男2人の部屋で、私は爆睡していた。
高校卒業後、私は学校の寮に入った。
本当はアパートなどで生活したかったのだが、親が大反対したのである。
私は昔から、男女関係なく仲良くなるタイプだった。
同性だろうと異性だろうと、気が合えば、自分から話しかける。
そんな中、誰が企画したのかは忘れてしまったが、ボーリング大会をすることになった。
そこで、めちゃくちゃボーリングが上手い男の子がいた。
たまたま同じチームになった私は、その子に、
「教えて!」
とお願いした。
何ポンドのボールがいいのか。
ボールの掴み方。
投げ方。
私は聞きまくった。
何しろ、ストライクを出したかったのである🤣
そこから少しずつ話をするようになった。
穏やかそうで、優しそうな男の子だった。
ある日、私はその子の部屋に行った。
これが、後に誤解を招くことになろうとは、この時の私は夢にも思っていなかった。
というのも、その部屋には、私が興味のある漫画がたくさんあったのだ。
ジャンプ。
ドラゴンボール。
美味しんぼ。
金田一少年の事件簿。
るろうに剣心。
……読みたい。
でも、借りるのはちょっと気が引ける。
ならば。
ここで読んじゃえ!
そう思った。
お菓子を途中で買い、ジュースを飲みながら、漫画を読んだり、お喋りをしたり。
ちなみに、この時、私は男の子と2人きりだったわけではない。
男の子の友達も一緒だった。
つまり、
男2人に私1人。
今思えば、なかなかの状況である。
でも、その時の私は何も考えていなかった。
漫画が読める。
お菓子もある。
ジュースもある。
楽しい。
それだけだった。
すると、男の子が何度か言った。
『しずくちゃん、俺、自転車で送って行くから、帰った方がいいよ!
寮も門限越えるから!』
私は、
「え? まだ大丈夫だよ?
お喋りしたり、漫画読んだりしたいもの」
と答えた。
男の子は、
『うーん……』
という、なんとも困った顔をしていた。
私は、
(そんなにここに私がいるの、嫌なのかな?🤣)
くらいに思っていた。
すると、その男の子は友達に、
『お前、帰れよ。アパートにさー』
と言い始めた。
友達は、
『いや、俺は帰らないよ笑』
と答える。
そんなやり取りをしている間にも、私は漫画を読んでいた。
そして。
……夢中になりすぎた。
門限の時間を、とっくに過ぎていた。
ヤバーーーーッ!!
「〇〇君、時間過ぎちゃった💦
寮閉まったから、ここで寝ていい?
畳でゴロンするからさ」
すると彼は、
『女の子を、畳で寝させられないよ!』
そう言った。
そして、
『俺の布団……余り綺麗じゃないけど……畳よりいいから貸すから。
これで寝て、ね!』
と、布団を貸そうとしてくれた。
でも私は、
「いや、悪いから大丈夫!
〇〇君達が2人で眠ればいいよ!
門限過ぎて、帰れなくなったの、私のせいだし。
んじゃ、おやすみー」
そう言って、畳にゴロンと横になった。
そして……
クゥクゥ眠った。
本当に寝た。
何の心配もなく。
翌朝。
彼の顔を見て、私は思った。
(え……?(・_・;?)
目が充血している。
そして、目の下にはクマ。
「〇〇君、目の下にクマ出来てる!
なんかあったの!?」
すると、友達が、
『コイツ、しずくちゃんが寝てから、俺が何かすると思って――』
そこまで言ったところで、
彼が友達の口を手で塞いだ。
(は?)
(ん?)
(何を?)
私の頭の中は、はてなでいっぱいだった。❓❓❓
すると彼は、
『しずくちゃん、もう寮開いてるし、早く帰った方がいいよ!
畳で寝てたから、身体痛いんじゃない?
ゆっくりした方がいいから』
そう言った。
私は言われるまま、自転車で寮へ帰った。
そして、寮で待っていた友達から、質問攻めにあった。
『しずく!
あんた、昨日、外泊したでしょう?』
『部屋のピンポン鳴らしても出なかったし。
どこに行ってたのよ!?』
私は、昨日の出来事を全部話した。
すると、
『えーーー!?
あんた、男の子2人の部屋に1人で泊まったの!?』
『大丈夫だった?』
『って言うか……なんかあったでしょう?』
『本当のこと言いなよ!』
私は、
「いや、漫画読んだり、お菓子食べながら喋ったりしてて、夜は畳で寝たよ」
と答えた。
すると友達は、
『……あんた……せっかく布団用意してくれたのに、それも断って、畳で寝た訳!?🤣』
私は、
「うん」
と答えた。
すると友達たちは、
「何もなかった」
という私の話を、ほんっっっっとうに信じてくれなかった。
私は思った。
(そうなのか!?)
(こうやって、話って湾曲されるんだなぁ……)
と。
でも、私自身は、本当に何もなかった。
ただ漫画を読んで、お菓子を食べて、畳で寝ただけである。
……と思っていた。
ところが。
その後、泊まった部屋の男の子から、告白された。
私は、その告白を受け入れた。
そして、付き合うようになった。
実は、この彼には、こんな出来事もあった。
そして、付き合った後。
私は、あの夜のことを聞いた。
彼は笑いながら言った。
『しずくちゃんが泊まってて、アイツが何かするんじゃないと思って、眠れなかったんだ、本当は笑』
私は、
「……えーーー!?」
となった。
あの時、彼が何度も、
『帰った方がいいよ!』
『俺が送って行くから!』
と言っていた理由。
ようやく、全部つながった。
私は、全然気づいていなかった。
「え? 眠れば良かったのに」
そう返した。
彼は、きっと笑ったと思う。
今思えば。
あの頃の私は、ずいぶん無防備だった。
男の子の部屋に行くのも初めてだった。
男2人、私1人でも、漫画を読みたければ普通に居座った。
門限を過ぎても、
「ここで寝ればいいか」
で、畳にゴロン。
そして、心配して一睡もできなかった男の子の目の下のクマを見て、
「なんかあったの?」
である。
……若いって、怖いなぁ。
(・_・;
