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ハラスメントで解雇!?懲戒解雇や解雇事由とクビになった場合の対処手順

職場で「ハラスメントをした」と指摘され、突然クビを言い渡されるケースが増えている。

身に覚えがある場合も、あるいは濡れ衣である場合も、正しい知識がなければ大切なキャリアを守ることはできない。

ハラスメント解雇については、以下の動画で解説している。


1章 ハラスメントでも解雇になる

ハラスメントの問題は、今や企業の社会的責任として非常に厳しく判断されるようになっている。

しかし、その厳しさが「不当な解雇」に利用されている側面があることも忘れてはならない。

1-1 ハラスメントによる解雇が増えている

近年、企業内でのコンプライアンス意識が高まり、ハラスメントに対する処分は年々厳しくなっている。

かつてであれば「厳しい指導」や「職場のコミュニケーション」で済まされていた言動も、現代では明確なハラスメントとされる。

特に外資系企業や大手企業では、ハラスメントの訴えがあった際に、会社がリスクを避けるために即座に解雇という重い選択をすることが珍しくなくなっている。

管理職という立場であれば、部下への接し方一つで解雇の対象になる可能性がこれまで以上に高まっているのである。

1-2 辞めさせる方便として用いられる事例が出てきている

注意が必要なのは、会社側が「ハラスメント」という言葉を、特定の社員を辞めさせるための道具として使うケースである。

例えば、能力不足や成績不振では解雇する理由が足りない場合に、過去の些細な言動を掘り起こして「ハラスメントがあった」と仕立て上げるようなケースもある。

特に退職勧奨に応じない社員に対して、無理やり解雇の理由を作るためにハラスメント調査が行われることもあるのが実態である。

このように、本来は労働者を守るためのハラスメント対策が、リストラや人員整理の「口実」に変質している事例を私は何度も見てきた。

1-3 ハラスメントでの解雇も不当になることが多い

たとえ実際にハラスメントに該当する行為があったとしても、それがすぐに「解雇」として認められるわけではない。

日本の法律では、解雇は「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」が必要であると定められている。

簡単に言えば、一度の失敗や軽い暴言だけでいきなりクビにすることは、重すぎて許されないということである。

例えば、まずは注意や教育を行い、それでも改善されない場合に段階的に処分を重くしていくのがルールである。

この手順を飛ばしたいきなりの解雇は、法律的には「不当解雇」となる可能性が非常に高い。

2章 ハラスメントによる解雇事由・事例

ハラスメントを理由とした解雇には、大きく分けて「パワーハラスメント(パワハラ)」と「セクシュアルハラスメント(セクハラ)」の2つが主な原因となる。

2-1 事由1:パワハラによる解雇

パワーハラスメント(パワハラ)は、職務上の地位や人間関係などの優位性を利用して、業務の適正な範囲を超えて苦痛を与える行為である。

例えば、部下に対して大声で怒鳴り続けたり、人格を否定するような暴言を吐いたりするケースがこれに該当する。

また、仕事を与えずに無視を続ける、あるいは到底終わらない量の仕事を無理やり押し付けるといった行為も、パワハラとみなされる可能性がある。

管理職として熱心に指導していたつもりが、客観的に見て「行き過ぎた指導」と判断されれば、解雇の理由にされてしまうリスクがある。

2-2 事由2:セクハラによる解雇

セクシュアルハラスメント(セクハラ)は、性的な言動によって相手に不快感を与え、働く環境を悪化させる行為である。

例えば、相手が嫌がっているのに何度も食事に誘ったり、体に触れたりする行為は明確なセクハラとなる。

また、性的な冗談を言ったり、容姿について執拗に言及したりすることも含まれる。

セクハラは被害者の精神的苦痛が大きく、企業イメージを著しく損なうと判断されやすいため、会社側が厳しい処分を下す傾向がある。

特に外資系企業などでは、一度のセクハラ行為が致命的な解雇事由として扱われることも少なくない。

3章 ハラスメントによる解雇のポイント

ハラスメントによる解雇は、単なるクビ(普通解雇)ではなく、より重い処分が下されることが多い。そのため、慎重な対応が求められる。

3-1 ポイント1:懲戒解雇の可能性がある

ハラスメントを理由とする場合、会社は「懲戒解雇(ちょうかいかいこ)」という最も重い罰を選んでくることがある。

これは、会社のルール(就業規則)を著しく破ったことに対するペナルティである。

懲戒解雇になると、退職金が全額または一部支払われないケースが多く、再就職の際にも大きな不利となる可能性がある。

外資系企業の事案などでは、会社側が強気な姿勢を見せるために、あえてこの厳しい処分を突きつけてくることが少なくない。

しかし、懲戒解雇が有効と認められるハードルは非常に高いということを覚えておいてほしい。

3-2 ポイント2:弁明の機会で安易な発言をしない

解雇の前には、通常「弁明の機会(べんめいのきかい)」という、自分の言い分を伝える場が設けられる。

ここで焦って「申し訳ありませんでした」と謝罪したり、事実とは異なる部分を認めてしまったりすると、後から覆すのが難しくなる。

例えば、相手を指導した事実はあっても、暴言を吐いた事実はないのであれば、そこははっきりと否定しなければならない。

会社側はあなたの発言を細かく記録しているため、不用意な一言が命取りになることもある。

自分の記憶と異なる点があれば、安易に認めず、一度持ち帰って専門家に相談するのが鉄則である。

3-3 ポイント3:退職勧奨にすぐサインしない

解雇を言い渡す前に、会社から「自分から辞めるという形(自主退職)にしないか」と持ちかけられることがある。これが「退職勧奨(たいしょくかんしょう)」である。

「今サインすれば退職金を上乗せする」「懲戒解雇にするより傷がつかない」といった言葉で説得されることが多いが、一度サインして書類を提出してしまうと、後から「不当解雇だ」と訴えることが極めて困難になる。

