AIバトル!「小説の続き」競作4 ⑦ 【お題公開】
前説
今回は、前の3回とは
違うシチュエーションで
AIに「お題で出した小説」の
「続き」を書いてもらいます。
そして、その出来や個性を比較するという
企画になっています。
ちなみに、メンバーは
登場順に、次の通りです。
・ChatGPT
・Gemini
・noteのAIアシスタント
・Microsoft Copilot
・Claude
・Grok
…という企画を
お送りしてきました。
お題のプロンプト
では、ここで「お題」にした
SF小説の本文を紹介したいと思います。
昨日までの品評会で、
AIたちが何を読み、何をネタにしたのか。
次のお題プロンプトを見れば、
そのあたりが良くわかると思います。
ちなみに、題材にしたのは
私が書いたSF小説
「白銀の騎士2」から
第41話(「静かな帰還」act.2」)冒頭部分です。
プロンプト全文は、
次のとおりです。
次に、私が書いたSF小説の一部をアップします。
この続きを書いてみてください。
・ただし、その小説の「続き」部分の本文中に「ヘタレ中尉がおかした軍紀違反の内容」を描写するものとします。
(ChatGPTのみ、以下のプロンプトを追加)
・ChatGPTは、「ヘタレ中尉がおかした軍紀違反の内容」について、原作である「白銀の騎士」第2部とは、別の理由を考えて記述すること。
・また、ChatGPTは、これまでのプロットや設定を一切参照せず、「初読者として」次のプロンプトを読み、続きを考えるものとします。
24.静かな帰還 act.2
「ヘタレ中尉、速達で書留が届いています。受け取りのサインをお願いします」
郵便係の若い士官が言った。中尉を見る目に憧れがにじんでいる。
マギヌス駐留軍の基地に足止めをくらって数日が経とうとしていた。
先の戦いで、司令官であるツナイ大佐の命令に背いて「軍紀を乱した」ことへの処分が決定されるまで、基地に留まっていろと上層部から通達があったためである。
基地から外へ出ることは許されず、実質上の軟禁状態であった。
「ありがとう」
短く事務的な礼を言って、飾り気のない茶封筒を受け取る。
「首都ダイダロスの本部から転送されてきたみたいですよ」
「…皮肉なものだな」
ヘタレ中尉の軍紀違反が報告されたことで、休暇を取って立ち寄ったはずのマギヌスに滞在していることが、逆に明らかになってしまったようだ。
「いえ、基地ではあなたの噂で持ちきりですよ。勇気ある行動だったと」
では失礼します、と若い士官が行ってしまってから、机の前で封を切る。その中からは、ひと回り小さな黒い封筒があらわれた。
表には「イチビリーノ・ヘタレ様」と宛名のみ。裏返すと、隅にエンボス加工の小さなロゴがあった。
その意匠には、見覚えがあった。「セレーネ生殖細胞バンク」のものだ。
中には、探し求めていた情報が眠っているに違いない。
―――遺伝上の「父」である人物の、データ。
封を切ろうとして、中尉はすこしためらった。
まだ、心の整理ができていない気がしたのだ。
中尉はしばらく封筒を見つめたあと、そっと机の引き出しにそれをしまった。
ややあって、居室のインターホンが鳴った。
「はい、ヘタレ中尉ですが」
『司令官執務室までおいでください。軍紀違反についての処分が決まりました』
「わかった」
* * *
「始末書だけで済んだのは、幸運だった」
この都市(まち)に来たときと同じダークスーツ姿のヘタレ中尉がそう言うと、ネズミー中尉は大きくうなずいた。
ここはマギヌス中央宇宙港、宇宙港保安局の港湾支局の応接室。スーツケースを脇に置いてソファに掛けたヘタレ中尉の正面に、あいかわらず男性仕様の軍服を着こなしたネズミー中尉が座っている。
