京都の130年企業に新たな風を––アナテック・ヤナコで叶える、ゆとりと挑戦の両立
京都府伏見区に本社を構える環境計測機器メーカー、株式会社アナテック・ヤナコ。1892年創業の柳本商店をルーツに、130年以上の歴史を誇る老舗企業です。環境領域の課題に高い技術力で取り組みながら、アナテック・ヤナコの名前を掲げた1985年以来、一度も赤字を出したことがないという安定経営を続けてきました。
しかしその安定性に甘んじることなく、近年はDX推進、若手人材の積極採用、海外展開など、未来に向けた「変化」に果敢に挑戦しています。
同社の変革を中心となって進めるのは、7代目後継ぎであるアナテック・ヤナコ取締役・桺本頌大(やなぎもと しょうだい)氏です。「経営陣との距離が近く、挙手すればスピーディーに挑戦できる環境があります」と話す桺本氏に、アナテック・ヤナコの強みと、地域で働く魅力についてお話いただきました。
取締役 桺本頌大(やなぎもと しょうだい)
1989年生まれ、京都府出身。大学卒業後、株式会社オービックビジネスコンサルタントにてエンジニアとして開発業務に従事。2社の起業を経て、創業133年の環境計測機器メーカーである株式会社アナテック・ヤナコの経営に参画し、組織改革、社内DXの推進、販売代理店子会社の立て直しを行う。2025年3月、精密機械向けの樹脂加工を行う株式会社田中製作所の代表取締役に就任。
Notionアンバサダー、Canva Japanコミュニティマネージャー、Larkアンバサダー、京都大学研究員をこれまで歴任。京都大学経営学修士と京都工芸繊維大学工学修士を取得。
最新のテクノロジーやトレンド情報を発信するビジネスインフルエンサー(X)としても活動中。
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長い歴史を大事にしながら、時代の流れに合わせて変化する会社

ーーアナテック・ヤナコについて、ご紹介いただけますでしょうか。
桺本:アナテック・ヤナコは、環境計測機器、分析機器の開発・設計・製造・販売を行っている会社です。工場排水や河川、湖沼などの水に含まれる汚染物質を測定する「環境計測機器」を手がけています。
会社設立は2025年で40周年を迎えますが、ルーツは1892年(明治25年)創業の柳本商店にあります。柳本製作所への社名変更を経て、環境計測部門が独立しアナテック・ヤナコになりました。
ーー130年以上の歴史がある中、最近では変化にも力を入れていると伺いました。
桺本:そうですね。私自身がITやDX、AIといった分野に関心が高いこともあり、社内のDX化には積極的に取り組んでいます。最近では、AIを使ったチャットボットを導入しました。
組織面の話ですと、ここ5年ほどで、全従業員50数名のうち約20名を採用しています。以前は比較的ご年配の社員が多かったのですが、今では20代・30代が半数以上を占めるようになりました。女性比率は1割未満から3割程度まで増えましたね。

ーーホームページを拝見すると、「令和2年度京都市輝く地域企業表彰」にて「特別賞(輝き賞)」を受賞されたと記載がありました。事業に加えて、地域貢献活動などもされているのでしょうか?
※京都市輝く地域企業表彰:社会課題の解決や新たな価値の創出等を目的に地域企業等が連携して実施した事業のうち、独自性、社会性、発展性等について、他の事業者のモデルとなると認められる取り組み。
桺本:事業自体が環境に関わる社会貢献性の高いものなのですが、それ以外にも毎月、社員や経営陣で伏見区の清掃活動を行っています。また、会社の敷地から飲料水として飲める井戸水が出るので、災害時などに地域の方々に配れるようタンクなどを整備し、いつでも配水できる状態を維持しています。
ほかには、私の個人的な活動が中心になりますが、地域のスタートアップコミュニティの運営や、経営者同士のマッチングなど、京都の活性化に繋がるような活動にも注力しているところです。会社が成長するためにも、経営者自身が地域のエコシステムに貢献することは重要だと考えています。
※エコシステムとは、企業やサービス、製品などが相互に連携し、それぞれの業務やサービスを補う構造のこと。
40年間の安定経営を支える強みと、三つの企業理念
ーー環境計測分野には競合もいらっしゃると思いますが、その中でのアナテック・ヤナコの強みはどこにあるのでしょうか?
桺本:競合の多くは上場している大手企業です。その中で私たちがどう差別化しているかというと、「小回りの利く技術力とカスタマイズ対応」ですね。たとえば、あるお客様から「環境計測の装置を5台だけ納入してほしい」というご依頼があったとします。大手企業では採算が合わないため、なかなか受けられないケースが多いんです。
弊社の場合、小ロットのカスタマイズにも対応できる技術力と体制を持っているため、柔軟に対応しています。これが、日本の大手鉄鋼メーカーや製紙・パルプ、化学メーカーといった、特に排水管理が重要視される企業様から長年信頼をいただいている理由の一つだと考えています。

