【24】 言えなかった、でも気付いてた | どうしようもなく、どっぷり浸かった恋の話
その日、久しぶりに友達と会った。
他愛もない話をして、普通に笑っていた。
「最近どうなん?」
ふと、そう聞かれる。
「んー」
少し迷う。
「…進んだやろ?」
軽いトーンだった。
言葉が出てこなかった。
「……うん、ちょっとやばい」
小さく、それだけ言った。
「やろな」
「え、わかる?」
「わかるよ、めちゃ仲良いやん」
何もないふりは、通用していなかった。
「彼氏は?」
その一言で、少しだけ視線を落とす。
「もう言おうと思ってる」
「そっか」
「まぁでも、正直びっくりした」
少しだけ笑いながら続ける。
「え?」
「だって、そういうタイプちゃうやん」
軽く言われたその言葉が、思ったより刺さる。
――そう、こんなはずじゃなかった。
自分でも忘れかけていた気がした。
「でも」
少し笑う。
「そりゃ引っ張られるよな」
「……いや、なんか」
言い返しかけて、やめる。
「ああいう人って、引っ張るんやろな」
何も返せなかった。
「……ていうか、向こうも彼女おるよな?」
少しだけ空気が止まる。
「…うん」
小さく返す。
少しだけ間があく。
「お互い遠距離ってことやんな?」
「そう」
友達が小さく何度も頷く。
「……それ大きいなぁ」
責めるでもなく、納得するみたいな言い方だった。
「でも、あの人気ぃつけや?」
少し声を抑えて言った。
「なんか、女に慣れてそうやし」
冗談っぽい言い方やのに、少しだけ本気で心配してるのが分かった。
「うん、わかってるんやけど…もう遅いかも」
「あー…」
「自分でもちょっとやばい」
「まぁでも、楽しそうではある」
そう言って笑う。
「趣味似てるってやっぱでかいな」
私も、少しだけ笑った。
それ以上は、何も聞かれなかった。
全部は言っていないのに、もう隠しきれていなかった。
分かってはいた。
あかんことしてるってこと。
気を付けなあかん相手やってことも。
それでも、まだ、
今を楽しんでいたかった。
🎵 Blue Jeans / HANA
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