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台風迫る 松本・安曇野2泊3日【前編】

1日目(6月2日(火))

8時ちょうどのあずさ2号で――

は、ないけれど、あずさに乗りました。
平日の夜、旅行に行く人なんてそういないだろうと踏んでいたのですが、自分の乗っている車両はほぼ満席。旅装の人や仕事人らしき人、半々くらいです。

みんなどこへ行くんだろう。明日台風なのに。

そう、明日は台風。あずさも運休するレベルの台風。そんな中、私はひとり松本へ向かうわけです。仕方ないんだ。えきねっとのトクだ値スペシャル28(半額)で、1か月前から取っていた特急券なんだ。
みんなもそうなのかい。トクだ値スペシャルに抗えず、旅に出ようというのかい。

と思ったら、八王子で8割方降りていった。酒盛りしてた隣のリーマンも降りていった。八王子に行くのに……特急を……?(貧困層にはできない発想)

静かになった車内で、家から持参した買い置きのパンと、無料クーポンで入手後冷蔵庫で眠らせていたお茶という全く旅情のない夕飯を済ませます。

犬山はベースブレッドの狂信者なので、主食はベースブレッドです。最近おなかの調子が悪いのでやめようと思ってます。

なんか到着時間勘違いしてて1時間松本に早く着きました(気持ち)。ラッキー。

ホテルはいろはグランホテル松本駅前。
部屋に行く前に、1階のレストランで無料の夜食サービスをいただきます。

創業350年以上の老舗飴店「山屋御飴店」の看板商品「板あめ」を細かくクラッシュして たっぷりまぶしたシルクアイスです🍦(公式サイトより)

旅情、出てきたね。

2日目(6月3日(水))

おはようございます。ギャン雨です。

朝食。犬山はベースブレッド狂信者なので、毎月80袋購入します。今回は消費が追いつかず、賞味期限が切れました。コーヒーは飲みかけです。

でも大丈夫。犬山はこの日のために、6,600円(税込)のレインコートをハンズで買ってきたのです。一生使い倒す…。

さて、本日最初の目的地はこちら。

初手から強ぇ……。

ベンチも

ディスプレイも

自販機も

缶も

見事なまでの草間彌生推し。

それもそのはず、ここ松本は、草間彌生の生まれ故郷。これを推さない手はないわけです。
美術館は2階が企画展示室、3階がコレクション展示室でした。朝一で行った私は、企画展→コレクション展という動きをする人が多いだろうと踏んで、先に3階へ。

この動きは正解でした。展示室にはほぼ人がおらず、インスタレーションもゆっくり楽しめました。

生命を感じさせない硬質な素材と、毒々しいまでの生命力を放つ極彩色の巨大なチューリップ。
鏡張りの部屋に無限に広がる光、自分がどこにいるかもわからなくなるような、《痛みのシャンデリア》。
底も頂も見えない、めまいを引き起こす《天国へのはしご》。
無限、永遠、細胞、曼荼羅、そんなキーワードが浮かびました。

撮影可能なのはこの有名なカボチャのみ。
草間彌生、正直好きでも嫌いでもなかったのですが、この有無を言わさぬ力強さには敬服せざるを得ない。
まだまだ長生きしてください。

3階はほかに、田村一男記念展示室、上條信山記念展示室、池上百竹亭コレクション展示室、オープンギャラリーが。

田村一男《明けゆく立山への道》。目の粗い土壁のようなマチエールが魅力的。
細川宗英《道元》。無垢の巨人みある

一通り見て回ったら、2階企画展示室へ移動です。

企画展は『つぐ minä perhonen』。
去年世田美でもやってたよなあ、あんまり興味ないから行かなかったんだけど…とさほど乗り気でもなく展示室に足を踏み入れた瞬間、

METCHA☆好みやん。

犬山は犬山と名乗るだけあって動物がとても好きなんですね。服だと、Palavaというイギリスのブランドが好みなんですが、いかんせんイギリス製なので、サイズが合わなかったり、いまいち着心地が悪かったり…。

日本製…なんですか…!?

テキスタイルの制作過程がまた面白い。

切り絵だったり、
切り絵の切れ端だったり、
コピックだったり。(古のオタク、コピックに敏感です)
とても手間のかかる工程を、目で実感できるエリアも。

いや、素晴らしい。恥ずかしながら全然存じ上げないブランドだったのですが(私が知ってるのはGUとユニクロとしまむらくらい)、一気にファンになりました。
通販サイトを見たら、手間暇に相応しいお値段だってので、おいそれと手出しはできないのですけども…。とりあえずショップでTシャツ(¥8,800)を買いました。これでも私にしてはかなり奮発…。
いつか実店舗に行って、とっておきの1着を買ってみたいものです。

