「出禁」事件の顛末_八代市新庁舎の官製談合?
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今回のnoteはナイーブなので有料にしようと思いましたが、せっかくだし大切なことなので無料公開にします(リアクションによっては後日有料にするかもしれません)。
少しでも共感いただいた方はコメント及び100円で良いので「投げ銭」お願いします。
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八代市の新庁舎で官製談合?
「出禁」事件
自分が唯一、出禁になった自治体が八代市。
公務員を卒業してはじめて業務委託契約をしてくれた自治体で、本当に感謝しているし、それが今に至る第一歩であったことは間違いない。担当の方々も良い人たちだったし、まちとしても非常に可能性を感じるところだった。
ただし、この「出禁」事件はこちらの配慮が不足した部分があったとはいえ、あまりにも非合理的であった。
その経緯や顛末の詳細は上記のnoteの後半「お城庁舎」で記しているので割愛するが、要は熊本地震で被災し、緊急保全事業が活用できるからといって明らかに身の丈を超えた庁舎を計画していた。(この当時、他の支所をはじめ公共施設にも多額の改修費・修繕費・投資が必要であったことは明らかだったが、そうしたものには目をくれず)検討プロセスの時間の経過とともに新庁舎の規模は必要以上に巨大化していった。
そのことを幹部職・議員の集まる職員研修で指摘し、今からでもCM(コンストラクションマネジメント)やDBO、ECI等の工夫によって(本当はもう少し根本から見直して欲しかったが、)最悪、面積・プラン等は動かさなくてもコストバランスを改善できる余地があることを具体的な事例を提示して説明したが、これが逆鱗に触れ謝罪文騒動⇒出禁となったのである。
文春砲炸裂
その八代市の新庁舎を巡って2025年10月9日号の週刊文春で「171億円官製談合を告発!」という文春砲が炸裂した。
著作権法上、この記事をそのまま掲載するわけにはいかないので、以下、ChatGPTに要約してもらったものを(本当は色々とある方々なので実名で記したいが匿名で)掲載する。
序章:17,100百万円庁舎の陰で
熊本県八代市。人口120千人に満たない地方都市に、地上7階・地下1階、総事業費17,100百万円にものぼる新庁舎が完成した。だが、その裏では「官製談合」ともいえる不正疑惑が渦巻いていた。
「税金の最たる無駄遣いばい。身の丈に合ったものを建てれば良かったとです」――市民の声は厳しい。
1. 新庁舎計画と費用膨張
当初の総事業費は約11,200百万円。しかし2017年には増床を理由に5,000百万円を増額。さらに2021年にはコロナ対策や軟弱地盤を理由に750百万円を追加。結果として約6,000百万円も膨れ上がった。
議会では「国の災害復旧事業債や合併特例債で市民負担は少ない」との説明が繰り返されたが、市民からは「復興予算を庁舎に流用するのは血税の使い方を誤っている」と批判が根強かった。
2. 入札の舞台裏
2019年8月、入札を落札したのは中堅建設業者Aを筆頭に地元2社を加えたJV(共同企業体)。落札率は99.92%と極めて高い。
しかし本来、Aは八代市の公共工事実績がなく、発注業者ランク表にも名がなかった。普通なら入札資格はないはずだった。
ところが公告1か月前、a市議(当時副議長・議長を歴任)が「なぜAがリストにないのか」と職員に問い合わせ。急遽、参入基準が緩和されAがリスト入りする。
3. Bの排除
有力候補と目されたのはスーパーゼネコンのB。だが公告直前、市は「指名停止措置」に大きなマイナス点を設定。2018年のリニア談合で処分を受けたBに著しく不利に働き、結果的に排除された。
残ったのはAを中心としたJVだけだった。
4. 内部文書の存在
小誌が入手した内部文書にはこうある。
• 「応札前の段階で今回の設計では会社として利益が出ず、辞退するつもりだった」
• 「市の関係者に伝えたところ『不足分は契約後に用意するので応札してほしい』との要望に応えて応札した」
つまり、公告前から談合が成立していた形跡がある。
5.「改ざん」発言と職員の苦悩
市建設部長はa市議に「毒饅頭は俺たちが食いますけん」と発言。さらに設計会社には「これは改ざんだけん」と言い放ち、設計図書の変更を指示。
その結果、外構工事・付帯工事などで1,000百万円規模の水増し利益が計上された。公益通報した職員もいたが、保護されるどころか人事異動で排除されたという証言もある。
6. 官製談合防止法違反の疑い
公取委OBの弁護士はこう指摘する。
「総合評価方式の基準が特定企業に有利に設定され、受注させる意図があれば、これは官製談合防止法第8条違反の疑いがある。立件されれば、市長・市議・市職員・建設会社担当者が処罰対象となる可能性がある」
7. 責任者たちの弁明
前市長(2025年選挙で落選)
• Aを入札に参加させた経緯について → 「それは知らん」
• 1,300百万円不足をAが訴えた件について → 「聞いとう。部長が対応したと聞いている」
a市議
• Aとの関係について → 「俺ごときの地方議員にそんな力ある?」
• 内部文書での関与指摘 → 「疑惑の段階で書かれても困る」
A
• 「総合評価方式に基づき、予定価格を踏まえて応札した」と回答。
• 関与を否定。
8. 結果と現在
庁舎建設費は最終的に13,500百万へ増額。外構・付帯工事でも別途700百万円が随意契約で支払われた。
今年5月には熊本県警に告発状が提出されたとされる。市長が交代した今、真相解明が進むのか注目されている。
https://www.city.yatsushiro.lg.jp/gikai/kiji00322272/3_22272_123764_up_8625w4uq.pdf
更に熊本日日新聞でも続報が報道されている。
なぜ八代市の庁舎問題は起きたのか
スケールアウトこそが求められた?
