[連載小説]第二十一話 / 犬だけど何?野良犬の俺がホームレスのアイツと出会ってすみかをゲットする話 / 第四章スカイドッグスター⭐️ 最初の目標は推し10人と10匹だ (路上ライブ編 )
第四章スカイドッグスター⭐️
最初の目標は推し10人と10匹だ(路上ライブ編)
前回の話はこちら
ここまでのあらすじ
元捨て犬のビーグル犬『イヌ』は、飼い主のばあちゃんが心臓の発作で倒れ野良犬になった。
歌手の夢を持つホームレス青年ソラと出会い意気投合し、バディとなった。
やがて寅造とともにホームレス生活から再スタート。
老健施設の歌のイベントの後、イヌは健太、ばあちゃんと涙の再会を果たす。
ソラ、健太、イヌはバンド『スカイドッグスター』を結成し、
SNSに動画をアップ。
動画撮影では、オヤジバンドを始めた寅造じいちゃん、源じいちゃん、秀樹さんたちも参加。
いよいよスカイドッグスターは、井の頭公園で路上ライブを始めることに決めた。
第二十一話 最初の目標は推し10人と10匹だ!
(路上ライブ編)
井の頭公園は紅葉の季節。
いよいよ俺たちの路上ライブの挑戦が始まる。
「公園で歌うのは、やっぱり緊張するな…」
「うんうん、でも、いつも通りでやろうな!」
「だよな」
ここに慣れるために毎週、井の頭公園に散歩に来ている。
ま、それ自体は楽しいことだけどね。
友だちも出来た。
ゴールデンレトリバーのコロン姉さん、ラブラドールレトリバーのラックおじさん、
フレンチブルドッグのコタロー兄ちゃん、
柴犬のゴンちゃんとタロくん、
そして…
真っ白なプードル…
名前はまだ聞けていない、美人犬のあの子…。
「なに、ニヤニヤしてるんだ、イヌ?そろそろ行くぞ」
「よーし!いよいよだな」
「うん、ま、スカイドッグスターらしく行こう!」
「イヌ、お前の仲間にも伝えた?今日のこと」
「うん、この前会った知り合いにはだいたい伝えた。ゴールデンのコロン姉さんが『まあ、路上ライブ?!皆さんに伝えるわ。楽しみね。応援しています!』って言ってくれた」
「良かった。彼女は、ここの犬たちに顔がきくからな。まず最初の目標は、推し10人と10匹だ!」
いよいよ始まるよ!
俺らの初の路上ライブ!!
「オレらスカイドッグスターの初めての路上ライブへようこそ!!
オレたち右から健太、ソラ、そして、こっちがビーグル犬の『イヌ!!』それでは、さっそく歌います!
最初の曲は、Official髭男dismの『FIRE GROUND』!!
オレたちの歌を聴いてください!」
ありがとうございます!
じゃあ、2曲目は、Creepy Nuts『のびしろ』イヌ!準備OK?」
「ワン!!」
「どうぞ、お聴きください!!」
ソラのMCを聴きながら実は、ドキドキしていた。
落ち着くためにニンゲンなら、「人」…いや「イヌ」という字を前脚の裏にでも書くのかな?
それは出来ないので、
『フーーー』と深呼吸した。
何と言っても、『のびしろ』には、「ワン!」とか「ワッ!」という掛け声が何回もある。
「ちゃうやろ!」と言われそうだけど、俺の耳にはそう聞こえる。
俺たちにとって重要な曲目なんだ。
「歌い終わった…」
タイミング間違えないで言えた…ホッとしたよ。
「つかみはOK!」
最初から聴いてくれていたゴールデン・レトリバーのコロン姉さんとコロンファミリー、ラブラドールのラックおじさんの家族の匂いがして落ち着いてきた。
フレンチブルのコタロー兄ちゃんは、なんと公園仲間のフレンチブルたちを連れて来てくれた。
あ…白プードルさんだ。
「ヤバ!ドキドキしてきた…あがるから目ぇ合わさんとこ…」
次が一番、俺のパートが多い曲なんだ。
「3曲目は、アイナジエンドのZOKING DOG!」
ここは、連続する「ワンワン」のフレーズがある。
寅造じいちゃん、源じいちゃん、秀樹さんと動画撮影した曲だ。
4曲目、可愛くてごめん
5曲目、狙い撃ち
この2曲は、いろんな世代の人たちの心をつかむために選曲した。
山本リンダ「狙い撃ち」
これは、「いろんな世代の人が知ってて盛り上がるから」
ばあちゃんの選曲。
そして、ラストは、
ADO、Mrs.Green Appleの、
「私は最強」
ソラがハイトーンで歌い上げた。
「やったー」
「目標達成、10人以上の人たちと犬15匹が観に来てくれていた!」
もちろん定着することが大事なんだけど、とにかく皆んなに感謝。
終わった後、仲間たちが来てくれた。
「すごく、良かったわよ」
「ホント、僕たちも自然とシッポを振ってたよ」
「ねぇ、また歌うんでしょ。次は友だちも誘ってくるわ」
飼い主さんとは、ソラと健太が話していた。
俺は、ゴールデンのコロン姉さんに挨拶に行った。
「コロン姉さん、今日はありがとうございました!たくさんの仲間たちに声かけてくれて」
「楽しかったわ。良かったわよー。歌っていいわね!」
「…ところで。聞きたいことがあるんだけど…」
「どうしたの?イヌらしくないわね。モジモジしちゃって。わかることならね…。遠慮なく聞いて」
「あの、あの子の名前は…?」
俺はあの子をチラッと見て、勇気を出して聞いた。
「あそこの『白いプードルの女の子』の名前知ってますか?」
「あの子?知ってるわよ。バニラちゃんのことね。紹介してなかったかしら?…ねえ〜バニラちゃん!」
俺が止める間もなく、コロン姉さんはバニラちゃんのところに駆け寄って、こちらに連れてきてしまった。
「こんにちは!お話するのは、はじめましてかしら?私はバニラ。
イヌさん、歌お上手なのね!」
「あ、ありがとう…」
「また、聴きに来るわ。それではご機嫌よう」
「ご…ご機嫌よう…」
俺はしばらく、その場から動けなかった。ドキドキが止まらない…。シッポの具合が変だ…。
「どうしたんだよー?イヌ、ブルブル震えて」
健太がやってきて、俺に言った。
「べ、べつに…」
「そうか?」
ソラも「どうした?」って顔で覗き込んだ。
「とりあえず後片付けして、帰るぞ!」
帰りの車の中でも、さっきの言葉が頭によぎる…
「また、聴きに来るわ」だって…。
「ワァ〜ン!」
来週からが、ますます楽しみだ。
第二十二話に続く
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