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実は3月、まだ走っていた──春の松本ランニングフェスティバル、後半加速で仲間と完走

以前、2026年3月は、「1ヶ月で350km、3レース」と書いた。

あれ、実は4レースだった。笑

2026年3月14日(土)、春の松本ランニングフェスティバル in 信州スカイパーク。ハーフマラソン。これを足すと、3月の合計は約373km。4レース。自分でもちょっと引いている。。。

ただし今回は、自分の記録のために走ったわけではない。

写真:やまびこドームでゴール後の3人。右から滝沢、私、奥寺。全員いい顔をしている。走ったあとの顔は正直だ。

そもそもネガティブスプリットって何?

この記事で何度も出てくる「ネガティブスプリット」、聞き慣れない方のために説明しておきたい。

簡単に言うと、前半をゆっくり走って、後半にペースを上げる走り方だ。「ネガティブ」という響きが後ろ向きに聞こえるけれど、実はとても賢い戦略で、多くのエリートランナーが採用している。

逆に、前半に飛ばして後半に失速する走り方を「ポジティブスプリット」と言う。名前だけは前向きだけど、後半は地獄になる。

多くの市民ランナーがやりがちなのは、こちらだ。スタートの興奮と周りのペースに引っ張られて前半を飛ばしてしまい、30km過ぎに脚が止まって歩き始める。フルマラソンのはずが「30km走+12km歩き」になってしまう。

ネガティブスプリットのコツは「前半の我慢」。身体に余裕があるうちにペースを抑え、後半に余力を残す。すると、周りのランナーが失速する距離でも、自分の脚はまだ動く。ゴールした瞬間の満足感がまるで違う。

私自身、静岡マラソンでこの走り方を実践して手応えを感じていた。次はこれを、一緒に働く仲間に体感してもらいたかった。

ハーフマラソンのスタートラインで、キャリア相談

エルハウスから3人で出場した。私と、滝沢と、奥寺。2人ともフルマラソンの完走経験はあるけれど、毎回前半に突っ込みすぎて30km以降がほぼ歩きになっていた。42.195kmではなく、30km走+歩き。これではもったいない。

口で「前半を抑えろ」と言っても、スタートの号砲が鳴れば周りに引っ張られる。だから今回、私がペースメーカーになることにした。「私のペースについてきてくれ」とだけ伝えた。

そして前半10kmは、ランニングセッションに充てることにした。

私たちはよくウォーキング会議やウォーキングミーティングをする。歩きながら話すと、会議室では出てこない言葉が自然と出てくるからだ。今回はその走る版。ランニングセッション。

7:02/km〜6:30/kmのゆっくりしたペースで走りながら、2人にこう聞いた。

「3年後、どうなっていたい?」

2人は今も会社の中心メンバーだ。でも、ただ走っているだけでは目標が見えづらくなるのは、ランニングもキャリアも同じだと思う。3年後、それぞれどんなふうにキャリアを伸ばしていきたいのか。未来の記憶をはっきりさせること。走りながら話すと、呼吸のリズムに合わせて言葉が出てくる。

その間、周囲のランナーにはどんどん抜かれていく。ゼッケンをつけた3人組が7分/kmで走りながら仕事の話をしている光景は、なかなかシュールだったと思う。

約60分、10km地点でセッション終了。さて、ここからが本番だ。

10kmからスイッチを入れる

ラップの推移を見てほしい。これがネガティブスプリットだ。

  • 1〜5km:7:02 → 6:48 → 6:50 → 6:55 → 6:47(セッション区間。仕事の話をしている)

  • 6〜10km:6:48 → 6:51 → 6:51 → 6:38 → 6:30(まだ話している)

  • 11〜15km:6:14 → 6:06 → 6:00 → 5:58 → 5:48(スイッチON。もう話せない)

  • 16〜21km:5:44 → 5:41 → 5:39 → 5:34 → 5:20 → 4:38(全開)

前半10kmの平均が約6:50/km。後半は5:40/kmまで上がり、ラスト1kmは4:38/km。前半にキャリア相談をしていたとは思えないラストスパートだ。

信州スカイパークのコースは松本空港を囲むように走る。当日は快晴で、北アルプスの山並みがくっきり。走っている間にFDAの飛行機が何機も離着陸していた。親子連れが散歩する横を、さっきまで仕事の話をしていた3人が猛然とペースを上げていく。不思議な光景だ。

前半サボったのに、自己ベストがでた?

結果はこうだった。

  • 網倉 博:2時間12分09秒

  • 滝沢 直也:2時間12分25秒

  • 奥寺 立佳:2時間12分26秒

3人の差はわずか17秒。最後まで走り切って、ほぼ同時にゴールした。今回のレースは順位もタイムも目的ではなかったので、数字は正直どうでもいい。大事なのは、2人が最後まで歩かずにゴールしたことだ。

私が先にフィニッシュラインを越え、振り返って2人がゴールに向かってくるのを撮った。2人とも、歩いていない。走っている。これが見たかった。

(写真:ゴールに向かう滝沢と奥寺。2人とも最後まで走っている。)

ゴール後、2人が気にしたのは意外なことだった。

「最後の500m、キロどのくらいで走ってたんですか?」

タイムでも順位でもなく、ペースの感覚に興味が向いている。しかも1人は、ハーフマラソンの自己ベストを更新していた。前半10kmでキャリア相談をしていたのに、過去最高のタイム。ネガティブスプリットの面白いところは、「前半サボったのに、結果が良くなる」というパラドックスにある。

口で教えるより、一緒に走る

私たちはエルハウスの筋トレ部で一緒に筋トレもやっている。普段はGoogleチャットのスレッドで報告し合い、3ヶ月に1度のオフ会では公園の鉄棒で懸垂をしている。会社の会議室ではなく、公園の鉄棒の前が私たちのミーティングルームだ。

走ることも、筋トレも、仕事も、結局は同じだと思っている。口で説明するだけでは伝わらないことがある。一緒に体験して初めて、共通の感覚が生まれる。

前半を抑える。後半に余力を残す。最後まで走り切る。

仕事でもキャリアでも、最初から全力で突っ込むより、土台を整えてから加速した方が遠くまで行ける。でも、それを言葉だけで伝えても、なかなか実感は湧かない。だから、一緒に走る。

2人の次の挑戦は、4月19日の長野マラソン。今度はフルマラソンで、ネガティブスプリットを自分の力で実践してもらう番だ。前半で何の話をするのかは、2人に任せようと思う。

ちなみに3月の走行距離、レースだけで約373km。4レース。我ながらよく走った。

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