40代婚活体験記【#8】訳アリ男性の母親がすがりついた代理見合いの日|12年婚活して238人とお見合いした40過ぎの女がスピード婚した話
「行列のできる」婚活女性たち
父に託した代理見合いの日がやってきた。
私は、希望した男性のプロフィールという「お土産」を、父が無事に持ち帰ってくれることを願いながら、父の帰りを持った。
そして夕方。
父が帰宅するなり、私は待ちきれずに矢継ぎ早に尋ねた。
「どうだった? 6番と14番と25番と32番の人と交換できた?」
しかし、父は少しもったいぶった様子で
「まずは当日の様子を話すから、落ち着いて聞いてくれ」と言う。
会場では、まず女性側の親が、娘の写真とプロフィールを手にして椅子に座る。そこへ、プロフィールを交換したいと思う男性側の親が列を作り、順番に並ぶ。プロフィールには子ども本人の写真が貼られていて、あいさつを交わした後は写真の見せ合いが始まる。
「お嬢さん、お綺麗ですね」
「いやいや、息子さんもお優しそうで」
そんな社交辞令を交わしながら、双方の親は外見のチェックに目を光らせる。
ひと通り情報交換をして歓談すると、今度は女性側の親が、男性側の親の席を訪れるという流れだった。
そしてこの日、一番人気だったのは保育士と看護師の女性だった。彼女たちの親の前には、タレントの握手会さながらの長蛇の列ができたという。婚活市場という目に見えない世界が、この場では露骨に可視化されていたそうだ。
父は苦笑しながら、こう語った。
「やっぱり、面倒見が良さそうな職業の女性には、人気が集中するようだね。息子本人の希望というよりも、親の都合で相手を選んでいるように見えたよ」
私は、ふと手元の参加者リストを見返した。
「保育士と看護師。どれどれ……あ、あった!」
目を走らせると、保育士は29歳、看護師は31歳。
「二人とも、33歳の私より年下か……」
こんな婚活強者たちと同じ土俵で戦わなければならないのか、と私は思わず深いため息をついた。
父の席には、いったいどれだけの列ができたのだろう。
本当は気になって仕方がなかったが、怖くて聞き出すことができなかった。
もしも閑古鳥が鳴いて、父が時間を持て余していたら……。
そう思うと、不憫でならなかった。
本人参加で、会場は異様な雰囲気に
この日は親だけでなく、子ども本人も男女合わせて8名が参加していたという。
そして彼らは、親たちの前に立たされ、順番に自己紹介をさせられた。会場には張り詰めた空気が漂い、親たちはまるで値踏みするかのように、真剣な表情で子どもたちをじっと見つめる。
そんな中、司会が突然こう言った。
「せっかくですので、子ども同士の交流の機会を設けたいと思います!」
そして、突如始まったのは、じゃんけん大会だった。
「え……?」という戸惑いが会場に滲んだが、司会はお構いなしに続ける。
「勝ち残った方には、特別にプロフィールを優先的に交換できるチャンスがあります!」
そう促され、渋々ながらも子どもたちは順番に前に出る。親たちはその光景を複雑な表情で見守っていた。
そして、男女が向かい合い、静かに手を構える。
「最初はグー、じゃんけんポン!」
――――シーン。
勝った人が気まずそうに微笑み、負けた人は苦笑いを浮かべながら席に戻っていったという。
その様子を思い浮かべながら、父は苦笑しつつ振り返った。
「いい年をした大人が集まって、親の前でじゃんけんをさせられるなんて……。なんだか、見世物みたいで見ていられなかったよ」
子ども本人が目の前に並べば、どうしたって比較される。会場のあちこちで、親たちが手元のプロフィールと目の前の子どもたちを交互に見比べ、ひそひそと意見を交わしていたそうだ。
目の前で優劣をつけられる。
それは、まるでオーディションの公開審査のようだったという。
もしも自分がそこに立たされていたら——。
その光景を想像するだけで、背筋が寒くなった。
父の列に並んだ「訳アリ」男性と母親
父の話を聞きながら、私はふと疑問に思った。
「じゃんけん大会に参加していたような男性って、どういう人たちなんだろう? わざわざ本人が来るくらいだから、何か条件面で弱点があるのかな?」
父は少し考えてから、「そうだな……」と話し始めた。
「不安定な職についていたり、年収が平均よりも低かったり、転勤族なんかが多かったかな」
やはり、仕事面で安定している男性は、自力で婚活するか、代理見合いの当日には参加しないのだろう。
そして、父の列にも、そうした「訳アリ」男性と、その母親が並んだそうだ。
母親は必死な様子で言った。
「娘さんを気に入っています。どうか、プロフィールを交換してもらえませんか?」
父が戸惑っていると、母親はもうひと押しとばかりに続けた。
「転職の回数は多いですが、これから年収は上がっていくはずなんです。どうか、長い目で見てもらえないでしょうか?」
傍らにいる息子は、申し訳無さそうな面持ちで、白髪交じりの頭を何度も下げ続けていたという。
そんな親子の姿を見て、父は一瞬ためらった。親の代理見合いには、毎月のように参加する常連も少なくないと聞く。
「この親子も、何度もこうして頭を下げ、そのたびに断られてきたのかもしれない」
そう思うと、胸が締め付けられるような気持ちになったそうだ。
しかし、ここは冷静にならなければならない。お互いのためにも、早めにお断りしたほうがいい。
「申し訳ありませんが、娘が息子さんの番号に丸をつけていないので……。今回はご縁がありませんでした」
「はぁ……そうですか……」
母親は力なく頷き、息子とともに去っていった。
◇◇◇
▼次回の記事はこちら
【#9】親ウケ最悪?「フリーライター」の私が評価されなかった理由
◇◇◇
📌 12年婚活リアル体験記📖毎日更新中!
フォローすると、更新されたタイミングで最新記事が届きます✨
👇フォロー&スキ❤️をよろしくお願いします!
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければ応援よろしくお願いします!
クリエイターとしての活動費に活用させていただきます✨️
