管理職になったら、まずこの本を読んでほしい。「リードマネジメント」という考え方
最近読んだ本の中で、
「これは部下を持つ人なら、一度は読んだ方がいいんじゃないか」
と思った本がありました。

橋本拓也さんの
『部下をもったらいちばん最初に読む本』です。
この本を読んで、私が一番興味を持ったのが、
「リードマネジメント」
という考え方でした。
部下への声かけの方法や、面談のテクニックというよりも、
「そもそも管理職とは何をする人なのか」
という部分から考え直すきっかけになった本です。
管理職の方はもちろん、
これから部下を持つ人にも、一度読んでみてほしいと思いました。
そもそも「リードマネジメント」とは?
リードマネジメントとは、選択理論心理学をベースにしたマネジメントの考え方です。
簡単に言えば、
「人は他人から直接コントロールされて動くのではなく、自分で行動を選択している」
という前提に立ちます。
つまり、
「どうやって部下を動かすか」
ではなく、
「どうすれば本人が自分から動こうと思えるのか」
を考える。
これが非常に重要だと思いました。
管理職になると、どうしても部下に対して、
「こうしてほしい」
「なんでやってくれないんだろう」
「前にも言ったのに」
と思うことがあります。
私自身も管理する立場なので、これはよく分かります。
でも、人は必ずしも「正しいこと」を言われたから動くわけではありません。
そこがマネジメントの難しいところなのだと思います。
「言うことを聞かせる」のがマネジメントではない
仕事ができる人ほど、
「自分だったらこうする」
という答えを持っています。
だから部下が違うやり方をすると、
「そうじゃない」
「こうした方が早い」
「こうやった方がいい」
と言いたくなる。
もちろん、仕事なので明確な指示が必要な場面もあります。
しかし、そればかりを繰り返していると、
「上司から言われたことをやる人」
は作れても、
「自分で考えて動ける人」
はなかなか育たないのではないでしょうか。
リードマネジメントでは、
上司が部下を外側から無理やり動かそうとするのではなく、
本人が、
「やってみよう」
「成長したい」
「こうなりたい」
と思えるような関わり方をしていきます。
ここが、従来の「管理する」というイメージとはかなり違うところだと思います。
人は「正しいこと」を言えば動くわけではない
仕事をしていると、
「どう考えても、この方法の方が効率がいい」
ということがあります。
それを説明しているのに、なぜか相手が動いてくれない。
そんな経験をしたことがある人も多いと思います。
でも考えてみれば当然で、
人それぞれ大切にしているものが違います。
評価されることが嬉しい人もいる。
人間関係を大切にする人もいる。
自由に仕事をしたい人もいる。
安定した環境を好む人もいる。
新しいことに挑戦したい人もいる。
つまり、
自分が頑張れた方法で、部下も頑張れるとは限らない。
ここは管理職として、とても大切な視点だと思いました。
この本では「5つの技術」に整理されている
この本では、リードマネジメントを大きく5つの技術に分けています。
①リーダーシップの技術
②個人の成長支援の技術
③水質管理の技術
④委任する技術
⑤仕組み化する技術
これを見ると分かりますが、
単純に、
「部下への接し方」
だけを扱った本ではありません。
個人を育て、
チームを整え、
仕事を任せ、
最終的には仕組みにしていく。
つまり、
「管理者が全部やらなくても回る組織をどう作るか」
というところまで考えられています。
「自分でやった方が早い」が一番危ない
個人的にかなり重要だと思ったのが、
「委任する技術」
です。
仕事ができる人が管理職になると、かなりの確率で、
「自分でやった方が早い」
という問題にぶつかると思います。
説明するより、自分でやった方が早い。
任せて間違われるくらいなら、自分でやった方が早い。
修正するくらいなら、最初から自分で作った方が早い。
これは確かにその通りです。
短期的に考えれば、自分でやった方が圧倒的に早いこともあります。
でも、それを続けていたらどうなるでしょうか。
