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[小説]僕は僕を信じて生きていた 緊急入院編 episode 3

緊急入院編   episode 3

「分かりました、必ず間に合わせます」
 日付が変わろうとしていた時、ようやく見つかったみたいだ。
「おい!見つかっ しばらく沈黙の時間が流れ、みんなの心に沁み渡った見たいだった。
「あっ!忘れておった、ご褒美に三本恵んでくれ!困った事に’C三では一切禁じられているんじゃよ。歳だからかのぉ~・・・」
みんなで造った壁の中で、それはそれは美味しそうに一服して戻って行った。
 気がつくと、既に一五時一五分だった。『あれ・・・俺の生まれた時間』
なんと言うタイミング?八月三〇日・一五時一五分生まれ。なんなんだ?お爺さんのおかげか・・・。落ち着きを見せつつ扉の前へと行くと、
「お待たせして申し訳ありません」
「いえいえ」
「では御案内いたします」
扉を開けようとしたが何故か開かない。えっ?どう言う事!
「開かない?はあ~お前ふざけんなよ」
 一気に怒りMAX。
「ちょっと前から把手部分の調子が悪くて・・・」
「マジで!調子悪いと気がついた時に直しておけや」
 そんなやり取りを見ていた大先輩が、
「おい少年、奴はまだ寝てるか?寝ててもいいから叩き起こして来い!」
 目をこすりながらやって来た。
「なんです~・・・、・・・、・・・なるほど・・・了解です!」
 交わす言葉も無くのそのそと扉の前まで来ると、把手に手をかけバキバキッと壊してしまった。
「何、何するんですか!反省部屋行きですよ」
「はあ? こいつが待ってんのに、ちょっと前から調子が悪くて開かないってどう言う事だ。エーコラ!俺達にとって、どれだけ重要な扉か分かってんのか!」
 彼は睨み殺される。
「反省部屋?そんなの関係ねーよ!この扉の担当者は誰だ?」
「・・・、わっ私です・・・」
「おっ!開いた開いたよ~!怪物くん、大丈夫だよありがとう!」
「なんだなんだ、何があった?」
 信頼している看護師に一部始終説明すると、
「大変、申し訳無かった。このとうりだ、勘弁してくれ」
 皆んな、静かにその場から立ち去って行った。
「大、変申し訳、ありま、せんでした。ごっご案内いたします。付き添いは今日限りです。道順はよく覚えておいて下さい」
 やっぱり迷路の様で、右・下・下・左と進んで行く。覚えるのがやっと、これほどメモ出来ればと思った事は無い・・・出たと同時に砂利場へダッシュ!兎に角記憶が有るうちに道順をと、取り憑かれたかの様に右・下・下・左、気が付くと彼女が顔を覗かせていた。
「元気だった?」
と、一言。抱きしめたい気持ちをグッと堪えて、
「おっ、おう!」
今までに起こった事を面白おかしく話し、いい感じに話も弾みこのままと・・・。
 あんな一件があった為、時間はあっと言う間に過ぎてしまった。最後の方は沈黙が続き、お互いに言いたい事も言えずに面会終了時間になってしまった。わかれ間際に彼女が、
「これ重要でしょ!これも渡しておくね気が向いたら読んでね。あっ!そうそうこれもだった。竜二宛に手紙なんて目面いいよね・・・しかもAir Mailだよ!少し遠いけど、会えるようになって本当に嬉しい・・・また来るね!」
道順を書いたメモ、一冊のノートと一通の手紙を渡してくれた。盛り上がっているうちに書いてくれていたらしい、道順が無ければきっと戻れなかっただろう。感謝の気持ちでいっぱいにさせられた。しかしAir Mailなんて誰?
 戻ると、
「まあ、とりあえず一服でしょ!」
「一服!一服!」
「だよね~」
誰一人として彼女との事には触れず、いつもの様に時間が過ぎて行く。なんとも言えないこの感覚は、間違えない!あの時と同じ感覚だった。
 その日の夜は全然寝付く事が出来ず渡されたジャポニカ学習帳を開くと、そこには僕が居なくなってからの出来事がイラスト付きで事細かく書いてあり、彼女の気持ちが手に取るように分かり、どれだけの思いをさせてしまったのかと・・・声を出さずに肩を震わせた。もう二度とこんな思いをさせないと強く心に決めた。そう言えば珍しく手紙ももらったんだ便せんを開くと、なっなんと尾田のお爺さんからだった。そこには、あの時一緒にお祝いをしてくれた事への感謝の気持ちと、あの時深くは聞く事が出来なかった事が書かれていた。

