【短編童話】 ハゲール伯爵と久しぶりのティータイム
私の名はマリエール。
森の西のお屋敷に住むハゲ―ル伯爵と
ティータイムを楽しんでいる。
「ハゲ―ル伯爵、お久しぶりです」
マリエールはお茶とスコーンを伯爵に出す。
ブルーベリージャムとマーマレードも添える。
「やぁ、マリエール。お茶のお招きありがとう。
久しぶりだね」
「伯爵ー!」
キノコっちが伯爵に抱きつく。
「おや、キノコっち、元気だったかい?」
キノコっちはご機嫌にハゲ―ル伯爵の隣に座る。
キノコっちは伯爵に狩りの話をせがみ、
マリエールは追加のアップルパイを焼きに立つ。
キノコっちがスコーンを取ろうと、
伯爵のティーカップを倒してしまった。
「ごめんなさい!伯爵!」
「大丈夫だよ、キノコっち。少しこぼれただけだ」
「これはいけません」マリエールは伯爵の手を
見る。
伯爵の手が赤くなっている。
マリエールは戸棚から紫色のクリームを取り出して
伯爵の手に塗った。
「伯爵、こちらのクリームは、なんでも治す不思議なクリームです。この赤みも引くと思います」
マリエールがクリームを塗ると、
見る見るうちに赤みが消えていった。
「これは……!なんという奇跡!」
「安心しました。痛みはもうありませんか?」
「なんともない。素晴らしい薬だ」
「伯爵、ごめんなさい…」
泣きそうなキノコっちの頭をなでて安心させる
伯爵。
「マリエール、すまぬがそのクリームを少し分けてはもらえまいか?」
「よろしいですよ。伯爵は狩りにお出かけになるかと。その際お持ちいただくと安心です」
「ありがとう。とても助かるよ」
そう言って、ハゲ―ル伯爵はマリエールの小屋を
去った。
屋敷に戻ると、ハゲ―ル伯爵は湯を浴び、
身を整えた。
鏡の前に立ち、鏡の中の自分の姿を見つめる。
「この魔法のクリーム。効いてもらえぬだろうか…?」
そうつぶやくと、頭に塗り始めた。
それから、毎晩、ハゲ―ル伯爵は頭にクリームを塗り続けた。
3か月が経つ頃、頭のてっぺんに毛がふさふさと生えだした。
「おお!これぞ!神の起こしたもうた奇跡!」
伯爵は大変喜び、神への祈りをささげた。
次の日、伯爵は頭髪を短く整えた。
そして、マリエールに1通の手紙を書いた。
「親愛なるマリエール
実は、今、思いを寄せているご婦人がおる。
そのご婦人とお茶の席にご一緒願いたいのだが、
いかがだろうか?
わし、ひとりでは心細いのだ。なにとぞ、
よろしく願いたい」
「もちろん喜んで」
マリエールは微笑んだ。
──【短編童話】ハゲール伯爵と久しぶりのティータイム ──
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