スカートを穿くと、別人になる女
私には昔から、不思議な現象がある。
パンツルックだと、サバサバ。
でも、スカートやワンピースを穿くと……
どうやら別人になるらしい。
「らしい」というのは、
本人には、まったく自覚がないからである🤣
このことに気づいたのは、かつて付き合っていた人だった。
ある日、真顔で言われた。
『しずくさ、服が変わるだけで別人になるよ。』
最初は意味が分からなかった。
「何が?」
そう聞き返したくらいだ。
すると彼は、
『歩き方も違う。』
『歩幅も小さくなる。』
『目元まで柔らかくなる。』
『笑顔も増える。』
『車の乗り降りも全然違う。』
『食べ方まで上品になる。』
……と、次から次へと挙げていく。
私は心の中で思った。
「いやいや、そんなことある?」
本人、完全に無自覚である🤣
実は友達にも言われていた。
だから恋人だから気づいたわけではなく、本当に周りから見ると違って見えていたらしい。
私自身は、
「今日はスカートだから、おしとやかにしよう。」
なんて一度も思ったことはない。
なのに、勝手に所作が変わる。
歩き方。
手の動き。
姿勢。
座り方。
全部。
今思えば、一番変わっていたのは”所作”だったのかもしれない。
母は一年に一回パンツルックに、なるかどうか。
普段は、ほぼスカート一辺倒だった。
だから、小さい頃からそんな母の姿を見て育った。
その影響があるのかどうかは分からない。
でも、不思議なくらい身体が勝手にそう動くらしい。
もちろん、おしゃれは好きだった。
スカートに合わせて、
ピアスを変え、
ネックレスを選び、
ブレスレットやアンクレットをつけ、
マニュキアまで変える。
そんな時間はすごく楽しかった。
服だけじゃなく、雰囲気ごと楽しんでいた。
でも……
時間が経つと、
「……スースーする🤣」
落ち着かない。
なんで好きで穿いてるのに、こんなに落ち着かないんだろう。
そう思い始めるのである。
その反対がパンツルックだった。
昔はスキニーや細身のパンツばかり。
とにかく動きやすい。
買い物袋なんて肩に担いで、
「あーらよっと🤣」
そんな感じで歩く。
車の乗り降りも豪快。
今思うと、こっちの方が素の私だったのかもしれない。
そういえば、こんな事件もあった。
ある日、透かし模様の入ったスカートを穿いて歩いていた。
私は気づいていなかった。
後ろを歩いていた彼が、急に慌て始めた。
『ちょっと待って!』
『そんなに人に自分の肌着を見せたいのか?』
「え?」
『透けてる。』
「……え?」
本人、本当に気づいていなかった🤣
「誰も見ないでしょ?」
くらいに思っていた私とは対照的に、
彼はその日、私の後ろを歩き続けた。
そして帰ってから一言。
『そのスカートは部屋着にしてください。』
それ以来、そのスカートは見事に部屋着となった🤣
さらに面白いことがある。
私はドラムを叩く。
その時はスティックをクルクル回しながら、ノリノリ。
完全にロックモード。
でもピアノを弾く時は、自然と柔らかくなる。
これも全部、本人は無意識。
かつての彼は言った。
『しずくは憑依型なんだよ。』
『服や場面によって、まるで別人になる。』
私は笑ってしまった。
そんな大げさな。
でも、周りのみんなが同じことを言うなら、そうなのかもしれない。
今でも思う。
スカート姿の自分も嫌いじゃない。
おしゃれする時間は楽しいし、少し気持ちもふんわりする。
でも結局……
一番落ち着くのはパンツルック。
買い物袋を肩に担いで、
ガンガン歩いて、
「あーらよっと🤣」
と言っている私が、
やっぱり一番、私らしいのかもしれない。