ーー採用サイトで「設立から一度も赤字を出したことがない」と記載があり、驚きました。経営体制が安定しているのは、技術力と顧客対応力にあるんですね。
桺本:加えて、環境関連の「法律」も私たちの事業を支える重要な要素です。一定規模以上の工場は、特定の計測器を設置することが法律で義務付けられています。つまり、工場が稼働している限り、計測器の需要は安定的に存在するわけです。
さらに、装置を納入するだけでなく、定期的なメンテナンスや測定に必要な薬品などの消耗品販売も重要な収益源です。装置を導入いただくことで継続的なお付き合いが生まれ、結果的に安定経営に繋がっています。
ーー会社理念や大切にされている価値観についても教えてください。
桺本:「躍進」「至誠」「公益」、この三つの企業理念は1950年代頃に作られ、今も受け継がれています。最近、会社のミッション・ビジョン・バリューを再定義したのですが、やはりこの「躍進(チャレンジし成長すること)」「至誠(誠実であること)」「公益(社会に貢献すること)」という根本的な価値観は、社員の中に深く根付いていると感じました。
特に、環境計測という事業を行う上で「公益性」は非常に重要です。変化の激しい時代において「躍進」し続けること、そしてお客様や社会に対して「至誠」であることは、会社全体で大事にしています。
「楽しい」を軸に広げる、ヤナコグループの未来
ーー伝統と安定性を持ちながらも、変化を恐れない。そんなアナテック・ヤナコですが、桺本さんから見て、どのような社風だと感じていますか?
桺本:一言でいうと、「アットホームで、変化に寛容な会社」です。経営陣との距離も近く、フラットに意見交換ができます。
弊社の事業は細く長く続けられる事業で、新しく参入してくるような会社もあまりいません。ですが、それでは面白くないし、もっと会社を成長させていきたいと考えています。

