【駄文1】博士とボッッコちゃん -subscription-
俺は「子供部屋おじさん」に養われて居る。
「子供部屋おじさん」とはつまり、博士の事だ。
博士の親は唸る程の金持ちで、唸り過ぎて屁が出る程だ。
だから俺は孫請けで寄生して居るのだ。
博士は「研究」をして居る。
そして俺は「研究」の実験台業務を請負って居る。ただし、まだそこからは一銭も発生して居ない。
つまり、「研究途上」で有り、もっと簡単に云えば「ミライ⭐︎モンスター」で有る。
毎日、俺は博士の漫画を読み漁り、博士と共用のスマホで動画を眺めて時間を溶かしている。
それだけで生き延びられるのだから、俺は「勝ち組」で有る。
ご機嫌な「蝿生」を送って居る。
何故「蝿生」なのかと云うと、俺は「蝿男」だからだ。
過去に博士が作った「物質転送装置」に蝿が混入した関係で、首から上が蝿に成って仕舞ったのだ。
元々蝿みたいな顔だったので、大きくは変わらない。
その際、博士が引くほど謝って来たので、
「これに乗じて金をせしめてやろう」と思った。が、「魚をあげるのでは無く、魚の釣り方を教えるのが真の国際貢献だ」と何かのフリーペーパーに書いてあったのを即座に思い出し、つまり「一時金では無く、サブスク化せねばならん」とこの寓話から瞬時に抽象的理解を得、「責任取ってここで飼ってくれ」とダメ元で言った所OKだったものだから、世の中捨てたものでは無い。
サブスクと言えば、『ザ・フライ』という映画を観た。俺が蝿男になった流れとほぼ同じだった。だからまぁ、よくあることみたいだ。
*
「キミ。ちょっと来たまえ。」
また博士がガラクタを作ったみたいだ。
「この『ボッッコちゃん』はお酒を「運ぶ」のみならず、お酒を「飲む」こともできるのだ。」
どう見ても「配膳ロボット」だ。
そこに博士お得意の「ダンボールアート」で若い女性らしき顔が描いて有る。
「はいキミ。ここに掛けなさい。」
膂力≒powerでは敵わないので仕方なくイスに座る。
博士がロボに括り付けた荒縄をぐいぐい引っ張ると、連動してロボが近付いて来る。
ロボのタイヤと畳の相性が悪く、中でお酒がガタガタ言って居る。
「はいコレ。」
博士がロボから缶ビールを取り、俺に手渡した。
ぬるい。
俺の口は「口吻」なので発語不能である。従って飲んで良いかをゼスチャーで尋ねた。
「あー違う違う。「ボッッコちゃん」に飲ませなさい。気の利かないヤツだなぁ。」
よく見るとダンボールの女の絵の口部分に穴が開けられて居る。言われた通りビールを穴に注ぎ込む。
「キミも飲むかね?」
蝿男以来、ぬるいビールは大好物になった。
俺はコクコクと頷く。
すると博士はロボ経由の気の抜けたぬるいビールをジョッキに注いで、俺に差し出した。
「どうだい。私の発明は!キミは文学など読まないから分からないと思うが、コレは、『星新一先生のボッコちゃん』から着想を得た「ボッッコちゃん」なのだ!
つまり、一杯のビールのはずなのに、キミと「ボッッコちゃん」の二人がビールを飲んだことになるのだ。どうだ。サステナブルだろぅ⤴。」
何言ってるかよく分からないが、ぬるいビールは美味い。
「博士ー。オヤツよー。」
「はーいママー。」
還暦だと云うのに未だに「ママ」だなんて、脳神経が全て足の裏に繋がって居るとしか思え無い。それか英語を話してるか。
手持ち無沙汰と成った。
俺は博士が残置したスマホで、ロボの写真を滅多矢鱈に撮影し、それらを全てInstagramにUPした上『モニター募集⭐︎』と入力した。
(つづく)
