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[連載小説]第二十五話 / 犬だけど何?野良犬の俺がホームレスのアイツと出会ってすみかをゲットする話 / 第五章スカイドッグスター⭐️運命の出会い

第五章スカイドッグスター⭐️運命の出会い



前回の話はこちら


ここまでのあらすじ

元捨て犬のビーグル犬『イヌ』は、飼い主のばあちゃんが心臓の発作で倒れ野良犬になった。
歌手の夢を持つホームレス青年ソラと出会い意気投合し、バディとなる。
やがて寅造とともにホームレス生活から再スタート。
老健施設の歌のイベントの後、イヌは健太、ばあちゃんと涙の再会を果たす。

ソラ、健太、イヌはバンド『スカイドッグスター』を結成し、
SNSに動画をアップ。
動画撮影では、オヤジバンドの応援も。
スカイドッグスターの井の頭公園路上ライブ活動を始めた。
犬仲間な声掛けでいつも聴きに来てくれる観客も少しずつ増えた。
初雪の日、イヌの初恋は雪とともに消えた。 
彼らの推しの小説家が、「スカイドッグスター」を観て発想したファンタジー小説の主題歌制作を頼まれた。
曲が完成し井の頭公園でMV撮影をすることになった。



第二十五話 
井の頭公園 DESTINY
デスティニー


SFファンタジー・アニメの主題歌が完成!

演奏は寅造じいちゃんたちのバンドTIGER ORIGIN Zも参加して、
「プロモーション・ビデオ」の撮影をすることになった。

『スカイドッグスター』

作詞ソラ
作曲健太
アレンジ秀樹
SKYDOGSTAR featuring
TIGER ORIGIN Z(寅造じいちゃんたちのバンド)



「ありのままの仲間たち」と触れ合うがコンセプト。
当日は、ばあちゃんを招待した。
スカイドッグスターを最初から応援してくれている仲間たちも駆けつけてくれた。

撮影は無事終了。
歌は大好評だった。

「OK!!良かったよ!いい感じだった。また連絡するね」



関係者への挨拶を済ませ、応援してくれたみんなが帰ったあと…。

ばあちゃんのところに行こうとしたら、ばあちゃんが泣いている。
「あれ?どうしてだろう…ばあちゃん…」

「どうしたの?!」 
俺たちは、慌ててばあちゃんのもとに駆け寄った。

「けんちゃん、けんちゃん…あの人が…お前の母ちゃんのお父さんなんだよ…」
「え〜!!誰が?どゆこと?」
「つまり……けんちゃんのおじいちゃんなんだよ…寅造さんが」

ばあちゃんは、バッグの中からハンカチを出して顔を覆い泣いている。

健太の母ちゃんを一人で育てたとは聞いていた…
寅造じいちゃんも「忘れられない人がいる」って言ってたよな…。
「まさか、健太のばあちゃんのこと?!」
ソラと同時に、
「ワン?!」と、俺も吠えた。



言葉を失っていた健太が、やっと口を開いた。
「…え?俺のじいちゃん?」
寅造じいちゃんの方をチラッと見て、目を合わさないように視線を逸らした。

「寅造じいちゃんとばあちゃんの感動の再会」を俺は想像した。
「あきちゃーん」って言って、駆け寄って抱きしめたらいいのに…。 
でも、じいちゃん、どうして?
リアクション薄くない?

寅造じいちゃんが驚いていたのは言うまでもないんだけど…。
懐かしそうな、嬉しそうな、でも気まずそうな複雑な表情をしていた。

人間って難しいんだな…
さすがに犬の俺にはまったくわからない。
これから、どうなるのだろう?



その晩は、みんな動揺していた。

「健太くん、明子さん、今日のところは俺がコイツの話を聞いとくよ」
寅造じいちゃんは、源じいちゃんの家に泊まることになった。

健太も動揺していた。
「健太くん、大丈夫か?今日は、運転するのは危ないかもな…」
秀樹さんが健太の車を運転して、ばあちゃんと健太を連れて帰ることになった。
健太に頼まれて、俺たちもばあちゃんの家に泊まることにした。



「ばあちゃん、大丈夫?」
「さっきはゴメンね。少し落ち着いたよ…今日は大事な歌の発表会だったのに、ばあちゃんが取り乱してごめんなさい。お茶淹れるね」
「おばあちゃんは、座っていてください。オレがお茶をいれます」
「ありがとう、ソラ。メシは出前でもとろうか」
「そうしてくれるかい?」



その晩、俺たちは、ぽつりぽつりと語る、ばあちゃんの話を聞いた。

「昔ね、まだ健太が生まれるずっと前。ばあちゃんは横浜のデパートで働いていたんだよ」
健太にとっても初耳だったそうだ。

横浜で出会ったのが寅造さん。
バンドしていて、カッコよかったんだよ。付き合うことになって、やがて結婚の約束もした」
「……」

「ばあちゃんのお父さん、お母さんに結婚の挨拶をすることになってね。
建築現場で働きながら夢を追う『バンドマン』って事で反対していたけどね。ばあちゃんの気持ちに根負けして『ウチに挨拶に来させろ、会ってやる』って」

健太も初めて聞く話みたい。

「でも、寅造さん来なかったの…ばあちゃんのお父さん、怒ってね…。
『そんなヤツに娘はやらん!』って」
「……」
「結婚するつもりでデパートも辞めることにしていたから。ばあちゃん、アパートも引き払って実家に帰ったのよ」
「……」



「ずっと探したの。でも連絡先がわからくてね。
何年も後に人づてに聞いてやっとわかったの。
その日、現場で事故があって。寅造さん、しばらく意識がなかったんですって…。ばあちゃんとのこと知ってる人も大怪我でね。ばあちゃんに連絡取れる人がいなかったんだろうね。
仕事も結局、辞めたんだって…。
携帯電話なんか無い時代だからね…」

「その上、ひいじいちゃんが退職して、ここに引っ越した。
退職、引越し…だから電話番号も変わってしまって連絡取れなかったのか…」
健太が呟くように言った。



ばあちゃんは、あとは気が抜けたように黙っていた。
俺たちは、ただ、ばあちゃんの語り出すのを待っていた。
ばあちゃんが、ぽつりと言った。

「…寅造さんには言ってなかったから、お腹に健太の母ちゃんがいたことも知らなかったはずよ。
意識が無かったなんて知らなかったからね…
『連絡もよこさない』って、ひいじいちゃんは怒っていたの…」


「けんちゃん、今日はもう遅いから寝ようか。ばあちゃんも疲れちゃったよ…ソラくん、イヌもありがとう。心配かけたね。寝たら元気出るから」

その日は、そのまま寝ることにした。


第二十六話へ続く
















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