さて、9時に入館して、なんだかんだもう12時手前です。おなかがすきました。
美術館のレストランは待ちが発生していたので即諦め。頼もしい相棒・チャッピーと相談して決めた第二案の店へ移動すべく、美術館を後にします。雨はまだ降り続いていました。なんなら風強くなった。傘役に立たない。

美術館から徒歩3分、やってきたのはこちら。

どぜう・うなぎ・割烹 清里さん。

この写真は帰り際に撮ったもので、着いたときは旗も立っておらず、戸も開いておらず…。定休日ではないし営業時間内でもあったのですが、台風だから臨時休業かもしれない…終わった…ココスに行くしかねえ…と店の前をうろうろしていたら、女将さんが入口からひょいと顔を出してくれました。風が強すぎて、旗をどうするか悩んでてね~とのこと。助かった…。

中はこんな感じ。

日頃の野菜不足を補うべく、野菜炒め定食(¥1,000)を注文。カウンターの中でてきぱきお料理する女将さんの背中を眺めながら待ちます。実家を思い出す温かさ。
10分ほどして出てきたお料理がこちら。

こういうのがいいんだよ…。

映えとかじゃない、素朴で実直な温かいご飯…。日々ベースブレットで強制栄養補給している体にしみわたります。

入ったときは私一人だった客も、12時を過ぎると常連さんたちが次々現れ席も残り少なに。地元の方に愛されている、素敵なお店でした。松本に行ったらまたお邪魔したいです。

さて、おなかも満たされたところで次の目的地へ。

中町通り。土蔵を模した建物がたくさん

驚いたことに、雨はすっかり止んでいました。なんならちょっと暑い。

お次はこちらです。

松本市時計博物館。
うーん、大変そそる外観です。
松本と時計がどういう関係なのかはちょっとまだわかりませんが、行ってみましょう。

いいねえ……。

1秒ごとに子どものケツをたたくおじさんの時計。怒られるぞ


1階
2階
作りが細かい
ステンドグラスが美しい
もはや絵画~!!

驚いたのがここにある時計、大半が現役で動いているということ。
どうやら館のこだわりのようです。静かな展示室に、秒針の音が響いて心地いい。

コレクションは、諏訪市に在住していた本田親蔵さんという技術者の収集品と、市民の皆さんからの寄贈品で形成されているとのこと。
時間があれば、気に入った時計の前で何分か過ごしてみるのも楽しそうですね。

しかし今日の私は時間がないので、30分そこそこで次へ移動。


なわて通り商店街の入り口にあった時計台とカエルの像。商店街は今回スルーです。

次の目的地はこちら。

松本市立博物館です。

まだ開館3年足らずだそうで、とってもきれい。

企画展はこちら、『旅心展』。「旅」をテーマに、広重の《東海道五拾三次》から国鉄の広告まで、幅広く展示しています。(撮影禁止のため中の写真はありません)

展示室に入った瞬間気付くのが、木のにおい。
見ると、展示パネルがむき出しのベニヤ板でできており、パネルを支える人形立て?とも違う…何と言ったらいいか…脚?も角材そのままです。パネルの隙間から漏れ出る橙色の光が暖かく、旅情を感じさせます。
展示エリアはパネルでいくつものスペースに区切られて、一見順路が分かりにくそうでいて不思議と迷わない。素敵な展示構成でした。

最後におみくじが引けます。箴言いただきました。
どうでもいいけど配布資料がマット紙で感動した

さて、特別展示室を出て1フロア上へ。3階、常設展示室です。

「八つのテーマ」で、松本を紐解く。
縦長の長方形の展示室で、順路も明快。いいですね~。

まずは城ゾーン。
「1 お城のあるまち」を抜けると、2~8まで一気に見渡せる広々とした展示室へ。
初市の宝船と七福神人形
山コーナー
カモシカの毛皮。意外と触り心地はよくない
道祖ちん――とでも言おうか――

全体的にキャッチーで、親しみやすい展示という印象です。
かといって決して軽薄ではない。松本に対して抱いていた「なぜなに」が、どんどん解消されていきます。

例えば、飴屋。松本のお土産を調べると、有名な飴屋さんの名前がいくつか出てきます。
これはどうやら、400年以上続く「あめ市」に端を発するよう。
それから、土蔵。先ほど歩いた中町通り、なぜ土蔵?と思ったら、松本城下町は火事が多く、そのため火に強い「土蔵造りのまち」が生まれたそうです。
そして、ロビーの高い天井からぶら下がっていたモビール。あれは松本の伝統工芸品「松本てまり」で、市民の皆さんと一緒に作ったとのこと。

体験と知識がつながっていくこの感じ、博物館の醍醐味ですね。

ところで、展示室内の随所にはラックがあり、「解説シート」がテイクフリーで置いてあります。

右が大人用、左が子ども用。さすがにマット紙ではなくわら半紙です。20枚に及んだ

私はこういったものを見ると片っ端から持って帰り、寝る前にのんびり読む習性があるのですが。今回も例にもれず、大人用も子ども用も、ありがたく頂戴しながら展示室を進んでいました。

