石川県立美術館、21世紀美術館、鈴木大拙館、国立工芸館、九谷焼美術館
冬の金沢、石川旅。美術館と文学編
何か、フォーレのシチリアーノ気分。
今年2月。
寒波の隙間をすり抜けるようにして、なんとか金沢へ着陸しました。

昨日の同じ時刻の便は雪で欠航したそうで、いつリターンになるかと心配していましたが、無事に着いて緊張の糸がフッとほどけました。

21世紀美術館
直島でアート好きさんに教えて貰ったお目当ての21世紀は、そんな天候にも関わらず中々に混雑しており、入口に立った時は少したじろぎました。
それでも、マンクーゾとカルドーゾらの作品に向き合う内にざわめきは遠のき、作品との対話が始まりました♪

バラの中のシダ Fern in rose
Ink on paper, 2023

Daichiro Shinjo, Shusei Toko
新城は、禅僧であり民俗学者でもある祖父を持ち、禅や仏教文化に親しみながら幼少期より書道を始めました。禅や沖縄の精神文化を背景に、形式にとらわれない、軽やかで、身体性、空間性を伴ったコンテンポラリーな表現を追求しています。
本作「アンフレームド・バショウ」は自宅近くに自生する大きなバショウの葉に墨をつけ、和紙に刷りとったものです。抽象表現主義的な自在な墨の仕事の手つきと、宮古島の旺盛な自然力をあわせてできたこの作品は、力強さと生命力、そして自然に内包する洗練された形態を引き出しています。
北海道在住のアイヌの木彫り作家、床州生とのコラボレーションによる作品(声一Utasa 2023)は北海道の輪踊りの祭り「ウタサ祭り」の会場のシンボルとしてつくられた対の作品です。一つは端材に床が川をイメージしたドローイングを彫り込み、刷り上げた作品、もう一点は同じ版画の上に新城が泥藍で大胆なフォルムを描いたもので、エコー、声がテーマとなっています。
Shinjo, whose grandfather was both a Zen monk and a folklorist, was introduced to Zen and Buddhist culture from a young age and began practicing calligraphy as a child. Drawing on the spiritual traditions of Zen and Okinawa, he has developed a contemporary style that is light, dynamic, and unbound by traditional forms, pursuing an expressive style that embraces physicality and spatiality.
His work Unframed Basho involves inking the large leaves of the native basho plant near his home and pressing them onto washi paper. This piece combines the fluidity of abstract expressionism with the vigorous natural forces of Miyako Island, capturing strength, vitality, and the refined forms inherent in nature.
In collaboration with Ainu woodcarver Shusei Toko from Hokkaido, Shinjo created Voices Utasa 2023, a paired artwork symbolizing the Utasa Festival's ring dance held in Hokkaido.
One piece is a print with a river-inspired carving by Toko on scrap wood, while the other features Shinjo's bold mud indigo and ink forms layered over the same print, centered on the theme of echoes and voices.



別室にあったパルスのインスタレーションも印象深く、どこかボルタンスキーを思わせながら、より芯の部分に独自の線を引いていて、新しい系譜に触れたような嬉しさがありました。

お馴染みのプールも、思わぬ幸運のおかげで待たずに見ることができ、旅の運気に太鼓判を押された気がしました。

21世紀で最も心に残ったのは「トーキング・ゴッド」でした。恐らく1番人気で行列だったので、鑑賞する時間も短く作品の説明もよく読めないまま去りました。

サイズ可変/ Dimensions variable
Semi-outdoor site-specific installation
Collection of the artist, 2024
翌々日街を歩いていて、或る神社前で境内にあった欅に足が止まり、離れがたくて小さなお守りを買いました。今回この記事を書くにあたり調べていると、美術館で出会った
「トーキング・ゴッド」の光は、まさにこの神社の欅の生体信号を受けていた
のだと知りました。

先に作品に触れあとでその源泉に出会う。理解よりも先に直感が働きふらふらと吸い寄せられる、こんなことがよく旅先では起こります。
説明もできないし誇張することでもないけれど、何だか正しい方向に進んでいる気がして、嬉しい瞬間です。

鈴木大拙館
鈴木大拙館の思索空間は、雪の白さと共鳴する静けさがあり、長く佇みたくなる場所でした。

本当は西田幾多郎哲学館にも寄りたかったのですが、休館日のため叶わず。その分、大拙館の水鏡の前で考えがゆっくりと沈み、澄む時間を過ごせたので今回は良しとします。

国立工芸館
国立工芸館は華やかで、都内にあった頃はいつも美術館を観終わった頃には工芸館が閉館してしまい中々じっくりと過ごせなかったので、金沢に引っ越して良かったのだと思います。







石川県立美術館
石川県立美術館では、キースへリングやローランサン、それに金沢の歴史もよく分かって良かったのだけれど、名の知られていない作品も粒揃いで、心に残りました。
「浮世絵にみる魑魅魍魎」の展示も愉しく、冊子があれば手元に置きたかったです。


https://www.ishibi.pref.ishikawa.jp/wp-content/upload/2023/03/list_20250208_2.pdf
泉鏡花、徳田秋声、島田清次郎、室生犀星
茶屋町での文学散歩も味わい深い時間でした。





泉鏡花の生家跡近くを通り、徳田秋声が歩いた界隈をお散歩して、島田清次郎の激動の人生を思い、室生犀星の幼少期の土地へ。

四人それぞれの金沢での残り香を堪能でき、幸せ至極でした。



最後に。金沢を離れて
大聖寺の九谷焼美術館へ。



傘立てや建物が愛らしく、隣の公園も素敵で、カフェもとても気に入りました!


作品では、北出塔次郎氏、北出昂太郎氏と鈴木朋子氏などが気になりました✨来た甲斐があったと満足しました!

吉田屋窯、江戸後期

吉田屋窯、江戸後期

ずいうんごさいをしょうず
京都市・大徳寺塔頭芳春院(前田利家正室「まつ」の菩提寺)
住職 秋吉則州氏自書
吉兆としてあらわれる雲は、五彩を生ずる。

伝統的な九谷の世界にとどまらず、京焼の雅な味わいを取り入れるなど、茶陶を中心に明快な色絵の世界を展開する。


北出昂太郎





こちらも良かった
金沢能楽美術館
しいのき迎賓館(旧石川県庁舎本館)
谷口吉郎・吉生記念 金沢建築館
老舗記念館
宇多須神社
茜屋橋
またいつか…今度は暖かい時に、海を見に訪れるかも。

