【短編童話】 ハゲール伯爵の恋心
私の名はマリエール。
今日は一通の手紙が届いた。
ハゲ―ル伯爵からだ。
「親愛なるマリエール
今度、我が愛しの女性と一緒にそちらに伺いたいのだが、いかがだろうか?
先日いただいたアップルパイがとても香ばしかったので、ぜひ、また食べさせてもらいたい。
マリエールやキノコっちに会えることを楽しみにしておる」
マリエールはキノコっちに伯爵から来た手紙を見せる。
「なんて書いてあるの?」
「ん?ハゲ―ル伯爵がお友達を連れてお茶を飲みに来たいんだって」
「伯爵モテモテだね!」
「おや?キノコっち、どこでそんな言葉を覚えたんだい?」
「ジャムスが言ってたー」
そう言うと、キノコっちは外で八木田さんと遊びだした。
パン職人のジャムスに相談をし、いろいろなお菓子の作り方を教わる。
チェリーパイにプディング。
味替えにキノコのキッシュも良さそうだ。
たくさん食べてもらいたい。
伯爵にお返事を書く。
「いつでもいらしてください。楽しみにしています」
数日後、ハゲ―ル伯爵と美しい女性がやってきた。
ハゲール伯爵は髪を短く整え、さらに魅力を増している。
「やぁ、マリエール。今日はどうもありがとう」
ハゲ―ル伯爵の隣には、美しい黒髪の女性が立っている。
「今日はお招きありがとうございます。マリエール。私はヴィクトワールです」
にっこりと微笑むヴィクトワールの顔には、照れと戸惑いが見て取れた。
「よく、おいでくださいました」
マリエールが笑顔で出迎える。
伯爵があたりを見回し
「今日はキノコっちはいないのかい?」と尋ねる。
「キノコっちは今、ジャムスのところに行っています」
マリエールはハゲ―ル伯爵とヴィクトワールを外のテーブルに案内し、アップルパイやキッシュをテーブルに並べ始めた。
ハゲ―ル伯爵はヴィクトワールのほうを見て
微笑む。
「マリエール、ヴィクトワールは屋敷に出入りしておる牛乳屋の娘さんでな。とても働き者で笑顔が美しい女性なのだ。私は彼女のひたむきな姿に惹かれての…」
ハゲ―ル伯爵はヴィクトワールの手を取る。
「伯爵にお声をかけていただいたとき、怒られるのではないかと思いました。でも、伯爵のお優しさや人柄に触れ私も惹かれていきました」
ハゲ―ル伯爵とヴィクトワールはお互いを見つめ合い頬を赤らめる。
「そうでしたか」
マリエールはアップルパイを切り分けた。
穏やかな風があたりを包む。
木の葉のすれる音が聞こえる。
3人の話も弾み、笑い声が広がる。
キノコっちが戻ってきた。
「マリエール!」
「お帰り、キノコっち。伯爵とヴィクトワールがみえているよ」
キノコっちは伯爵を見るとすぐに抱きついた。
キノコっちは手に持っている袋からクッキーを取り出しヴィクトワールの方を向いた。
「あなたにはこれをあげる」
ヴィクトワールにシナモンクッキーを渡す。
「ありがとう。いいにおいね」
ヴィクトワールはひと口頬張った。
「おいしい。私はヴィクトワールよ。あなたは?」
「ボクはキノコっち」
そういうとキノコっちは笑った。
キノコっちも椅子に座り、にぎやかなティーパーティーになった。
八木田さんは遠くから見ている。
「メェェェ」
八木田さんも会話に参加したいようだ。
今日はお日さまも明るくて、空もいつもより青くて
とても穏やかな一日になりそうだ。
── 【短編童話】ハゲール伯爵の恋心 ──
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