシャル)
LGBTの系列(他にもQIAなど様々)
この3つの項目について、自分がどれに当てはまるのか(LGBT系は当てはまるものがあるか特に無いか)を是非調べてみてください!
例えば私は、クワロマンティック・アセクシャルを自認しており、アセクシャルがLGBT-QIAの「A」に当てはまっている、といったような感じです。
ロマンティックや、セクシャルについて、自分が当てはまっているものを知っておくと、同じような価値観の仲間がこの世界にはいるんだということを知って安心感が得られると思います。これだけでもカミングアウトしやすくなるかなと思いますので、是非調べてみるのがオススメです!
(※2026.6.30 追記)尚、のちに性嫌悪のあるアセクシャル=アポシセクシャルへ自認を更新しました。
誰に最初に伝えるか?
私のカミングアウトは、上のように記事を出したり、それをTwitter上でも報告したりする形での一般大衆向けへの公表という形になりました。
その際に緊張しませんでしたか…?
しました。そりゃ、次の日からもう「普通の人間」として見てもらえなくなるはずですから。
では、どうやってその恐怖感や緊張感を和らげていったら良いか?
それを考える上で重要なポイントは、
自分がカミングアウトした時に、それを確実に受け入れてくれる味方を得ること、
そのために「最初に誰に打ち明けるか?」という部分ではないかなと思います。
私が事前に考えた項目は以下の通りでして、それらを自分の中で一旦整理しておくのがオススメです!是非参考にしてみてください。
一般大衆に向けて公表するのかどうか
その公表はいきなり行うのか
それとも、最初は身近な人に言っておくか
その「身近な人」とは、家族なのか友人・仲間等なのか
その方は、同性か異性か
家族(親兄弟姉妹 等)には打ち明ける(または 打ち明けられる)のか
以下私の体験談になります。詳しくは冒頭に掲げた記事の方をご覧いただけたらと思いますが、訳あって公表しようと決めていました。でも、どのような反応が返ってくるかは分かりません。悪く言ってくるような人はほぼいないだろうと信じてはいましたけれども、それでも何となく確実に1人でも "味方" がいてくれたらいいなと思ったのです。残念ながら私は、家族には一番言いづらい状況でした(正直今でも言えていないし、このまま伝えず隠したままでいるかもしれないです)。
そのため、
「誰に最初に伝えたいか?」
「この人には他の誰よりも一番先に伝えたい」
「この人ならきっと受け入れてくれる、そう信じられる」
そういう人はいないかということを考えて、その人に最初カミングアウトすることにしたのです。
最初のカミングアウト(体験談)
私が最初に打ち明けた相手は、長年ずっとボーカルとして一緒に音楽ユニットを組んで活動してくれている女性の相方でした。優しくて、それまで誰かを否定するような発言を一度も聞いたことがなかったし、私に対しても、大切にしてくれたり、以前にも何度も温かい言葉で励ましてくれたりする、本当に信頼できる仲間なので、最初に伝えたかったです。
仮にも異性の間柄なので、いきなり性的な話題を出して大丈夫かなと最初緊張もしましたが、逆に性別の違いを過度に気にする方がかえって失礼かなとも思えたので、丁寧なおことわりも入れながらメッセージを送りました。
それに対しては、「辛かったですね、伝えてくれてありがとう」というようなお返事をいただけて、また「変わらずユニットも続けていける」ということもすぐその場で言ってくれました。そのあとお互いに色々なことを話して、背中を押してもらって、公表へと踏み切ることができたわけです。心強い味方になってもらえる、きっと受け入れてもらえると信じて、最初に伝えて良かったなと思います。
ちなみに相方は、私がずっとコラボを一度でも出来たらと切望していた方で、5年ほど前に初めて自分が作曲したものを歌っていただけた時、本当に嬉しかったのを今でも忘れていません。その夢が叶うかどうかも分からなかった昔からしたら、自分で決めたとはいえ、よもやその方に最初にカミングアウトする流れになろうとは!人生って分からないものですね…(笑)
カミングアウトは最初はやはり緊張します。
緊張しないカミングアウトなんてきっと無いんじゃないでしょうか。
それでも、少しでも緊張を解(ほぐ)せるように、最初に話してもいいと思える、信頼できる相手を見つけてみてください。
私は幸い、身近な仲間でそういう人に恵まれました。でもそうでない方もいらっしゃるでしょう。なのでこの部分に関しては的確なアドバイスが言えなくて申し訳ないのですが、もしかしたら同じセクシャリティを持った人たちの集まりとかあるかもなので、そういうコミュニティで仲間を探してみるのもいいかもしれません。
いずれにせよ、自分が「普通の人間」でないと言っても、確実に受け止めてくれる相手(味方)を得ることが、カミングアウトするにあたって大切なのではないのかなと思います。この世界にはたくさんの様々な人たちがいて、その中に貴方を助けてくれる人がきっといます。それは身近な家族や友人の中にいるかもしれないし、これから出会う人かもしれませんね。
最後に ―「性」について話すこと
「性」の話題はつい避けられがちですが、本当はとっても大切なこと。
性行為(セックス)もつい「エロ」の視点で考えてしまい、嫌なイメージを持ってしまう人もいますが、これも本来は、子どもをつくる、子孫を残すための大切な営みなんです。私は「アセクシャル」や「性嫌悪」とは言いましたが、こう思っていたいです。
もちろん、受け止めてもらえると信じられる人なのであれば、最初に伝えたい相手が同性であったって良いと思います。
一方、私はあえて、異性(女性)の方に最初のカミングアウトをしたという体験談を記しました。
要は、性別の違いを気にしないで欲しいということです。
男女の間柄で言えば、恋愛関係かどうかに関係なく、本当に信じ合える関係性ならば、「性」の話題は「人と人」として話していいと思うんです。本来なら親子の間柄でもそうあるべきでしょうし、一般大衆に向けても、もっともっと話しやすい空気になってくれたらいいなと切に願っています。
この度の私のケースだと「アセクシャル」は、「誰に対しても性的な目で見ないし、あなたも含めて性的な行為は一切しませんよ」っていう宣言に等しいので、むしろ相手を安心させられるメリットの方が大きいです。前述の最初のカミングアウトの際も、私から「むしろ安心するでしょ?笑」っておどけてみせたら、「安心しました!笑」って笑ってもらえました(笑)。
LGBTはよく知られるようになってきましたが、アセクシャルなどまだまだ一般的に浸透してないなと感じるセクシュアリティもあります。私自身、知らないことばかりでした。
なので、声を上げられないで苦悩されている方々には是非、自分のロマンティックやセクシャルについて調べていただいた上で、勇気を出してカミングアウトしてもらえたらいいなと思っております。
そうしやすい環境作りの一助になればと思って、私も公表したり、このように記事をまとめたりしています。
以上の内容が、勇気を出す何か参考になってくれれば幸いです。
「Saya歌 × LiSmile Art」コンポーザー 池上颯人
