1「家で良い子」の正体――その笑顔、本当の気持ちかな?
「うちの子は、家では本当に手がかからないんです。言うこともよく聞きますし、静かで、困ったことは何もありません。」
子育てや孫育ての相談を受けていると、こんな言葉をよく耳にします。そして、そのあとにこう続くことがあるのです。
「でも、クラスの子に暴言をはいたり、手を出したりしてるみたいなんです」
「でも、学校から先日呼び出されたんです。どうも、先生に反抗しているみたいで……。そんな子じゃないはずなんですけど。」
「良い子」でいてくれるのは、親としてはありがたいことかもしれません。
でも、その「良い子」が、本当の姿ではなかったとしたら――。
【「良い子」が必ずしも“幸せな子”とは限らない】
家の中で、親や祖父母の顔色をうかがいながら、静かに言うことを聞いてくれる子ども。
大人の理想のような「良い子」ですよね。
でも実は、その子どもが心の中に「本音」や「不安」を押し込めていることもあるのです。
特に、
家庭の中で叱られたくない、
期待を裏切りたくない、
という気持ちが強い子ほど、自分を抑えるのが上手になります。
言いかえれば、「猫をかぶる」のがとても上手になります。
【小さな「いい子」たちの心の声】
ある小学校3年生の男の子の話です。
家ではおとなしく、宿題もきちんとやり、お手伝いも申し出るような子のようでした。
でも、学校では友だちを突き飛ばしてしまったり、先生の指示に反抗したりすることが増えてきたのです。
家庭では「あなたはお兄ちゃんなんだから」「しっかりしてて偉いね」と、よく言われていたそうです。
決して怒鳴られたり叩かれたりする家庭ではありません。
でも、その子は「いい子でいなければ愛されない」と、無意識に思い込んでいたのです。
【「愛されたい」気持ちが「仮面」をつくる】
子どもにとって、親や身近な大人の「期待」はとても大きなものです。その期待に応えたいと思うのは自然なことです。
でもその思いが、
「自分らしさ」よりも
「期待されている自分」を優先するようになる
と、心にゆがみが生まれます。
「本当は甘えたいのに、我慢してお兄ちゃんを演じている」 「本当は疲れているのに、笑顔で“だいじょうぶ”と言ってしまう」
こんな風に、自分の気持ちをしまいこんで「いい子の仮面」をかぶっていると、子どもの中に“本音の出口”がなくなってしまいます。
大人も同じような思いがきっとあったはずです。
いや進行形で自身の気持ちを押し殺している方も多いのではないでしょうか。
【「しつけ」と「無言のプレッシャー」】
よく、「親としてちゃんとしつけなければ」と思いますよね。もちろん、マナーやルールを教えることは大切です。
でも、
「失敗を許さない空気」
や
「常に期待される自分」
を感じてしまうと、子どもは安心して本音を出せなくなります。
たとえば、「お兄ちゃんなんだから我慢しなさい」「そんなこと言う子は好きじゃないよ」という言葉。
大人にとっては軽い口癖でも、
子どもの心には重く響く
ことがあります。
【「いい子」の裏にあるサインを見逃さない】
子どもがやけに聞き分けがよすぎるとき、
反抗期なのに素直すぎるとき。
そんなときこそ、「どうしてだろう?」と立ち止まってみることが大切です。
・家で話をあまりしないけど、学校では問題行動が多い
・親の前では笑顔だけど、どこか目が笑っていない
・叱られることを異常に怖がる
こんなサインは、「いい子」が出している“心のSOS”かもしれません。
【安心できる「巣」に戻れるように】
子どもにとって家庭は、「安心して羽を休める巣」のような場所であってほしいものです。
外でがんばってきた子どもが、家ではホッとできる。
そんな関係をつくるには、「ちゃんとしなさい」よりも「今日はどうだった?」の一言が大切です。
「怒られないように」「嫌われないように」ではなく、
「どんなあなたでも大丈夫」
というメッセージを伝えていくことで、子どもは少しずつ“仮面”を外してくれます。
【親自身も「いい親」を演じすぎないで】
実は、子どもが「いい子」を演じる家庭では、親自身も「いい親でいなければ」とがんばりすぎていることがよくあります。
毎日完璧に食事を作らなきゃ、
子どもの前で怒ってはいけない、
他の親と比べて遅れてはいけない……
そんな思いが重なると、親も疲れてしまいますよね。
だからこそ、まずは親が“自分らしく”いてよいと思えること。
それが、子どもが安心して本音を話せる第一歩になるのです。
【「食生活」も心の安定と深く関係している】
見落とされがちですが、子どもの心と体の健やかな成長には、
バランスの取れた食事も欠かせません。
偏った食生活やジャンクフードばかりの毎日が、イライラや不安定な情緒を引き起こすこともあるのです。
たとえば、朝食を抜いて登校する子どもは、集中力を欠いたり、ちょっとしたことでイライラしやすくなったりします。
また、糖分の過剰摂取は感情の起伏に影響を与えることも知られています。
「いい子」であろうとするプレッシャーに加え、体の土台となる栄養が不足していたら、ますます心の余裕をなくしてしまうのも無理はありません。
親子で一緒に食卓を囲み、「今日は何が食べたい?」「この野菜、どんな味だった?」と会話を交わす時間が、
心の栄養にもなっていく
のです。
【おわりに:今日からできること】
「うちの子は家では良い子だから安心」ではなく、「この子が安心して甘えられているかな?」と考えてみてください。
子どもは、大人の顔色を見て生きています。そして、自分を守るために“仮面”をかぶることも覚えてしまいます。
でも、仮面の奥にある本当の気持ちに気づき、「そのままで大丈夫」と伝えてあげることで、子どもは少しずつ本来の自分に戻っていけます。
今夜、子どもにこう声をかけてみてください。
「今日は、どんな気持ちで過ごした?」
その一言が、明日の親子関係を、きっと変えてくれると思います。
発信 イングリッシュ ガーデン
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