わたしがキャベツだった頃《上》
わたしがキャベツだった頃
何度も思った
この畑で
綺麗な景色を見ながら自然に還りたいと
あれは、何度目のキャベツ生だったろうか
わたしは、とある農家さんの畑で育った
右も左もキャベツ
どうやら、商品用に大量に作られたのだ
わたしも出荷される
いやだ行きたくない、そんな願いも虚しく
行き着いた先は、安売りがウリのスーパー
出荷されるのが
小さい頃から嫌だったわたしは
ストレスで芯も小さいし
虫にも喰われている
そのせいで手に取られては
これじゃないと放られる
悲しい
必要とされない、買われるのも恐い
ゴミ箱には、入りたくない
なんでわたしは生まれてきたのか…
知るよしもない
ついには、見切り品として
どうにか見た目だけは
少しでもよく見えるようにと
小さく小さくなっていったわたしは
ある人に
「 丁度良かった 」と
買われる事になる
こんな小さい
美味しく無さそうなキャベツを
嬉しそうに買い物袋に入れ
ランランと歩いている
家に着くと、グツグツと煮立つ鍋
そうか具材の付け足しに買われたのだ
遠い過去、何度も似たような事があった気がする
思い出せない
それにしてもこの人、とても笑顔で料理するな
食べられるなんて正直嫌だった
けど、思っていたよりも嬉しかった
丁寧に扱われ、その料理に必要としてくれている
頂きますという感謝の音は
わたしの心を、少しだけ震わせた気がした
また、喜んでもらいたい
今度は美味しいキャベツとなって…
気がつくと、なんだか落ち着く土の中
そうか、わたしはキャベツ
食べられずに自然の中に還りたい
わたしがキャベツだった頃《上》終わり
画像はみんなのフォトギャラリーから
使わせて頂いております↩
丁度思い浮かべてた画像でありがたいです
優谷美和様、ありがとうございます
↪あとがき
キャベツのつぶやきをしたところ
なぜかとても書きたくなって
下書きに乱筆したところ
なぜか上下巻になりました
上巻を読んで頂きありがとうございます
下巻まで読んで頂けると、とても嬉しいです
いいなと思ったら応援しよう!
サポートありがとうございます。
いただいたサポートはよく考えて使わせていただきます。