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[連載小説]第二十二話 / 犬だけど何?野良犬の俺がホームレスのアイツと出会ってすみかをゲットする話 / 第四章スカイドッグスター⭐️ 最初の目標は推し10人と10匹だ (路上ライブ編 )

第四章スカイドッグスター⭐️最初の目標は推し10人と10匹だ (路上ライブ編 )


前回の話はこちら


ここまでのあらすじ

元捨て犬のビーグル犬『イヌ』は、飼い主のばあちゃんが心臓の発作で倒れ野良犬になった。
歌手の夢を持つホームレス青年ソラと出会い意気投合し、バディとなった。
やがて寅造とともにホームレス生活から再スタート。
老健施設の歌のイベントの後、イヌは健太、ばあちゃんと涙の再会を果たす。

ソラ、健太、イヌはバンド『スカイドッグスター』を結成し、
SNSに動画をアップ。
動画撮影では、オヤジバンドの応援も。
スカイドッグスターの井の頭公園で、初めての路上ライブをすることに。


第二十二話 
井の頭公園イヌの初恋の行方は?


真っ白なプードルの美人犬バニラちゃんを好きになった俺。
それからというもの、ライブ中にも、ついつい目で追ってしまう…。
バニラちゃんは、毎週来てくれた。
「ご機嫌よう!」と言って、挨拶するだけなんだけど…

幸せだ。



秋も深まり、紅葉が綺麗な季節。
公園には、落ち葉もいっぱいある。
俺は仔犬の頃から「カサカサした乾いた葉っぱの上」を走り回って遊ぶのが大好きなんだー。

「健太、ソラ!歌が終わったら、葉っぱのところで遊ぼうよ〜」
「仔犬か!」と、ソラにツッコまれた。
お兄さん犬になったとは言え、匂いの上がる感覚。
犬には、たまらないんだ。

ところで最近、バニラちゃんは来なくなった…
大きな池の周囲は見事な紅葉を楽しみに来た人間たちでいっぱいだ。
「紅葉が綺麗ね」と言いながら、ボートで遊んでいる。



今年のカレンダーも一枚だけ。
商店街でもコンビニの中からも、クリスマスソングが盛んにかかりだした。

その日、井の頭公園には早めの初雪が降ってきた。
「寒いなあー、ばあちゃんの言うとおり、今日はカイロ持って来てよかったな」
二人は手をカイロで温め、白い息を吐きながら言った。
「冷え込んできたね…」

ソラも健太も今年初めてのダウンを着込んでいた。
俺も今日は、ばあちゃんが編んでくれたセーターを着た。
「あったかーい、ばあちゃん、ありがと」



その日の公園の路上ライブには、ほとんど観客は来なかった…。通りかかりの人たちが「チラッ」と見るだけで、皆んな足早に通り過ぎていく。

俺たちは、早めに切り上げて帰ることにした。
「もう切り上げようか。積もり出したらヤバいよな」
「うん、そうしよ」

その時、向こうから嗅ぎ慣れた匂いが近づいてくる。
「あ!ゴールデンのコロン姉さん!
こんにちは」
「まあ、イヌさん、こんにちは!
今日は本当に寒いわね〜。最近、散歩時間が変わってしまって。
ごめんなさいね…今日は聴き逃してしまったわ」
「今日は寒いですからね…また聴いてください。
そう言えば、最近バニラちゃんを見かけないけど…」
「そうね…どうしたのかしらね…」

その時、俺の鼻が「バニラちゃんの匂い」をキャッチした。
シッポを振ろうとした瞬間、足が止まった。
「えっ…?!」
俺のシッポの力は抜けて、クルンと下を向いた…。
バニラちゃんが、ココア色のイケメン・プードルくんと一緒に歩きながら「キャッキャッ」って笑顔で戯れていた…。

「悔しいくらい、お似合いだなぁ…」
しょぼくれて、シッポを足の下に挟み込んだ俺。
ソラと健太が優しく慰めてくれた。

「イヌ…仕方ない。そんなこともあるさ」
「そうそう、そんな思いを歌にぶつけるんだよー。オレたちには歌がある!」

「なんだ、2人とも知ってたんだ…」
「当たり前だろ」
「お前さ、わかりやすいもんな」

俺の初恋は、フワフワした牡丹雪のように淡く溶けていった…。
あー鼻が凍るように寒い。
「寒っ」
誰だ?「犬は雪の中、駆け回る」って言ったの?
「俺は寒いの苦手なんだー!早く帰ろうよ〜」



後日談になるけど、健太とソラは、翌年、俺のために「失恋レパートリー」を見つけた。
一応言い訳するけど、そんなにひきづっていたわけではない。

でもソラと健太には、未だに、いじられる。
「イヌ、うってつけの歌を見つけたんだ。コレコレ!」
トキメキ♡宣伝部の「最上級にかわいいの」
確かにあの時の気持ちをぶつけられそう!
「カッコいいイヌになるぞ!」



話は、雪の日に戻る。

帰ろうとした瞬間、後ろから呼ぶ声がした。
俺たちが振り返ると、笑顔で近づいてくる女性がいた。
「あの人は、観客でいつも来てくれていた人だ!」

「いつも歌を聴かせてもらっています。
あの…お話があるんですが、少しお話させてもらってもよろしいでしょうか?」
「こちらこそ、ありがとうございます。いつも聴いてくださっていたんですね。
イイっすけど…お話ってなんでしょうか?…」

第二十三話に続く





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