Photo by
snafu_2020
図書館の永遠子さん
プロローグ 雨の日の邂逅
しとしとと静かな雨が降る日だった。新人司書として配属されたばかりの私は緊張していた。
公立図書館。私は今日から夢だった司書だ。
それは先輩について歩きながら、書架に本を返す作業をしている時だった。
横を誰かが通り過ぎた。
この季節には早すぎるであろうノースリーブの真っ白いワンピース。それと同じくらい白い二の腕に、茶がかった長い黒髪。
目の端に映ったそれらが妙に心に引っかかり、私はその背を追った。はずだった。
曲がり角。書架と書架の間にその女性の姿は無かった。
そうして、その先は…行き止まり。
私が呆然としていると先輩が声をかけてきてくれた。
「井上さん?どうかした?」
振り返った私の顔を見た途端、先輩―五十嵐友紀(ゆき)さんの顔が微苦笑になった。
「井上さん、見ちゃったか…早いな…」
後で説明するよ、と五十嵐先輩は言った。
それが私と〈永遠子さん〉との邂逅だ。
※まとめて読みたい方はこちら
https://note.com/lucky_macaw356/n/n31f532fdaaec
