見出し画像

[連載小説]第十四話 / 犬だけど何?野良犬の俺がホームレスのアイツと出会ってすみかをゲットする話 / 第二章スカイドッグスター⭐️バンド結成


第十四話 涙の再会


前回の話




ここまでのあらすじ


元捨て犬ビーグル犬『イヌ』の飼い主のばあちゃんが心臓の発作で倒れた。イヌの活躍でばあちゃんは救急搬送。
野良犬となったイヌは歌手の夢を持つホームレスの青年ソラと出会う。
意気投合しバディとなった2人。
寅造とともにホームレス生活から再スタートした。
老健施設の歌のイベントの後、イヌは『ばあちゃんの匂い』に気づくが施設に取り合って貰えずしょんぼりしていた時、健太と再会。ばあちゃんがここにいる事がわかった。

第十四話 涙の再会


俺は、ソワソワしながら健太を待った。
「あの建物の中に、ばあちゃんがいる」
そう思うだけで嬉しさが込み上げる。施設のギリギリのところに行っては、ドアの付近でクンクンしてみた。
「ちょっとだけ、匂いが漏れ出てこないかなぁー」

あ!健太だ!
施設の入り口から健太がこちらに向かって走ってきた。
「イヌ、ソラ!お待たせ!
施設のスタッフさんに話したんだ…」健太は息を切らして「ハァーー」って、息継ぎをした。
「…大丈夫だって!中に入るの無理だけど、面会室のガラス越しなら、顔見られるようにしてくれるって。
イヌのこと話したら、ばあちゃん、すっごく喜んでた!」
「え〜!!ありがとう!健太!」

俺たちは、駆け足で指定の場所に向かった。

「まあ?!さっきの子たちね。『健太くんの友だちだ』って言えば良かったのに。『匂いでどうの』って言うから、何の話かしらって思ったわ…」

俺は健太を見上げた。健太はソラに小さな声で、「まぁねー。もう友だちだろ?『イヌがばあちゃんがここにいることが匂いでわかった』とか…別に施設の人に言うこともないでしょ。ややこしいじゃん」と言って笑った。「施設のスタッフさん、僕とソラが待ち合わせしてたんだろうって勝手に勘違いしているみたい…とにかくよかったな!」そう言って嬉しそうに笑った。


ガラスの向こうに、ばあちゃんが見える…
「ああー!!ばあちゃん…!
俺のこと、見える?イヌだよ!!」
俺はシッポを全速力でブンブン左右に振った。
施設の中でなければ、本心は、
「ワンワンワンワン!」って、ずっと吠え続けたかった。
ちょっとだけ、短く「ワン…ワン!」って吠えた。
あとは抑えきれなくて
「クーンクーンクーン」と言って、
仔犬の頃みたいに鼻を鳴らした。

「こちらにね…はい。繋ぎますね」健太のスマホにかかってきた。
「おばあちゃんの声をこのタブレットで拾いますから、ゆっくり話してくださいね」

健太のスマホから懐かしい声が聴こえてくる…。
「イヌ…来てくれたのかい?まさか、また、お前に会えるなんて…」
ばあちゃん、涙声?
「クーン…クーン…」
「ケガはしなかったかい?ばあちゃん、救急車の中でも気が気じゃなかったんだ…あの時はありがとうね。お前のおかげでばあちゃん、命拾いしたよ。イヌ……」

目にいっぱい溜めた涙が、ポロポロ、ばあちゃんの頬をつたった。
手をガラスに当てて、俺を撫でるようにガラス越しにさすってくれた。

ばあちゃんの手を、俺はガラス越しに舐めた。

「あなたが拾って育ててくれたんですね。健太から聴きました…なんて、お礼を言っていいか…本当にありがとうございます。
大雪の日に、この子を助けてくれて育ててくれたんですね。入院してからも、ずっと気になっていました…
あんな雪の中にイヌはひとりで、どうしただろうかってね…」

「クーンクーン」と言うと、優しい眼差しでガラス越しに俺を撫でてくれた。

「そろそろ、お部屋に戻りましょうか?」
「イヌ、また遊びにいらっしゃいね。ばあちゃんもリハビリがんばるよ」
施設の人が車椅子を押して、ばあちゃんは部屋に戻って行った。
俺は、ばあちゃんの背中が小さくなるまで見送った。

「ばあちゃん、また来るよ!」
俺はちょっと張る声で、「ワン!ワン!!」って呼びかけた。
ばあちゃんは、チラッとこっちを振り向いて、うなづいていた。



ソラと健太と並んで歩く帰り道。
途中、健太が口を開いた。
「なんか、メシ食ってく?」
「いいね!…あ、良かったら、ウチ来る?
ちょっと歩くけど。何か適当に買ってさ!」
ソラが誘ったら、
「いいの?!」
健太は嬉しそうに答えた。

「健太、来てくれるの?!」
うわー今日は、最高の日だ!!

第十五話へ続く
スカイドッグスター⭐️誕生!


いいなと思ったら応援しよう!

海caretta🏝️🐢 応援頂き、ありがとうございます😭 応援に応えて作品を書いていきます!