「勝率58%」は儲かるとは限らない ― スクイーズ後ブレイクの期待値で見る検証
この記事の結論(先出し)
・条件を絞らずにスクイーズ後のブレイクへ機械的に乗ると、勝率は42%前後、期待値はほぼゼロかむしろマイナスになりうる
・「勝率」だけを見て判断するのは危険。同じ勝率58%でも、勝ちと負けの値幅次第で儲かる場合と損する場合がある
・出来高条件・上位足トレンド条件を重ねると、勝率だけでなく期待値そのものが明確にプラスへ転換する傾向がある
・ただし条件を絞るほど機会(サンプル数)は激減する。これは「精度」と「頻度」のトレードオフである
ここから先で、この結論に至った検証プロセスと、その先にある実践的な使い方を解説します。
1. なぜ「勝率」だけで語ると危険なのか
前回、スクイーズ後のブレイクの成功率について触れましたが、実は勝率だけを見て「良い手法かどうか」を判断するのは片手落ちです。
例えば、次の2つの手法を比べてみてください。
・手法A:勝率60%、勝った時+2%、負けた時-3%
・手法B:勝率40%、勝った時+5%、負けた時-1.5%
手法Aの方が勝率は高いのに、期待値を計算すると印象が変わります。
・手法A:0.60×2% − 0.40×3% = 1.2% − 1.2% = 0%
・手法B:0.40×5% − 0.60×1.5% = 2.0% − 0.9% = +1.1%
勝率で見れば手法Aが優れているように見えますが、期待値で見ると手法Bの方が優れています。今回の検証では、この「期待値」という視点を軸に据えます。
2. 検証の設計
対象ユニバースと期間(イメージ設定)
今回はTOPIX500クラスの銘柄群を想定し、複数年分の日足データを使うことを前提に設計しています。以下の数値は、こうした条件で分析を行った場合に典型的に見られる傾向を示すイメージ数値です。ご自身の証券口座やツールで実データを使って再現できるよう、判定ロジックはそのまま使える形で示します。
スクイーズの判定条件
・20日ボリンジャーバンドのバンド幅(アッパー-ロワー)が、直近60日平均に対して70%以下まで収縮
・判定から10営業日以内に、終値がアッパーバンド(またはロワーバンド)を上抜け(下抜け)した時点を「ブレイク」として抽出
損益の測り方(前回からの改善点)
前回は「成功/失敗」の二値でしか見ていませんでしたが、今回はブレイクから10営業日後までの値動きを追跡し、勝った時の平均リターン・負けた時の平均リターンの両方を記録します。これにより、期待値ベースでの評価が可能になります。
比較する4条件
1. 条件なし(全ブレイクを採用)
2. 出来高条件(ブレイク当日の出来高が20日平均の1.5倍以上)
3. 上位足条件(週足20週MAがブレイク方向と同じ向きに傾いている)
4. 出来高+上位足の両方を満たす
比較のためのベンチマーク
条件による効果を正しく評価するために、**「方向をランダムに選んだ場合」**の期待値もあわせて算出します。これがゼロに近いことを確認できれば、各条件の効果が偶然ではなく意味のある差だと判断しやすくなります。
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