外資系企業の管理職などの場合、パッケージ(退職特別金)が提示されることもあるが、その金額が妥当かどうかも含め、その場で返事をしてはいけない。

「弁護士に相談したいので一度持ち帰って検討します」と伝えよう。

パッケージについては、以下の記事で説明している。

3-4 ポイント4:証拠を消さず早めに保全する

自分を守るためには、客観的な証拠が何よりも重要である。

例えば、ハラスメントだと指摘された当時のメールのやり取りや、業務上の指示の内容がわかるチャットの履歴などは、会社のアカウントが止められる前に保存しておく必要がある。

また、会社との面談や話し合いの内容は、スマートフォンなどで録音しておくことが望ましい。

自分がどのような状況で、どのような発言をしたのかという記録は、後から「ハラスメントはなかった」あるいは「解雇にするほどではない」と証明するための最大の武器になる。

4章 ハラスメントで解雇されたら

解雇は一方的な通告に過ぎない。あなたが納得できないのであれば、法律に基づいてその不当性を訴える権利がある。

4-1 手順1:弁護士に相談する

まずは、労働問題に詳しい弁護士に相談することが第一歩である。

ハラスメントが理由の解雇では、会社側が「被害者がいる」と主張してくるため、個人で太刀打ちするのは非常に難しい。

弁護士は、あなたの行為が本当に解雇に値するものなのか、会社の手続きに不備がないかを専門的な視点で判断してくれる。

一人で抱え込まず、早めにプロの助けを借りることが大切である。

4-2 手順2:通知書を送付する

相談の結果、解雇が不当である可能性が高いと判断されたら、会社に対して「通知書(つうちしょ)」を送付する。

この書面では、解雇を無効であると主張し、あわせて解雇後の賃金の支払いを求めることが一般的である。

解雇されたのに何もせずに放置していると、解雇が有効であると認めていたと指摘されることがある。

また書面であなたの立場を整理することで、冷静に正しい事実関係を説明することができる。

ただし、通知書や反論の書面を送る際には、弁護士に代わりに送ってもらうことがおすすめだ。自身で送った反論が意図せず不利な書面になってしまっていることも多い。

4-3 手順3:交渉する

通知書を送った後は、弁護士を通じて会社側と「交渉(こうしょう)」を行う。

ここでは、解雇を撤回して職場に戻ることを求めるのか、あるいは一定の解決金(かいけつきん)を受け取って退職を受け入れるのかといった着地点を探っていく。

ハラスメントを理由にした解雇では、会社側も訴訟のリスクを避けたいため、話し合いで解決に至るケースも少なくない。

特に管理職や高年収の社員の場合、解決金の額をめぐって粘り強い交渉が必要になることもあるが、弁護士があなたの代理人として最善の結果を目指してくれる。

4-4 手順4:労働審判・訴訟を提起する

話し合いでの解決が難しい場合は、裁判所の手続きである「労働審判(ろうどうしんぱん)」や「訴訟(そしょう)」に進むことになる。

労働審判は、原則として3回以内の期日で結論を出すスピーディーな制度で、早期解決に向いている。

労働審判については、以下の動画でも解説している。

一方、事実関係が複雑で争いが激しい場合は、通常の裁判である訴訟が行われる。

ここでは、証拠をもとに「解雇が有効か無効か」を裁判官が判断する。

ハラスメントの有無やその程度、会社側の指導不足などが厳しく吟味されることになり、最終的な決着をつける場となる。

不当解雇の裁判については、以下の動画でも解説している。

5章 ハラスメント解雇についてよくある疑問

ハラスメント解雇についてよくある疑問を解消していきましょう。

5-1 Q1:ハラスメント被害者なのに解雇されたら?

ハラスメントを告発したことを理由に解雇された場合には、不当となる可能性が高いです。

基本的にハラスメントを告発したことを理由とする不利益取り扱いが禁止されていることに加えて、解雇理由に合理性もないためである。

5-2 Q2:ハラスメントで解雇された転職に不利?

「懲戒解雇」として履歴が残ると、再就職の際に大きなマイナスとなるのは事実である。

しかし、解雇が不当であると争うことで、会社側と「解雇を撤回し、合意による退職(会社都合など)とする」という和解ができるケースも多い。

例えば、解決金を受け取ると同時に、対外的な退職理由を整理することで、次のキャリアへの悪影響を最小限に抑えることが可能である。

5-3 Q3:逆恨みでハラスメント告発され解雇されたら?

部下や同僚による虚偽の報告だけで、会社が十分な裏付けを取らずに解雇を決めたのであれば、その解雇は不当となる可能性が高い。

裁判所は、発言の矛盾や客観的な証拠を非常に厳しくチェックする。

例えば、管理職などが派閥争いや逆恨みでハラスメントに仕立て上げられることもあるが、事実関係を一つずつ丁寧に否定していくことで、潔白とされることも多い。

6章 まとめ

以上のとおり、今回は、ハラスメントによる解雇について説明した。

突然ハラスメントを理由に解雇を言い渡され戸惑うかもしれないが、安易な発言や態様は控え、法的な見通しに基づいて、冷静に対処していくことが成功の秘訣だ。

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