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椿の咲く野の中で 《詩》

わたしはここで生まれた
椿の花が一面に咲き誇る野の中で
わたしは今ここに帰ってきたのだ

わたしは何も変わっていない
旅の途中でいくつかの人格を
手に入れただけのことだ

ここでは必ず朝が来る
それは当然のようにやって来る
けれども今では…
ああ どうしたことか
わたしは夜を愛するようになってしまった
あの暗闇がわたしをほっとさせる
誰も入ってこれない 
ぼうっとした暗がり
静かな愛すべきわたしの時間


わたしは思い出す
パッヘルベルのカノンのように
澱みない晴れやかな心で
歌っていた日のことを
子供の頃に描いた花の絵
あの屈託のない絵は
どこに行ってしまったろうか
今では朝の光がどこか眩しい

昔はここがわたしそのものだった
花が咲き乱れ 
いつも光に満ちて
朝は必ずやって来た

けれども今はどうだ?
もうすぐ朝がやって来るかもしれないと
心配している
もっと闇に浸っていたいのだ


この椿の花の咲く野に立って
もう一度わたしの音色を奏でたい
もう一度わたしの色で描きたい
可憐で 素朴な そのままのわたし


けれども
ほんとうにそうか?
ほんとうにそうなのか?
憧れと懐かしさは
もう二度と
Nevermore
触れることのできぬものだというのに




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