 『竜士君、お元気ですか?あの時は気を使わせてしまってすまなかったね!あの時の話ですけど、実は、お婆さんがヤカンに火をつけたまま出かけてしまった事が原因で、火事になってしまい孫を亡くしてしまったんじゃよ・・・わしが驚いて起きた時には、もう自分が逃げるので精一杯じゃった・・・外に出れた時、我にかえり孫を助けに戻ろうとしたのじゃが、隊員の人にがっしりと掴まれ全く動けなかった。ただただ見ているしかなかった・・・暫くしてお婆さんが戻って来て状況を説明すると気が狂った様に泣き叫んでのぉ・・・それがきっかけでおかしくなってしまい、精神病院に入院してしまったんじゃよ。それ以来、息子夫婦とは会えなくなってしまい・・・これから先も生き地獄みたいなものなどと考える様になってしまった。しかし!それでも生きていかなければいけないんじゃ。本当に人生などと言うものは一瞬で変わってしまうんじゃと解らされた。竜士くん。この先どんな困難が待ち受け用とも、歯を食いしばって乗り越えるのじゃぞ!この出会いに本当感謝じゃ。また権左衛門で会える日を楽しみにしているよ。人は何かに追い込まれた時、何故、自然を求め癒されるのだろうか?日々考えさせられるのぉ~・・・』

  追伸   息子達とハワイに移住しました。選んだのは私じゃよ!
                       