すると、資料をばっさばささせながら歩く私に、看視員さんがそっと声をかけてくれます。

「お客様、良かったらこちらご利用ください」

「!? ありがとうございます…!!」

感動した。ビニール袋が有料のこのご時世に、便乗して紙袋も有料にする店すらあるこのご時世に、無料で次々資料を奪っていく客に、大人のくせに子ども用の資料まで奪っていく客に(大人用との書きぶりの比較をするのが楽しいんです…)、タダで、ビニール袋…を……!? そんな…そんなの……

惚れてまうやろ!!!(松本に)

長野県には過去3回ほど訪れており、そのいずれにも嫌な記憶がないのですが、今回の旅行でますます好きになってしまいましたね。必ずまた来るよ、長野。

出口も粋です。

さて、展示室を出てロッカーから荷物を回収したら、お楽しみタイムです。
なんとこの博物館、本格的なハンドドリップコーヒーの飲める、コーヒースタンドがあるのです。コーヒー大好き。ここいらでコーヒーブレイクとしゃれこみましょう。

ちょっとしたスイーツもあるよ

ハンドドリップの豆は3種。私は浅煎りの、酸味の強いものが好きなので、値段を見ずに味のバロメーターだけ見て、一番酸味値の高いものを選びました。結果、値段も一番高いものでした。1杯1,000円。さっき食べた野菜炒め定食と同じ値段やん。最近はコーヒー豆も高騰してますからね。

注文後、店内の椅子に座って出来上がりを待ちます。
そして、待っている間にあることに気付きます。

私Tシャツどこやった?

美術館で買った、ミナ・ペルホネンの8,800円のTシャツ。手持ちの小さいコンビニ袋に無理やり入れて持ち歩いていたあれが、今、手元にありません。
え。昼食を食べたときは間違いなく持っていた。その後時計博物館でロッカーに入れて、それから、あれ、持ってきたっけ? さっきここのロッカーから荷物を回収したとき、中に置き忘れた? どっちだ? コインロッカーは目と鼻の先。でも、確認しに行っている間にコーヒーが出来上がったら、店員さんが困ってしまう。でも、もしここのロッカーになかったら、時計博物館に戻らなければならない。そうなると今後の予定が狂ってくるだろう。あああどっちだ。早く確認したい。でもコーヒー。あああ。

などと考えている間に、店員さんが淹れたてのコーヒー(テイクアウト用)を持ってきてくださいました。お礼を言って受け取ると、その場で飲むでもなく出口へ向かうでもなく、極力の速足でロッカーに向かいます。
先ほど使用した番号のドアを開ける、緊張の一瞬。

あった~~~。奥のほうで側面に張り付いてた。気付いてよかった…愚かなる私よ、愚かなりにグッジョブ。

晴れ晴れとした気持ちで外へ出ると、今朝の雨が信じられないくらい、空も青々と晴れ渡っていました。

いや、晴れすぎじゃない? どうなってんだ松本。
そういえばさっき博物館に、「台風が日本アルプスに近づくと、山にぶつかって風が弱まる」と書いてあったな。すげえや信州。

さて、コーヒー片手に向かうのは、松本城公園にある「最高に眺めの良いベンチ」です。

いや、Googleマップにそう登録してあんねん。まじで。
最高に眺めが良いというからには、争奪戦であろう。果たして私は、この最高に良い眺めを賭けた椅子取りゲームに勝つことができるのか――。

普通に座れた。
そして確かに、こりゃ最高の眺めです。堂々たる松本城と、お堀に反転する儚い姿の対比(この写真コーヒーで隠れてるけど)。青い空白い雲。それを眺めながら、最高のコーヒーを戴くひととき。うんめ~~~~。城の中から手を振っている人にも、手を振り返す代わりに自慢しちゃいます。コーヒーうめえよ。博物館行くといいよ。
思えば昼食後から3時間歩き詰め。疲れた脚をぶらぶらさせながら、ほっと肩の力を抜きます。

しかし、こんなところでのんびりしていていいのでしょうか。

時刻は16時過ぎ。私の計画ではさらにこれから、もうひとつミュージアムに行く予定なのです。
現在地から徒歩13分、旧開智学校。最終入場16時半。

まあ、冷静に考えて間に合うでしょう。ここから寄り道せず、さかさか歩けば問題ないはずです。

あ~別アングルから見た城もいいですね。
あ~蓮池。いいですね。
あ~ヤマボウシですかねこれは。白い花がたくさん、かわいらしいですね。

寄り道しまくり。時刻はすでに16時15分。
果たして犬山は、無事旧開智学校に辿り着けるのか――。

後半に続く。

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