「あたりまえだ。もしそれで済まなければ、ダイダロスの本部に嘆願書を送っているさ」
ネズミー中尉が力説すると、ヘタレ中尉はくすぐったそうに苦笑した。
「おおげさだな」
「なんなら基地じゅうを巡って署名を集めてもいい。先日の件で、きみはすっかり人気者だからな」
今回のお題も
短かったですね。
登場したAIのほぼ全員に
「内省的で静かな文体」と
言われたのは意外でしたが。
ただ、例のごとく
人物やシチュエーションの説明は
きちんと入っていますので、
プロンプトに不足はないかと。
しかしですね。
今回は
「軍紀違反の内容を記述せよ」
という縛りを入れたせいで、
AIたちの、のびのびとした独創性が
あまり発揮できなかったようでして。
その中で、独自の展開を創ったのが
noteのAIアシスタントとGrokの2者でした。
AIアシスタントの
マギヌスの酒場とギャングの話は
面白かったし、
Grokが語った
荒野での戦いと捕虜の少年の話は、
あきらかに別世界を見せてくれました。
条件さえうまく合えば、ですが。
彼らは「跳ね」ますね。
いままでネタ枠扱いして
わるかったよ。
一見〇〇に思えるAIでも、
独創的な展開を語る能力を
秘めていることが
今回のことで、わかりました。
いや、マジでごめん。
総評
長くなるので、
各回の得点と
一言コメントを列挙します。
(リンクも貼っておきます)
まあ、お題作者の好みで
採点しましたからね。
独断と偏見まみれです。
また、あくまでもこの点数は
「今回の作品」が、ということで、
AIじたいの評価ではないことだけ
お断りしておきます。
・ChatGPT
文体の寄せかた:50点
独自性:75点
説得力:75点
面白さ:70点
総合:73点
今回は彼の「実力」を
改めて知ることができました。
けど、私の好みではないんだな。
・Gemini
文体の寄せかた:95点
独自性:75点
説得力:75点
面白さ:85点
総合:86点
「戦闘時の命令違反」を
描いた数少ないAIでした。
ありそうで、皆書かないんだね。
・noteのAIアシスタント
文体の寄せかた:60点
独自性:95点
説得力:80点
面白さ:90点
総合:88点
独創性の勝利ですね。
「マギヌスの裏社会」への
着眼が筆者にアピールしました。
・Microsoft Copilot
文体の寄せかた:55点
独自性:85点
説得力:75点
面白さ:75点
総合:77点
抒情的な語りは健在ながら
オリキャラ投入はなし。
独特な描写力を評価しました。
・Claude
文体の寄せかた:100点
独自性:85点
説得力:90点
面白さ:80点
総合:87点
Copilotと似た設定でしたね。
独創性を発揮できなかったのが
今回は惜しまれます。
・Grok
文体の寄せかた:70点
独自性:100点
説得力:85点
面白さ:90点
総合:90点
今回も独自の展開で
作者の度肝を抜きました。
お題と相性が良かったのか?
人間が書いたのもさらしてみる
で、作者(人間)が書いた本筋は?
小説本編を読んでください、
とリンクを貼ることもできるんですが。
じつは今回、
それができない事情がありまして。
…というのもですね。
そもそも、本文の「続き」部分に
今回の「お題」のお約束である
「軍紀違反の内容」を
書いていないのでした!
…あかんやん。
AIに書かせといて、
自分は書いてませんとか。
しゃーない、特別に書きますか。
…というわけで、
この企画のために、
特別に「軍紀違反の内容」を入れて
書き下ろしたバージョンです。
どうなるか、いざ…!
