AIバトル!「小説の続き」競作5 ⑤【Claude編】
前説
さて今回は、
前の4回(と、ボツ回と番外編)とは
違うシチュエーションで
AIに「小説の続き」を書いてもらいます。
そして、その出来や個性を比較するという
お遊び企画です。
では、解答するメンバーをご紹介します。
・ChatGPT
・Gemini
・noteのAIアシスタント
・Microsoft Copilot(前回)
・Claude (今回)
・Grok
前回は
ライトなタッチのSFを描いた
Copilotさんの解答でした。
今回はベストセラー作家の
Claudeさんの解答を
訊いてみたいと思います。
今回のお題
今回は、私が書いたSF小説
「白銀の騎士」第3部から
引用したいと思います。
シチュエーションのお題は
第12話(「安息の日々」act.3)
冒頭部分です。
ざっくり言うと、
まず、物語の舞台である
「月面都市ダイダロス」の酒場から
話が始まります。
大柄で精悍だが
人なつっこい笑顔の青年士官トム。
隣でグラスを傾けるのは、
同期の盟友であり
美青年のイチビリーノ・ヘタレ中尉です。
プロンプト後半は
次のようになっています。
トムは目の前の友人にうなずき返して、口を開いた。
「しかし、イチビリーノ・ヘタレ中尉。きみも運がない男だな」
「…そうか?」
イチビリーノは口元をわずかに緩めた。目が笑っている。
「赴任した先が戦地になって、命からがら帰還したと思えば、休暇先でまた火種にぶち当たるなんて…おれだったら、やりきれずに腐っちまうところだよ」
「腐っているヒマはないからな」
それを聞いたトムは真顔になって、小声で応えた。
「…ああ、そうだな」
軍の外では話せない話題がある。それを心得ていないほど、トムは気の回らない人間ではなかった。
「ところで、イチビリーノ」
トムが改めてそう言いだしたので、イチビリーノは続きを待った。
さあ、これを受けて
6名のメンバーは
どう創造力を働かせてくれるのでしょうか?
Claudeの場合
5番手、いよいよ真打ち登場です。
今回は、どのような話を
語ってくれるのか。
では、お願いします。
「ところで、イチビリーノ」
トムが改めてそう言いだしたので、イチビリーノは続きを待った。
「何だ?」
「きみ、あの噂を聞いているか?」
トムは声をさらに落とした。カウンター越しのバーテンダーが、グラスを磨きながらこちらに背を向けているのを確認してから、続ける。
「噂?」
「ああ。第三艦隊の話だ」
イチビリーノの表情が、わずかに引き締まった。
「…どんな噂だ」
「辺境の、カッシーニ宙域で消息を絶ったらしい。公式発表では『通信障害による一時的な連絡途絶』ということになっているが」
トムは肩をすくめた。
「通信障害で、艦隊丸ごと消えるものか」
イチビリーノは黙ってグラスを傾けた。スパークリングワインの泡が、静かに弾ける音だけが聞こえる。
ピアノの旋律が、少し哀愁を帯びた曲調に変わった。
「それで?」
「それで、何がだ?」
「トム、きみは単なる世間話をするために、わざわざ声を潜めたりしない」
トムは苦笑した。
「…やはり、きみには隠しごとができないな」
そう言って、トムはポケットから小さな記録媒体を取り出した。親指の爪ほどもない、銀色の小さな結晶体だ。
「これを預かってほしい」
「何だ、これは」
「開けてみればわかる。ただし」
トムは真剣な眼差しでイチビリーノを見つめた。
「誰にも見せるな。特に、軍の上層部には」
イチビリーノは、友人の表情から冗談ではないことを悟った。
「…トム、きみは何に巻き込まれている?」
「巻き込まれているのは、おれだけじゃない」
トムはグラスを空にすると、立ち上がった。
「悪いが、今夜はここまでだ。きみの帰還を祝うつもりだったのに、水を差すようなことになってしまった」
「待て、トム」
イチビリーノも立ち上がりかけたが、トムが手を上げて制した。
「いいんだ。これは、おれの問題だ。ただ…」
トムは一瞬、言葉を選ぶように間を置いた。
「もし、おれに何かあったら、それを開いてくれ。きみなら、正しい判断ができると思う」
「トム――」
しかし、友人はもう背を向けて店を出ていった。
イチビリーノは、手の中の小さな結晶体を見つめた。重さはほとんど感じられないのに、妙に手のひらが重い。
バーテンダーが振り返った。
「お連れ様は、お帰りで?」
「ああ」
イチビリーノは結晶体をポケットにしまい込むと、再び席に座った。
「もう一杯、同じものを」
グラスに注がれるワインの泡を眺めながら、イチビリーノは考えていた。
第三艦隊の消失。トムの不穏な態度。そして、この記録媒体。
休暇は、どうやらまた短く終わりそうだった。
この続きの話をもう少し聞きたいです。
あなたの自由なように続けてみてください。
ただし、物語の結末をちゃんとつける方向で。
翌朝、イチビリーノは軍の宿舎で目を覚ました。
いつもの習慣で、端末に目を通す。定期的な通信チェック、気象情報、そして軍事ニュース。
画面をスクロールしていた指が、止まった。
『トーマス・J・ブレイク中尉、交通事故により死亡』
短い記事だった。昨夜、バー『ラパン』を出た後、自動運転車両の制御系統の誤作動により、高架から転落したという。
イチビリーノの手が震えた。
交通事故。自動運転車両の誤作動。