部下には経験が蓄積されません。
判断する機会もありません。
そして最終的には、
「管理者がいないと仕事が回らない組織」
が出来上がってしまいます。
管理者自身も、
「忙しい」
「仕事が減らない」
「何でも自分のところに来る」
という状態になります。
これって、かなり多くの職場で起きていることではないでしょうか。
福祉・介護の現場にもかなり当てはまると思う
私はケアマネジャーとして働きながら、事業所の管理にも携わっています。
介護や福祉の仕事は、
「この方法でやれば必ず同じ結果になる」
という仕事ではありません。
利用者さんも違う。
家族も違う。
生活環境も違う。
職員の経験年数も違う。
価値観も違う。
だからこそ、
「こうしなさい」
だけでは、人はなかなか育たないと思います。
例えば、職員から相談されたとします。
管理者が答えを知っていれば、
「こうしてください」
と言ってしまうのが一番早いです。
でも、そこで毎回答えを教えていたら、
その職員は、
「分からなければ管理者に聞けばいい」
という働き方になってしまうかもしれません。
逆に、
「あなたはどうしたらいいと思う?」
「利用者さんは何を望んでいると思う?」
「他に方法はありそう?」
と一緒に考える。
最初は時間がかかります。
それでも、そうした経験を繰り返していけば、
少しずつ自分で考えて判断できるようになる。
「上司に聞かないと判断できない人」から、「自分で考えて判断できる人」へ。
これもリードマネジメントの考え方につながるのではないかと思います。
管理職は「人を動かす人」ではない
この本を読んで、私が一番印象に残ったことを自分なりにまとめると、
管理職は、人を動かす人ではない。
人が自分から動ける環境を作る人。
なのだと思います。
部下を思い通りに動かそうとすればするほど、
管理することが増えます。
確認することが増えます。
指示することが増えます。
結果として、
管理者自身がどんどん忙しくなります。
逆に、
一人ひとりが自分で考え、
自分で判断し、
自分で仕事を進められるようになれば、
管理者が細かいところまで管理する必要はなくなります。
つまり、
「部下を育てること」と「管理者自身の仕事を減らすこと」は、実は同じ方向を向いている。
これは非常に重要な考え方だと思いました。
管理職になったのに、マネジメントを習ったことがない
考えてみると不思議な話です。
専門職になるためには勉強します。
資格が必要な仕事なら試験もあります。
しかし管理職については、
ある日突然、
「来月から管理者お願いします」
と言われることがあります。
プレイヤーとして仕事ができる。
経験年数が長い。
資格を持っている。
そういった理由で管理職になります。
でも、
人の育て方。
仕事の任せ方。
チームの作り方。
部下との関係の作り方。
こういったことを体系的に勉強したことがないまま、管理職になっている人は意外と多いのではないでしょうか。
私自身もそうです。
だからこそ、
「マネジメントにも技術がある」
ということを知るだけでも大きいと思います。
これから部下を持つ人にも読んでほしい
この本は、
すでに管理職として働いている人だけではなく、
これから部下を持つ人にもおすすめしたいです。
特に、
「部下がなかなか育たない」
「何度言っても伝わらない」
「仕事を任せるのが怖い」
「結局、自分で全部やってしまう」
「管理職になってから仕事が増え続けている」
そんな人には、一度読んでみてほしいと思います。
私自身も、書いてあることをすべて実践できているわけではありません。
むしろ、
「ああ、これは自分もやってしまっているな」
と思うところがいくつもありました。
ただ、
「部下をどう動かすか」
ではなく、
「どうしたら、その人自身が動こうと思えるのか」
という視点を持つだけでも、
部下との関わり方は少し変わるのではないでしょうか。
これから管理者として仕事をしていく上で、
私自身も意識していきたい考え方の一つになりました。
『部下をもったらいちばん最初に読む本』
タイトル通り、
これから部下を持つ人が「いちばん最初に読む本」として、一度読んでみてもいい一冊だと思います。
