「口に出すだけで、速くなる」─なのに、なぜあなたは黙っているのか。喋るだけで、現実が動き出す理由。
「口に出した人だけが、速い」──あなたは、まだ黙っているのか
── 喋るだけで、現実が動き出す理由。
── 人口4万人の港町で、毎日5件以上、 年間1,200件の経営の相談を受けている、荒川健生です。
前回は、「ありがとうとごめんなさい」の大切さについて書いた。
今回は、その手前。
「口に出す」ことについて書く。
ポジティブシンキングの話じゃない。
なぜ、口に出した人だけが速いのか。
そして、なぜ多くの人が口に出せないのか。
その構造の話だ。
■ 口に出さなければ、なかったことになる
少し前に、ある事業者の方と話していた。
飲食店を営んでいる、40代の方だ。
「いつか、2店舗目を出したいんですよね」
そう言った瞬間、本人が一番驚いていた。
誰にも言ったことがなかったらしい。
奥さんにも、スタッフにも、友人にも。
頭の中には、5年間あった。
でも、声にしたのは初めてだった。
ここに、大きな分かれ道がある。
頭の中にあるだけのことは、「考え」ですらない。
ただの「もやもや」だ。
声にした瞬間に、初めて「考え」になる。
考えになれば、次に何をすればいいかが見えてくる。
見えなければ、動けない。
動けなければ、何も変わらない。
つまり、口に出さなければ、なかったことになる。
この方は、あの日を境に動き出した。
翌週、物件情報を調べ始めた。
翌月、銀行に相談に行った。
3か月後、候補を3つまで絞っていた。
5年間、頭の中で止まっていたことが、たった一言で動き出した。
逆に言えば、5年間、口に出さなかっただけで、5年間止まっていた。
言葉にするかしないか。
たったそれだけの差で、速度がまるで変わる。


■ なぜ、口に出せないのか。3つの理由
ここまで読んで、
「それはわかる。でも、言えない」と思った人がいるかもしれない。
その気持ちは、よくわかる。
相談の現場で何百人もの事業者と話してきて、
自分の経験談も含めて
口に出せない理由は、だいたい3つに集約されると思う。
ひとつ目。
言って、できなかったら恥ずかしいから。
「2店舗目を出したい」と言って、出せなかったらどうしよう。
「売上を倍にする」と言って、倍にならなかったらどうしよう。
口に出した瞬間、それは「宣言」になる。
宣言には、責任がくっついてくる。
だから、黙っておいたほうが安全だと感じる。
でも、考えてみてほしい。
口に出さなかった人が「失敗しなかった」わけじゃない。
ただ、「挑戦しなかった」だけだ。
失敗しなかったのではなく、何も始まらなかった。
それは安全じゃない。停滞だ。
ふたつ目。否定されるのが怖いから。
「何言ってるの」
「うちには無理でしょ」
「今のままでいいじゃん」。
家族に言われるかもしれない。
スタッフに笑われるかもしれない。
同業者に鼻で笑われるかもしれない。
人は、否定されると痛い。
だから、否定される可能性がある言葉を、飲み込む。
でも、飲み込んだ言葉は、自分の中で腐る。
「やっぱり無理だ」に変わっていく。
他人に否定される前に、自分で自分を否定してしまう。
これが一番もったいない。
まだ誰にも言っていないのに、もう諦めている。
※過去の記事でも否定について書いている
みっつ目。
「思っているだけで十分」だと錯覚しているから。
これが、実は一番多い。
恥ずかしいわけでも、怖いわけでもない。
ただ、口に出す必要がないと思っている。
頭の中で考えている。
イメージもできている。
だから、もう十分だと感じている。
でも、これが一番危ない。
頭の中のイメージは、輪郭がぼんやりしている。
都合のいい部分だけが鮮明で、面倒な部分には霧がかかっている。
声に出して初めて、「あれ、具体的にはどうするんだ?」と気づく。
口に出すことは、自分の考えに輪郭を与える作業だ。
考えているつもりでも、声にしていなければ、まだ何も考えていないのと同じだ。
恥ずかしさ、恐怖、錯覚。
理由は人それぞれだ。
でも、結果は同じ。
黙っていれば、止まったままだ。

■ 口に出すと「逃げられなくなる」──それが、いい
ここで、自分自身の話をひとつさせてほしい。
この4月から、Noteを毎日書くと決めた。
決めただけじゃない。
10人以上の人に、直接伝えた。
「4月から、毎日Noteを書きます」と。
なぜ、わざわざ人に言ったのか。
自分ひとりで決めただけでは、弱いからだ。
頭の中で「毎日書こう」と思う。
それは、自分との約束だ。
でも、自分との約束は、自分の都合で簡単に破れる。
「今日は忙しかったから」
「明日まとめて書こう」
言い訳はいくらでも出てくる。
ところが、10人に伝えた瞬間、話が変わる。
自分との約束が、10人との約束に変わる。
書かなければ、「あの人、言ってたのにやってないな」と思われる。
口に出した言葉が、自分を見ている目になる。
逃げ道が、ひとつずつ塞がれていく。
これは、きつい。
正直、きつい。
でも、だからこそ続く。
面白いもので、人に言ったことで予想していなかったことも起きた。
「こういうテーマで書いてみたら?」とアドバイスをくれる人が現れた。
「読んだよ」と感想をくれる人が出てきた。
「自分も何か始めようかな」と言い出す人まで現れた。
口に出すと、自分だけの話じゃなくなる。
周りが動く。
周りが動くと、自分はもっと動かざるを得なくなる。
「口に出すと逃げられなくなる」。
多くの人は、これを怖いと感じる。
さっき挙げた「口に出せない理由」のひとつ目、まさにそれだ。
でも、逆だ。
逃げられなくなるから、続く。
続くから、結果が出る。
少しでも結果が出ると楽しい。また続く。
恥ずかしさは、ブレーキじゃない。 エンジンだ。