この時代、そんな事故はほとんど起こらない。制御システムは三重の安全装置で守られている。
ポケットから、あの銀色の結晶体を取り出した。
トムの最後の言葉が、耳に蘇る。
『もし、おれに何かあったら、それを開いてくれ』
イチビリーノは端末に結晶体を接続した。
暗号化された複数のファイルが展開される。解読キーの入力を求められたが、イチビリーノはすぐに答えを見つけた。
トムが好きだった、古い地球の詩人の名前。
ファイルが開いた。
そこには、信じがたい情報が記録されていた。
第三艦隊の消失は、通信障害ではなかった。艦隊は、カッシーニ宙域で未知の生命体――いや、知性体と遭遇していた。
最初の接触は友好的だった。しかし、軍上層部の一部――具体的には、グラディウス提督率いる作戦本部――が、その知性体の持つ技術を独占しようと画策した。
交渉は決裂し、第三艦隊は攻撃を受けた。
生存者はわずか。そして、その生存者たちは軍事法廷にかけられることなく、「事故死」として処理されていた。
トムは、その生存者の一人から情報を得ていたのだ。
データの最後に、トムの音声メッセージが残されていた。
『イチビリーノ、これを聞いているということは、おれはもういないんだろうな。すまない、きみを巻き込んで』
画面の向こうで、トムが苦笑している姿が目に浮かぶ。
『おれには、これを表に出す勇気がなかった。軍を告発すれば、家族にも累が及ぶ。でも、黙っていれば、また同じことが起こる。だから、きみに託す。きみなら、正しいことをしてくれると信じている』
イチビリーノは、長い時間、考えた。
軍を告発すれば、自分のキャリアは終わる。最悪の場合、トムと同じ運命を辿るかもしれない。
しかし、黙っていれば、第二、第三の犠牲者が出る。
そして何より――トムの死を無駄にすることになる。
三日後、イチビリーノは軍事調査委員会の前に立っていた。
グラディウス提督の冷たい視線が、彼を射抜く。
「ヘタレ中尉。君は重大な守秘義務違反を犯した」
「違反したのは、提督、あなたです」
イチビリーノは、持参した記録媒体を委員会の議長に手渡した。
「これには、第三艦隊の真実が記録されています。そして、作戦本部による隠蔽工作の証拠も」
その後の展開は、驚くほど速かった。
記録媒体の内容は、軍内部の改革派によって精査され、トムが集めた証拠の正確さが裏付けられた。
グラディウス提督とその一派は失脚し、軍事法廷にかけられた。
第三艦隊の生存者たちの名誉は回復され、カッシーニ宙域の知性体との和平交渉が再開された。
イチビリーノ自身は、予想に反して処罰されなかった。
むしろ、真実を明らかにした勇気を評価され、新設された異星種族接触部門の責任者に任命された。
昇進の辞令を受け取った夜、イチビリーノは再びバー『ラパン』を訪れた。
カウンターに座り、スパークリングワインを二つ注文する。
一つは自分の前に、もう一つは隣の空席に置いた。
「トム、きみの判断は正しかった」
イチビリーノは空席に向かって、グラスを掲げた。
「おれは、きみが信じてくれた通りの人間でいられたと思う」
ジャズ・ピアノが、静かなバラードを奏でていた。
グラスの中で泡が弾け、まるで星のように輝いている。
クラテーレ通りの夜は、今夜も明るく、賑やかだった。
しかし、イチビリーノにとっては、そこに一つ、消えない星があった。
友人の勇気が灯した、小さな、しかし確かな光。
それは、この先どんな闇の中でも、彼の道を照らし続けるだろう。
(完)
ありがとう。
今回もとても良かったです。
https://claude.ai/share/f0b8746f-0549-4045-9520-cff5e4f42538
総評
いつものことですが、
さすがの出来栄えです。
特に「お題の原文に寄せている」こと。
これが、ちゃんとできていることに
改めて感動しました。
…いや、これって
「文章生成AI」としては
むしろ「出来ていてほしい」
最低限のラインのような気がするんですが…
まあ、他のAIの事はいいでしょう。
それと、詳しくは
後ほど「お題公開編」で
明らかにしますが…
「お題」で出した素材の
活かし方が、じつにうまい。
生ピアノの店内BGMを
ちゃんと「間」の表現に使ったり…
あと、トムの階級「中尉」も
的中させてきましたね。
雰囲気でだらだら流さず、
描写にちゃんと「意味」がある。
そう言った点を
きちんと評価したいと思います。
「文体の寄せ方」は…
私の文章よりちょっとだけ硬質なので
そこだけ反映させます。
「引き」は…
派手ではないのですが、
続きを読みたくなる推進力はあります。
「オチ」は…よくまとまっています。
「原作」の世界観を変えずに
きっちりまとめているのは好印象です。
採点
文体の寄せかた:95点
引き:80点
オチ:90点
余韻:85点
総合:88点
これも、Claudeにしては
辛めの採点になりました。
毎度、期待値が高すぎることと、
今回はトップバッター2者が
頑張りすぎたことも、大きいです。
Claudeは、わるくない。
全体の構成や、
「お題」部分との整合性などを
考慮していくと、
満点でもおかしくない出来ですよね。
次回予告
次回は日本 X 作家協会の
Grokさんの登場を
予定しています。
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