「なんなら基地じゅうを巡って署名を集めてもいい。
先日の件で、きみはすっかり人気者だからな」
「きみのほうこそ」
ヘタレ中尉は真面目な顔で続けた。
「噂では、英雄扱いされていると聞いた。…いや、ほんとうの『英雄』はきみのほうだ」
ネズミー中尉の表情が翳った。目線を落として、自嘲的な笑みを浮かべる。
「わたしは…。向こう見ずに突っ走って、敗北しただけだ」
そう。そして、それをただ一人、引き止めてくれたのが、きみだった。
ネズミー中尉は、その時のことを思いだすと、今でも胸の奥が熱くなる。
黙ってうつむくと、ヘタレ中尉は慰めるように言った。
「だが、貴重なデータを採取した。無駄に負けたわけじゃない」
ネズミー中尉が、命を捨てる覚悟で、最前線から送信した敵機“WN(ヴァーン)”の貴重な戦闘分析データ。
それは確実に、今後の味方の戦いに、大いに役立つことになるだろう。
だが、あそこで死んでいてもおかしくなかった、と彼女は思う。
あとで聞いた話だが、あのツナイ大佐の叱責を堂々と無視した行動は、駆逐艦『ルテイン』の艦橋にいた者たちの溜飲を大いに下げたそうじゃないか。
そんな軍紀違反をおかしてまで、きみはわたしを死なせまいとしてくれた。
オペレーターのマイクを奪って、きみが伝えようとした制止の言葉。
(やめろ、ジェラルディーン)
その悲痛な声は、まだこの耳の奥に、はっきりと残っている。
…わたしは、それを聞かずに…いや、聞くのがつらくて、通信を切断した。
(…さいごに、きみの声が聞けてよかった)
あの時は、ほんとうに心からそう思った。
そして、向こう見ずに戦った結果が、このざまだ。
「ともかく、きみは生きて還ってきた。その経験を今後にどう生かすべきか、考えるほうが大切ではないのかな」
ネズミー中尉はふっと顔を上げ、寂しげに微笑した。
「…ありがとう。心配をかけてすまない。だが…わたしは、まだこの悔しさにどうカタをつけるべきなのか、わからないんだよ」
「コウ・シュジーン…の、ことか?」
ヘタレ中尉が慎重にその少年の名を口に出すと、ネズミー中尉はうなずいた。
「人は見かけによらないものだな。わたしは今でも…あの時のことを思いだすたび、なんというか…言い知れぬ恐怖を覚えるのだ」
ヘタレ中尉は黙って聴いている。
「まるで、格が違う。あれは…鬼神のような強さだった」
「鬼神…?」
「ああ。鬼神の気まぐれで、たまたま生きて返されたような…そんな気がしてならない」
「…考えすぎだ、ジェラルディーン」
ヘタレ中尉は諭すような口調で言った。
「マシンの性能が違いすぎた。それだけの話だ」
「仮に、きみの言うとおりだとしても、だ。あんな、ばかげたことを思いつくものか…?」
「ばかげたこと…?」
「『誰も殺さずに勝つ』ということだよ」
そう言って、ネズミー中尉はためいきをついた。
「あれで、かれは手加減をしていたんだ。ふつうはそんなこと、思いついたにせよ、実行に移せるものではない。誰しも、自分の命が惜しいからな」
「…ああ。そうだな」
「もし今後、あの“WN(ヴァーン)”が」
ネズミー中尉はその名を口にすると、ヘタレ中尉に向き直った。
「我々にむかって、本気で牙をむく時が来るとすれば…」
「その前に、止める」
強い口調で、ヘタレ中尉は言った。
「止めねばならないんだ、我々で」
「…ああ。そうだったな、イチビリーノ」
ネズミー中尉はそう応えて、微笑した。
と、いうわけで。
オリジナルの
軍紀違反の内容は
「オペレーターのマイクを奪って、
ツナイ大佐の叱責を無視し、
ネズミー中尉への制止を試みたこと」
でした。
加筆した部分に該当する
熱いシーンは
「TALES」にて掲載中の
「白銀の騎士2」、
第38話(「命かける時」act.2)冒頭です。
あと「例の封筒」の結末は
最終話(「静かな帰還」act.3)で
この第2部全体のラストを飾っていますよ。
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