無線LAN規格、Wi-Fiの闇①ご存知でしたか?
Wi-Fiって技術的な裏話が多いです
私もいろいろ経験しており
おもしろい話を一つ
接続しているデバイスと無線LANのAPとで相性もあるかも??
――「最大46Gbps」をあなたのスマホが出せない理由
家電量販店やネットショップでWi-Fiルーターを見ると、すごい数字が並んでいます。
「Wi-Fi 6 最大9.6Gbps」
「Wi-Fi 7 最大46Gbps」
46Gbps
ものすごく速そうです
ではWi-Fi 7対応のルーターを買って、Wi-Fi 7対応のスマホを接続したら、本当に46Gbpsで通信できるのでしょうか?
もちろん、
そんな速度はまず出ません。
私からしたらWi-Fi5、802.11acの規格ですら
かなり怪しい数字だと思います
これは家庭だけの話ではありません
工場でも、
「最新のWi-Fi 7対応APだから高速です」
というスペックだけを見てネットワークを設計すると、思ったほど速度が出ないことがあります。
なぜこんなことが起きるのでしょうか。
そこには、無線LAN規格の非常に分かりにくい「最大速度」の考え方があります。
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そもそも「最大46Gbps」とは何なのか
まず勘違いしてはいけないのは、
Wi-Fi規格の最大速度=あなたのPCやスマホで出る通信速度
ではないということです。
Wi-Fi 7の約46Gbpsという数字は、規格上の最大構成を前提としたPHYレートです。
広いチャンネル幅、高い変調方式、多数の空間ストリームなど、理想的な条件を積み重ねた数字です。
つまり、
Wi-Fi 7対応スマホを買えば46Gbps出る
という意味ではありません。
ここが最初の落とし穴です。
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スマホやPC側にも限界がある
無線LANにはMIMOという仕組みがあります。
簡単にいえば、複数のアンテナを使って複数のデータを同時に送受信する技術です。
例えば、
* 2×2 MIMO
* 4×4 MIMO
* 8×8 MIMO
などがあります。
ここで重要なのが、
アクセスポイントだけ高性能でもダメ
ということです。
APが8×8 MIMOに対応していても、接続するPCやスマホが2×2なら、その端末との通信で8ストリーム全部を使えるわけではありません。
つまり、
「最新Wi-Fi規格対応!」
だけを見ても実際の性能は分からない。
端末側のMIMO構成、対応チャンネル幅、空間ストリーム数などによって、実際に使える速度は変わってきます。
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AP自身にも「出口」がある
さらに見落とされやすいのが、APの有線側です。
例えばWi-Fi APの商品仕様に、
「最大10Gbps超」
と書かれていたとします。
ところが有線LANポートを見ると、
2.5GbE
だったりします。
無線側
最大10Gbps超
↓
Wi-Fi AP
↓
2.5GbEポート
↓
社内LAN
ここで注意したいのは、無線側の「最大○Gbps」が、複数周波数帯や複数ストリームなどのPHYレートを合算したカタログ値になっている製品があることです。
一方、2.5GbEはAPから有線LANへ出ていく物理インターフェースの速度です。
つまり、
無線側の合算PHYレートが10Gbpsを超えていても、APから有線LANへ10Gbpsで流せるという意味ではない。
この2つは同じ「Gbps」で表示されていても、意味が違います。
だから無線側の最大速度だけを見ても、システム全体の通信性能は判断できないのです。
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Wi-Fiは有線LANとは違う
ここも非常に重要です。
有線LANなら、1GbEの環境で条件が整えば、比較的1Gbpsに近い通信速度を狙えます
しかしWi-Fiはそう単純ではありません。
無線LANでは、
* 電波干渉
* 距離
* 壁や障害物
* チャンネル幅
* 接続端末数
* 変調方式
* 再送
* 通信プロトコルのオーバーヘッド
など、さまざまな要因によって実効速度が変わります。
さらにWi-Fiは、同じ無線空間を複数端末で共有します。
そのため、
PHYレート1Gbps=実際にデータを1Gbpsで転送できる
ではありません。
カタログに表示される「最大速度」と、私たちが実際に使える「実効スループット」は別物なのです。
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そしてインターネット回線が1Gbpsなら?
家庭では、もっと分かりやすいボトルネックがあります。
例えば自宅のインターネット回線が最大1Gbpsだったとします。
Wi-Fi 7
最大46Gbps
↓
スマホ・PC
↓
Wi-Fiルーター
↓
インターネット回線
最大1Gbps
Wi-Fi側だけをどれだけ高速化しても、インターネット通信では回線側がボトルネックになります。
しかも家庭向けインターネット回線の多くはベストエフォートです。
「最大1Gbps」と書かれていても、常に1Gbpsの帯域が保証されているわけではありません。
時間帯、回線混雑、プロバイダー、接続先サーバーなどによって実際の速度は変わります。
だから、
Wi-Fiルーターだけ最新機種に交換すれば、インターネットが劇的に速くなる
とは限らないのです。
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それでも高性能Wi-Fiに意味がある理由
ここまで読むと、
「じゃあ高性能なWi-Fiなんて必要ないのでは?」
と思うかもしれません。
家庭でスマホ1台のインターネット速度だけを考えるなら、確かにオーバースペックになる場合があります。
しかし、多数の端末を同時に使う企業や工場では話が変わります。
例えば工場では、

というように、多数の無線端末を収容することがあります。
ここでは、
「1台の端末が何Gbps出るか」
より、
「多数の端末をどれだけ効率よく通信させられるか」
が重要になります。
OFDMAやMU-MIMO、6GHz帯、MLOなど、新しいWi-Fi技術の価値はこちらにもあります。
Wi-Fiの進化は、単純な最高速度競争だけではないのです。
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結局、「Wi-Fi 7対応」だけでは性能は分からない
PCに「Wi-Fi 7対応」。
スマホにも「Wi-Fi 7対応」。
APには「最大○○Gbps」。
しかし実際の通信速度は、Wi-Fi規格だけでは決まりません。
見るべきなのは、この経路全体です。
Wi-Fi規格
↓
2.4 / 5 / 6GHz
↓
チャンネル幅
↓
空間ストリーム・MIMO
↓
PC・スマホ側の対応
↓
アクセスポイント
↓
1 / 2.5 / 10GbE
↓
社内LAN・ルーター
↓
インターネット回線
どこか一つが遅ければ、そこがボトルネックになります。
だから「Wi-Fi 7だから速い」「最大46Gbpsだから高性能」という数字だけで判断してはいけません。
規格上の最大速度は嘘ではありません。
ただし、
「規格上出せる最大速度」と
「自分の環境で実際に使える速度」は別物。
この巨大な数字だけでは見えてこない部分こそが、私が感じる「無線LAN規格の闇」なのです。
