【駄文3】博士と秘密の部屋 -力こそPOWER-
前話はこちら(読んでも読まなくても同じです。)
最近、俺は博士にムカついて居る。
だが、俺は博士に寄生して居る訳だから、宿主を攻撃した場合、そのまま俺に被害が及ぶ、という図式に成る。
しかも、博士は類い稀な幸運の持主で、親ガチャUR(ultra rare)を引き当てた男である。
それ故、幼き頃より栄養を過剰に摂取し、「巨大還暦子供部屋おじさん」と云うSTATUSを、現在に至っても維持して居る訳だ。
その上、「思い遣りの心」を遺失して居る為、「甘噛み」と言う概念を所持して居ない。
特に気分が悪い時などには、デビュー当時の山本“KID”徳郁宜しく、気を失った対戦相手をタコ殴りにし乍ら益々興奮し、舌を出し、黒目を小さくする様な性癖が見え隠れする様に伺える。
還暦なのに。
*
先日、珍しく二人でスーパーへ買出しに行った。
何だか忘れたが、博士がいつもの様に幼児的な詰まらない悪戯を執拗く執拗く実施する為、塵積に塵積もった怒りが閾値に到達し、俺はブチ切れた。
だが、膂力では遠く敵わない訳であり、開始一秒でマウントポジションを取られ、手加減を知らない重い一発一発を喰らう羽目に成った。
そこに数人の良識ある大人達が博士を引き剥がし、その返す刀で俺をタコ殴りにした。
俺は何の事だか皆目見当が付かぬ儘、亀に成ってひたすら急所を保護した。
ほぼ半殺しに至った頃、被害者面した博士が「もう、許してやって下さい。」だなんて一端の男優振りながら宣った。
俺は賢いから一瞬で気が付いた。
コレは「ルッキズム」だ!
「蝿男」は「悪」で、巨大とは云え「還暦の人間」は「善」と買物客は判断したのだ。
俺の口は「口吻」につき、発語不能である。
そこに付け込んだ博士は場を鎮め、勧善懲悪風物語を終焉させ様として居る。阿呆。
「チョットお客様。こちらへいらして下さい。」
店員らしき中年男の名札を見ると
『店長 上田〜気持ち良い店内づくり😊〜』
と記載されて居る。
俺は蝿男以前に、スーパーで働いて居た経験を有して居る。
久方振りのバックヤードで有る。
その中の一室、薄汚い四畳半の事務室で尋問された訳だ。
「あのー大変申し上げにくいのですが、店内でケンカをされてましたよね?」
博士は生粋の「子供部屋おじさん」である為、社会性はゼロである。モジモジして居る。繰り返す。コレはSTATUS異常では無い。通常状態で、モジモジして居る。
仕方ない。俺が罪を被って、この場を収めよう。
俺は営業職だった頃の苦笑いテクを駆使した。
が、蝿と成り果てた今と成っては複眼がキラキラするだけで有った。
次の手として、事務職だった頃のペコペコテクを発動した。
過去にこの技法で、極端に書類を毛嫌いする現場作業員100人全員に年末調整関係書類を書かせた実績が有るのだ。
これが功を奏した。
「まあ、反省してるなら今回は見逃しますが、良い大人なんですからケンカなんてやめて下さいよ。
あと、衛生的に他のお客様のご迷惑なので、コチラの蝿は入れないようにお願いします。」
コイツが一番のルッキズム野郎だった。
(つづく)