 しかもハワイから・・・尾田のお爺さんに見られていたかの様、何と言うタイミングの手紙に心底驚かされた。同時に凄く励まされ、本当に出逢いとは大事なものなんだと痛感した。ハワイを選んだのは尾田のお爺さん?これまたビックリ・・・
写真には、四人ともド派手なアロハシャツで満天の笑み楽しそうに写っていた。
いつの日か尋ねてみよう・・・。
 ぴょんぴょん跳ねている時、ふと気がついた。
「あれ?怪物君は」
「あの後、言ってた通り反省部屋に入って行きました」
「あいつはさぁ自ら入って行くからその点は尊敬するよなぁ。まあ、ここには怪物を放り込める奴はいないからな~あいつにとっては反省部屋では無いのかもしれない」
「じゃあー怪物君にとっての反省部屋ってどこなんですかねー」
「さあなーそれは、あいつしか知らないだろうな・・・」
 そんな・・・
あれ程にも辛く苦しい所。俺の為に・・・こんな俺の為にと思うと、居た堪れない気持ちでいっぱいになり部屋へと駆け込み、次は俺が俺がと、枕を叩きまくった。
ひたすらに・・・。
 その日の夜、業者が来て直して行った。
『本当に僕達にとって大事な扉なんだ。君達看護師がそんな事だから、僕達はこう思ってしまう・・・。クズはどうでもいいや~なんて思ってるでしょう!本当、見下してんじゃねーよ!クズから一言、かわいそうに人の気も知れずに君達の方が〇〇です。時期に来ると信じたい、クズが認められる日が来る事を』
「外出の次は、外泊、その次が退院だ!もう少しだな・・・焦る必要はないって爺さんが言ってたしな!今まで通り堪えていれば時期にその時が来る。大丈夫だ!みんながいるから」
 週一回のペースで外出する様になり、大分気が楽になってきた頃。たまたまその日は一人ベンチを占領しくつろいでいると、彼の娘がイケメンとやってきて隣のベンチに座った。どうやら彼氏みたいで楽しそうにしている。否が応でも会話が聞こえてしまう・・・。
「ねぇ・・・しつこいけど、こんな病気にかかって、本当にごめんね・・・私、病気と上手く付き合って行くから、ず~とそばにいてね!薬も絶対サボらないし。
でもさ~本当に近くてよかったよね!じゃなかったら、こんな直ぐは来れないでしょ~」
「・・・」
「・・・」
「ごめんね・・・色々考えたんだけど、もう別れよう」
「・・・」
「そっ、そうなんだぁそれはそうだよね~分かるわかる。うん、別れよう!今まで、本当に楽しかったよ!こんな私と五年も付き合ってくれてありがとうね。もういいよ、無理にいなくても大丈夫だから・・・」
無言のまま彼氏は去って行った。
 彼氏が見えなくなった途端、その場で崩れ落ちた・・・声をかけることも出来ず、ただその時を一緒に過ごす事しか出来なかった。声を殺して肩を震わせている彼の娘を見守っている内に、ふつふつと怒りがこみ上げて来た。勢いよく起き上がり、彼氏を追いかけようとしたが、足首をがっちりと捕まれた。彼の娘は顔を上げることなく横に振るだけ、振り払おうと更に力を入れたが・・・。
 暫くすると彼の娘が顔を上げ、
「色々あるよね~」
笑みを浮かべながらも、充血している目を見て目頭が熱くなった。
「そろそろ時間だよ・・・戻ろうか」
彼女の手を引き、扉の前まで送り届けた。インターホンを押し、いつも通りハキハキした声で、
「戻ったよ!、開けて~~!」
重い扉が開かれ、
「何かあった?いつもよりテンション高いわよ」
 その後中庭やカリキュラムでも会うことはなく心配の日々が過ぎて行った。何とかして彼の娘を励ましたい一心で手紙を書き、中庭でC二の子が来るのを待った。
「すみません・・・これを彼の娘に渡して頂けますか」
『何度でも(DRAMS COMETRUE)CD+手紙』
「いいですよ!でも、最近めっきり部屋に閉じこもってドアも開けてくれないのよ~、私達も心配なんだけど、何があったのかも聞けない状況なんだ~」
『何があったかは決して言えない』
 数日が経ったある日の事、いつもの様に中庭でくつろいでいるとC二の子が来て、
「渡しておいたよ!ほんの少しだけ元気になったかもよ。外出届け出してたから」
 とにかく、毎朝飛び跳ねるのが楽しくてしょうがない。
大の大人がぴょんぴょんぴょんぴょんと・・・ぴょんぴょんしながら、
「駄目元で外泊申請出してみろよ。もしかしたら通るかもよ!」
「・・・」
「何でもやって見ないとわからねぇ!良くも悪くもな」
 ぴょんぴょん、ぴょんぴょんぴょん
早速、用紙に記入し看護師に渡した。
 数日後、診察があり先生が、
「外泊申請出したのね・・・
私に相談してから出せばよかったのに。正規なルートだと、外泊申請は私含む五人の先生で協議し決定するのよ。私に相談してから申請すれば、協議する前に色気使って簡単に通せたのに・・・
「男って本当単純な生き物よね~」
 爺さんの言う通り焦ってはダメなんだと痛感・・・
「まあいいわ、何とかするから私に任せて!」
何故ここまでしてくれるのかが全くもって理解できなかった。
 次の日、昼食後の事、
「後藤竜士さん!お伝えしたい事が有るので、ナースステーションまでお越しください」
 まさかと思いながら行ってみると、
「外泊許可が下りました。申請内容ですと、明日一三時から明後日一九時半迄ですね。外泊先はご実家、以上お間違えないでしょうか?よろしければこちらに漢字フルネイムでサインして下さい。それはそうと、随分と早く許可がおりましたね!スタッフ皆んな驚いていますよ・・・。必ず時間は守って下さいね!」
 こんなにも早く下りるとは思いもよらなかった。決して眠剤に頼る事なく長い夜。最後の巡回が行ったあと喫煙所で朝まで過ごし、
常温の貯コーヒー五本、貯タバコ二箱を完服し、朝方には嗚咽が止まらない程気持ち悪くなってしまい、ほぼほぼトイレで過ごした。
 再び爺さんの言葉を思い出した。
「今日のぴょんぴょんの高さはんぱねーな!許可が出たのか、着々と進んでるな」
「ありが『ぴょん』とうご『ぴょん』ざいます」
「俺も、『ぴょん』初めの外泊は『ぴょん』めちゃくちゃ『ぴょん』嬉しかったな~『ぴょん』みんなも同じだ!『ぴょん』お前の気持ちは『ぴょん』手に取るように『ぴょん』分かるよ。
いい風呂、『ぴょん』うまい飯、『ぴょん』何と言っても『ぴょん』彼女『ぴょん』家族『ぴょん』友人との時間、『ぴょん』精一杯『ぴょん』楽しんで『ぴょん』こい!『ぴょん』マジで『ぴょん』最高だぜ!『ぴょん』しかしよ~『ぴょん』こんなに『ぴょん』ぴょん『ぴょん』ぴょん『ぴょん』しながら『ぴょん』喋れる『ぴょん』かってんだ!『ぴょん』馬鹿野郎」『ぴょんぴょん』

   


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