ーー「成長させたい」という点について、具体的に教えてください。
桺本:まずは現在の環境計測分野でのシェア拡大や技術応用による新分野への進出。そして、海外展開ですね。実は2025年の4月にインドに現地法人を設立しました。日本は公害問題をいち早く経験しましたが、今まさにインドや東南アジアで同様の問題が深刻化しています。そこに私たちの技術やノウハウを活かせる大きなチャンスがあると考えています。
また、私自身が様々な活動をしているのは、アナテック・ヤナコの既存事業以外の新しい柱を作るためです。会社の長期的な成長と生存戦略のために重要な活動になります。
ーー桺本さんご自身、取締役だけでなく他の会社の役員を務めるなど、多岐にわたる活動をされていますよね。その原動力は何なのでしょうか?
桺本:もちろん会社のため、というのは大前提ですが、自分が「楽しい」と思えることが大きな原動力となっています。キャリアの「分散投資」のような感覚もありますね。
最終的には、どんな活動もアナテック・ヤナコやグループ全体の成長に繋がるように考えています。新しい事業を立ち上げるにしても、基本的にはグループの資本内で展開します。グループ全体を大きくしていくことが、私の使命です。
ーー多様な事業や活動が相互に関わり合いながらグループ全体が進化していくイメージですね。
桺本:そうですね。「これしかやらない!」と決めつけず、柔軟に可能性を広く持って動いています。AIをはじめとして、変化のスピードが速い時代ですからね。
ーー会社の将来像として、思い描いているものはありますか?
桺本:アナテック・ヤナコのルーツである柳本製作所は、最大で900人もの従業員を抱え、京都の環境計測機器では一番大きな規模だったんです。
私はその時代を直接は知りませんが、当時のことを知っている方からは「昔のような大きな会社にしてほしい」と言われることもあります。漠然としていますが、かつての規模を取り戻し、さらにそれを超えるような会社にしていきたいという思いは強く持っていますね。
そのためには、関西だけにとどまらず、グループ全体で新規事業を創出し、会社を大きくしていく必要があると考えています。
地域で働く良さは精神的にゆとりを持って働けること
ーーアナテック・ヤナコでは今、どのような人材を求めているのでしょうか。
桺本:特定のスキルセットにこだわるというよりは、「変化を楽しめる人」と一緒に働きたいですね。そして、「こんなことをやりたい!」と自分から仕事を作りたい人。弊社は比較的柔軟に、その人の強みや意欲に合わせて新しい仕事や役割を作っていくことができる会社です。
もちろん、一般的なポジションの募集もしています。装置の製造を行う生産、お客様先でのメンテナンス、研究開発、技術営業といったポジションも空いています。

ーー転職を検討している方へ、アナテック・ヤナコのアピールポイントを教えてください。
桺本:事業基盤が安定しており、50名規模である分経営陣との距離が近く、「やりたい」と声を上げれば、スピーディーに挑戦できる環境があります。役割が細分化されすぎず、幅広い業務に挑戦できるチャンスがあるのは、この規模ならではの魅力だと思います。
ーー今回、移住転職コミュニティ「LoLLL」に参画された理由をお聞かせください。
桺本:一般的な転職サイトだと、どうしても給与やスキルといった「条件」でのマッチングが中心になりがちです。
しかしながら、LoLLLのようなコミュニティでは、会社のカルチャーや価値観に共感してくれる方との出会いが期待できるのではないかと考え、参画しました。
ーーLoLLLの利用者には、都市部から地域への移住転職を希望する方も多くいます。桺本さんご自身も東京での勤務経験がおありですが、改めて地域で働く魅力は何だとお考えですか?
桺本:個人的な意見ですが、都市部は比較対象が多く、常に周りと競争しているような感覚になりがちで、人生の豊かさを感じにくい側面があると思っています。キャリア志向が強い人には向いているかもしれませんが、そういう環境に少し疲れたな、と感じる人にとっては、地域の方が精神的にゆとりを持って働けるのではないでしょうか。
あとは、やはり「土地の魅力」ですね。京都は歴史や文化はもちろん、豊かな自然と都市機能がコンパクトに共存している街です。
弊社の本社がある伏見は、有名な酒どころであると同時に、京都市中心部や大阪へのアクセスも良いベッドタウン。地域の落ち着きと都市の利便性を両方感じられる環境です。土地や人を好きになり、仕事もフィットすれば、移住転職は非常に充実したものになると思います。
ーー他の地域から入社される方に期待することはありますか?
桺本:「新しい風」を吹き込んでほしいですね。たとえば、ITに強い方であれば、私がこれまで進めてきたDXをさらに加速させてほしいですし、マネジメント経験がある方であれば、新しい視点で組織を強化していくことにも期待しています。
LoLLLはコミュニティだと思うので、コミュニティでの交流を通じて会社や私のことを知ってもらい、一緒に働きたいと思う方がいらっしゃれば嬉しいです。
ーーじっくりと関係性を築いていきたいという想いが伝わってきました。本日は貴重なお話をありがとうございました!
文責:おばたわたる ( X / note )
編集:LoLLL編集部
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