なぜジョーカーは銀行を襲ったのか-映画「ダークナイト」を徹底考察する【名作再考#2】
どうもTJです
今回は前回の『セブン』に引き続き、名作を再・考察していくシリーズ
今回は2008年公開『ダークナイト』についてネタバレありで徹底考察していく
是非、最後までお付き合い願いたい
あらすじ
ゴッサムシティを苦しめていた犯罪集団を倒し続けるバットマンことブルース・ウェイン。警部補と地方検事の力を借りて犯罪集団をおさえ込むことに成功した彼の前に、凶悪な犯罪者ジョーカーが出現、町は再び混乱に陥る。
なぜジョーカーは銀行を襲ったのか

映画史に残るオープニングカット
この映画を既に観られた方ならご存知の通り、この後ジョーカーという名もなき男は“白い仮面”を被り、銀行を襲う
だが、結末を知った上でこのシーンを見返すと、ある問いに直面せざるを得ない
-なぜジョーカーは、銀行を襲ったのか
もちろん、ジョーカーはお金のために銀行を襲ったのではない
ジョーカーが銀行から奪い取った大量の紙幣は、その後自らの手で燃やされる

ジョーカーはもともと、資本主義という競争社会から排除された名もなき敗者だった
※幼少期の虐待(スマイルカット)は貧困と深く関係する
だからこそ、名もなき敗者は資本主義(capitalism)という不条理なシステムをぶち壊すために、白い仮面を被り(ジョーカーとなり)、銀行を襲う
そして、その矛先は資本主義の権化とも言える黒い仮面を被った、バットマンへと向けられる
格差が広がり、犯罪と不正が蔓延するゴッサム・シティを自らの手で取り締まるバットマン
しかし、バットマンの力の源は、ウェイン産業の資本力にほかならなず、それは守るはずのゴッサム・シティから吸い上げたものでもある
莫大な資本力を背景に重装備のバットマンに、即席の武器で立ち向かうジョーカー
「正義」と「悪」はコインのように「表裏一体」であり、善悪の境目は劇中、どんどんと捻れていく

ジョーカー=オバマ?
「ダークナイト」における政治性
『ダークナイト』が公開された2008年
それは奇しくもアメリカ大統領選の真っ最中であり、民主党のバラク・オバマは「Change!」というスローガンのもと、大規模な選挙キャンペーンを展開していた
公開から数ヶ月、オバマ大統領はアメリカ初の黒人系大統領となり、民主党は久々に大統領の座を奪還する
しかし、その翌年
オバマ政権は目玉政策であるオバマケア(皆保険制度)をめぐり、保守層から大バッシングを受け、SNSでは次のような画像が拡散された

オバマの顔をジョーカーと重ね、『socialism(社会主義)』と批判する画像
ジョーカーがこの運動に利用されるのは、資本主義への反逆というアイコンであるからに他ならない
無論自分としては、オバマがジョーカーだと言いたいわけでも、この運動を讃美したいわけでもない
ただ今作『ダークナイト』が単なるブロックバスター作品に留まらず、強い政治性を帯びていることは否定できないだろう
それはバットマンが香港マフィアを連れ去るところにも現れている
バットマンは秘密裏に香港に侵入し、マフィアの金庫番であった中国系実業家のラウをゴッサム・シティへ強引に連れ戻す

なぜ相手は中国系なのか
それは中国がこの頃から急速に発展しているからであり、その脅威を抑えたいという大国の欲望が現れている
皮肉にも『ダークナイト』が公開された後、アメリカにはリーマンショックが襲い掛かり、中国の更なる台頭を許すことになる

https://www.rieti.go.jp/users/china-tr/jp/ssqs/140502ssqs.html
中国資本のハリウッド作品は増加し、中国系のキャストは本作から一転して重要な役柄として活躍するようになる
人々への「信頼」
ジョーカーという恐怖によって、我々の社会は嘘と欺瞞に満ち溢れたものであることが暴かれ、バットマンとは本当に「正義」なのかという問いが観客に投げかけられる
バットマンが法を犯しているのは、前作『バットマン・ビギンズ』から引き続きだが、今作で印象的なのはジョーカーを捕まえるために、民衆の電話を盗聴するというところだ
これは2005年、テロとの戦いを名目に、ブッシュ大統領が米国内における電話や電子メール等の通信の傍受を強化しようとしたことの風刺でもある

善悪を規定するはずの法を軽々しく超えるバットマン
それはポスト9.11のアメリカ政府の姿を彷彿とさせ、私たちは問いかけられる
果たして、これは社会的に「正義」なのか
もちろん、最終的に多くの観客はバットマンを「正義」として捉えるし、ジョーカーは「悪」として認識する
では、法を犯している点では共通する両者を分かつものは何なのか
それは人を殺さないと言う信念があるかどうかである
バットマンはジョーカーと同じく、法を犯し、暴力的な手法を用いるが、人を殺さないというポリシーによってのみ正義でありつづけている
小さな無秩序で、体制をひっくり返す。すると世の中は大混乱に陥る。俺は混乱の使者。何が混乱を起こす? 恐怖だ。
ジョーカーの恐怖によって社会は機能不全に陥った
それでも、崩壊しなかったのは民衆たちの信念によるものであった
終盤、民衆と犯罪者を乗せる2隻のフェリー
彼らはギリギリのところでお互いに信頼し、ジョーカーによる爆破を免れた

最後、社会を救ったのは彼ら自身の信念であり、監督クリストファー・ノーランは過去作からそれを一貫して描いている
バットマンは「人を殺さない」という一点でのみ正義であることを保っていると前述したが、最後ジョーカーによってバットマンは闇落ちしたハービー・デントを殺してしまう
この瞬間、彼は正義ではなくなり、ジョーカーと変わらない存在となった
だからこそ、彼はゴッサム・シティを去るのであり、ハービー・デントは「正義」のアイコンとして埋められる
たとえ、それが嘘であったとしてもー

まとめ
だいぶ長くなってしまったので少しまとめてみたい
ジョーカーはなぜ銀行を襲うのか?
→彼は資本主義の敗者であり、資本主義への反逆のシンボルだから
これはバットマンと戦う理由でもあり、現実世界のオバマとも接続した
社会を支えるのは、システムではなく信念である
クライマックスでは民衆の信念によってジョーカーに抗い、崩壊を防いだ
クリストファー・ノーランは最後まで人々を信頼している
だからこそ、多くの人々は彼の作品に惹きつけられるのではないだろうか
ということで、いかがだっだたろうか
今後も新作、旧作問わず気になった作品はレビュー、考察していくので良かったらスキ、フォロー、コメント等是非!
(今後の投稿の励みにもなります!)
(好評だったら次作『ダークナイトライジング』もやりたいと思う)
では!
参考書籍
バットマンの死: ポスト9・11のアメリカ社会とスーパーヒーロー (遠藤 徹)
https://amzn.asia/d/hgK5Pf4
画像は全て以下から引用
https://www.imdb.com/title/tt0468569/mediaindex/
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見返りは何もありませんが、結構助かります。