■ 「自分洗脳」という技術
「洗脳」と聞くと、怖い言葉に聞こえる。
でも、ここで言う洗脳は、他人にかけるものじゃない。
自分に、かけるものだ。
相談に来る事業者の方で、
うまくいく人には共通点がある。
自分の言葉で、自分を動かしている。
ある製造業の方(※実際は違う業種)は、
毎朝、作業場に入る前にひとりごとを言う。
「今日も、いいものを作る」。
誰に聞かせるわけでもない。ただ、自分に向かって言う。
最初は照れくさかったらしい。
当然だと思う。
独り言だ。
でも、3か月続けたら、変化が起きた。
作業の精度が上がった。
クレームが減った。
スタッフの動きまで変わった。
本人は「たまたまですよ」と笑う。
でも、たまたまが3つ重なることは、あまりない。
自分に言い聞かせた言葉が、判断基準になる。
判断が変われば、行動が変わる。
行動が変われば、結果が変わる。
これが、「自分洗脳」の正体だ。
怪しい話に聞こえるかもしれない。
でも、やっていることはシンプルだ。
自分の脳に、毎日、同じ情報を入力し続けているだけ。
パソコンだって、入力したデータに基づいて動く。
人の脳も、同じだ。
何を入力するかで、出力が変わる。

■ 脳は、主語を区別できない
もうひとつ、知っておいてほしいことがある。
人の脳は、「誰が発した言葉か」をあまり区別しない。
自分が口にした言葉も、他人から言われた言葉も、脳にとっては同じ「入力」になる。
つまり、こういうことだ。
「自分はできる」と声に出せば、脳は「できる」を受け取る。
「どうせ無理だ」と声に出せば、脳は「無理だ」を受け取る。
どちらも、同じ重さで届く。
だとしたら、どちらを入力するかは、自分で決められる。
相談の現場でも、これは毎日のように見る。
「うちなんか、大したことないですよ」が口ぐせの事業者は、
本当に大したことをやらなくなる。
新しい挑戦を避ける。
提案しても「いや、うちには無理です」で終わる。
言葉が、自分にブレーキをかけている。
本人は気づいていない。
一方で、
「まだまだ、やれることがある」が口ぐせの事業者は、
本当にやれることを見つけてくる。
同じような規模、同じような業種。
条件はほとんど変わらない。
違うのは、自分に何を入力しているか。
それだけだ。
言葉が先で、現実があとからついてくる。
多くの人は、この順番が逆だと思っている。
「結果が出たら、自信を持って言えるようになる」と。
でも、実際は逆だ。 先に言うから、結果がついてくる。

■ 明日からできる、たったひとつのこと
ここまで読んで、「なるほど」と思った人もいるかもしれない。 でも、「なるほど」で終わったら、この記事を読んだことも、なかったことになる。
だから、ひとつだけ提案したい。
明日の朝、家を出る前に、ひとこと声に出してほしい。
「自分は、〇〇する」。
〇〇は、何でもいい。
「今日、あの人に連絡する」でもいい。
「今月中に、新メニューを決める」でもいい。
「来年、売上を1.5倍にする」でもいい。
大事なのは、3つだけだ。
ひとつ。声に出すこと。
頭の中で思うだけでは足りない。
自分の耳に、自分の声で届ける。それが「入力」になる。
ふたつ。「〜したい」ではなく「〜する」と言うこと。
「したい」は願望だ。「する」は宣言だ。
脳は、宣言を受け取ると、そこに向かって動き始める。

みっつ。できれば、誰かに伝えること。
自分との約束は、破りやすい。
でも、人に伝えた約束は、簡単には破れない。
1人でもいい。「自分は〇〇する」と、誰かに言う。
その瞬間、あなたの言葉は自分だけのものじゃなくなる。
逃げ道がひとつ減る。そのぶん、前に進む力が生まれる。
恥ずかしい。
否定されるのが怖い。
思っているだけで十分だと思っている。
さっき挙げた3つの理由、どれも気持ちはわかる。
でも、口に出さなければ、なかったことになる。
口に出した人だけが、速い。
その差は、能力の差じゃない。
才能の差でもない。
声に出したか、出さなかったか。
たったそれだけの差だ。
もし今、あなたの頭の中に「もやもや」があるなら。
明日の朝、ひとこと、声にしてみてほしい。
明日じゃなくても、「今」このコメントに記載する方法もある。
手帳に書く、パソコンに入力してみるのも一つだ。
その瞬間、「もやもや」は「計画」に変わる。
計画に変わった瞬間、あなたはもう動き出している。

追伸
4月、「毎日Note書きます」と10人以上に言った。
3日目から、原稿に追われている。
ネタはある。時間がない。
やり方を変えた。長さを捨てた。完璧を捨てた。
結果、毎日が楽しい。 自分洗脳、ちゃんと効いている。はず。
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