[連載小説]ソグディアナ物語17-②康国ナオシャンダ姫とニルファナ
ここまでのあらすじ
『シルクロードJUN JUN』のソジュンはデビューし、ミュージカルでも活躍。
初期メンバーの純一は、シルクロードの研究者に。
二人は、マネージャーのアン・ミンジェとサマルカンドへ旅することになった。
ソジュンはタイムスリップしてラクダのキャラバンでシルクロードの旅に出た。たどり着いたオアシスで出会った娘ロクサナに恋心を抱いた。
一方、ソジュンが消えブハラに残されたアンミンジェは途方に暮れていた。
そこに現れたのは古代の出立ちの金旭俊と名乗る若者。
アンミンジェは、行方不明になった純一、ソジュンのことや、突然やって来た金旭俊のことを相談したくて、長老を訪ねたが不在だった。
夕刻、メイク兼スタイリストのNAOがハイテンションでやって来た。NAOは翌朝、目覚めると、宿の前にはラクダの隊商が迎えに来ていた。
その中には亀茲のダダンブクの次女ニルファナもいた…
前回の話
ソグディアナ物語17-①
柴犬あんさん作、オープニング曲
第十七章 康国ナオシャンダ姫とニルファナ②
ここで再び、現代のブハラの宿に取り残されたアン・ミンジェの話に戻る。
純一とソジュンが行方不明になり、古代の格好の金旭俊までやってきたことで、ミンジェはかなり混乱していた。
昼間は不在だった長老が、宿に戻ったミンジェを訪ねてきた。
「実は、あの話には続きがございまして……」
長老は、ソグディアナの物語の続きを語り出した。
「千年余の時を越えし時、
三人の旅人、不思議な木簡持ちて東の国より来たる。
その者が携えし木簡、我らが伝えし木簡と合わさるならば、瑠璃色の光放ち、『時の扉』が開かる。
その若者ら、時の扉を渡りてソグディアナの故地を旅す。
時の扉開くならば、先んじて過去から未来に紛れ込みしソグディアナの姫ナオシャンダも故郷ソグディアナに戻ること叶う」
アンミンジェは、驚いて長老に質問した。
「えっ?!その『東から来た旅人』が、まさか『私たち三人』だと……?」
「おそらく…」
「と言うことは……ソジュンと純一は、その『時の扉』の向こうに行ったとおっしゃるのですか?!」
「そう思われますな」
「いやぁ、そう言われましても、そんな伝説の話を鵜呑みには出来ません。タイムスリップしただなんて……
それはそうとして、お尋ねします。
その伝説のナオシャンダ姫とは、どういう方なのですか?」
「私たちソグドのもともとの故郷は、今のサマルカンドなんですが、昔は康国と呼ばれていました。その康国の姫です。
ナオシャンダ姫は、たいそう活発な性格で隊商を率いて商売をしておりました。
商売の領域も広範で、西の波斯国(ペルシャ)、羅馬(ローマ)にも販路を拡げておりました。波斯の国の政情不安定な時代でもあり、父上の康国王は心配して、シルクロードを旅する時は男装をするように命じたのです。
ところがナオシャンダ率いる隊商が
それまで見たことのない猛烈な『瑠璃色の砂嵐』に襲われた時に、ナオシャンダ姫は、共に旅していたラクダの隊商の前から、忽然と姿をくらました、というのです。
私たちの言い伝えでは、瑠璃の砂嵐が起こる時、『時の扉』が開き、未来に旅することができる、と言われておりましたそうで…当時、『ナオシャンダ姫は時の扉の向こうの未来に紛れ込んでしまったのではないか』と噂されたそうです」
(ナオシャンダ?……まさかNAOTO??でも、男装というよりNAOはむしろ女性になりたいタイプで、ジェンダーフリーな感じだけど)
ミンジェは、長老に言った。
「実は、私たちと合流するためローマからブハラに到着した人物NAOも、今朝から行方不明になっているのです…」
「NAO??もしかしたら、その方がナオシャンダ姫かもしれません」
「うーん、にわかには信じられない話ですが……
NAOは、ソジュンが泊まった部屋に宿泊したのですがNAOもソジュン同様に姿が見えなくなってしまって…『時の扉』の向こうに行ったなんて、そんなことがあるんでしょうか?」
「ナオシャンダ姫がNAOさんだとしたら、前夜に開いた『時の扉』を渡ってソグディアナの時代に戻られたのかもしれませんな……」
第十八話に続く
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