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愛別離苦 #毎週ショートショートnote【雪和尚】

 忘れられないミユキの白く儚い透明の笑顔。
 降り続く粉雪は街の色を奪っていく。
 どこへ隠すか落としたとしても見つからない雪一色で僕に区切りをつけさせるためだとすれば、なんと冬は暖かいのだろう。

 誰かが雪だるまを作っていた。
 表情のない雪だるま。

 僕は彼女がそこに佇んでいるように思えた。

 冷たい。あの時の彼女の頬のようだ。どれだけ撫でても暖かさが返ってこなかったあの時、僕の心もそして冷えきってしまった。

「いつかとけていくものですよ。その雪も」
振り返るとスコップをもった人が寒さの中にも柔らかな表情を浮かべる。
「あなたは」
「そこの寺の坊主ですよ。檀家さんの雪かきでして。突然ですがもしよければお手伝い願えませんか」
 
 僕は唐突な彼の申し出を受けこの雪の中でひと時汗を流した。

「和尚さんからいつも頂くの。美味しいから持ってって」
檀家の女性から渡された大根。

「有機栽培ですから。雪だけにってね」

 和尚さんがダジャレかよ。

 僕は久しぶりに笑った。

 完(本文410文字 字下げ空白除く)


田原にかさんの毎週ショートショートnote今週のお題「雪和尚」です。
どうぞ宜しくお願いします。

最近シロクマ文芸部様の企画にも参加しはじめました。
毎回ではないですがそちらもお目に留まれば宜しくお願いいたします。


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