八代市に建設された新庁舎は120千人弱の人口規模の地方都市にはあまりに巨大な建物であり、報道によると計画段階から市民の間では「身の丈に合わない」と疑問が投げかけられていたし、実際に関わっていた自分から見ても明らかにスケールアウトしていた。
このことも前段の職員研修でアオーレ長岡の事例をベースに「ハコだけ作っても決してまちは活性化しない」と指摘した。しかも問題は規模だけではない。計画過程から入札・契約、そして増額変更に至るまでも報道にあるとおり、常識的に考えて不可解な点が積み重なっている。実際に自分も基本計画?からの増加要因を教えてもらったが、明らかに地方都市で敷地面積にも圧倒的に余裕があるところでの変更に値するものではなかった。
業者選定プロセスの歪み
公共事業において追加費用が発生すること自体は(特に昨今の人件費・建設物価の高騰も考慮すれば)珍しいことではない。だが八代市のケースは、あまりに短期間で大幅な増額が繰り返され、しかもその理由が不自然に「後付け」されている。加えて内部文書や幹部職員の証言によれば、「不足分は契約後に埋め合わせるからとりあえず応札してほしい」という要望が業者側から出され、それに行政が応じていたことが明らかになっている。
入札制度にも深刻な疑義が残る。本件は「総合評価落札方式」で行われたが、最終的に応札したのはAを筆頭とするJVの1社のみ。落札率は驚異の99.92%。これでは「出来レース」と批判されても仕方がないし、完全に昭和100年の世界の落札率である。
さらに不可解なのは、当初有力視されていたスーパーゼネコンのBが入札から外れた経緯である。2018年にリニア談合で指名停止処分を受けたBに不利となる評価項目が公告直前に設定されたとのことである。結果としてBは候補から外れ、逆に入札資格のなかったAが急遽、入札の業者リストに加えられた。内部の職員は「Aありきの基準変更だった」と証言していることも報道されている。
執行部と議会のなぁなぁWin-Win
なぜこうした不自然な基準変更が行われたのか。ここで浮かび上がるのが、市議会副議長や議長を務めたa市議の存在である。報道によれば、彼は公告の1か月前に「なぜAがリストに入っていないのか」と担当課に連絡を入れ、急遽ランク基準が(中堅ゼネコンであるAが参加できる基準に)下げられた。さらに落札後には「1,300百万円採算が合わない」とAが訴え、それをa市議が仲介して市に伝えたという。内部文書にも「市の関係者を通じて不足分の増額を要望」と記されており、ここでいう「市の関係者」とはa市議を指すとされている。
もしこれが事実であれば、単なる業者癒着ではなく議会の中枢(ドンと呼ばれる議員)が積極的に関与した「官製談合」ということになる。公取委OBの弁護士は「特定企業に有利な基準を設定し、受注させようとしたなら、官製談合防止法違反の疑いがある」と明言している。
ちなみにa議員は、中学校の相撲部へのカンパを執行部(市長公室)を通じて職員から何十年にもわたって(半強制的?に)集めていた(※a議員がYouTubeで発信した人を刑事告発)らしく、これがどこまで本当かはわからないが、執行部と議会の関係が腐っていたのは間違いないだろう。
機能しない二限代表制
ここで重要なのは、この問題が「一部の悪徳議員とゼネコン」の癒着にとどまらないという点だ。八代市の庁舎問題は、ハコモノ神話、行政と議会の馴れ合い、そしてチェック機能を果たせなかった議会や自浄作用の働かない執行部の構造的問題が重なり合って発生した。
PPP入門講座でもいくつか事例で紹介している「二元代表制の罠」も、ここに当てはまる。首長と議会という二つの意思決定機関が互いに監視し合うのではなく、悪い意味でまちから乖離して自らの利己的な思考回路・行動原理で結託したとき、最も危険な事態(なぁなぁのWin-Winの構図)が生まれる。形式的には法に従っていても、実質は民意を裏切る決定が進んでしまう。議会が「知らぬ存ぜぬ」を繰り返す限り、市民は真実を知ることができないし、10,000百万円を超える貴重な税金が利権とともに巨大なハコに姿を変えてしまう。
やましかったんだよね・・・
そういえば、自分が大炎上した件でも当該職員研修には当時の市長・副市長は参加しておらず、市長公室長なる方が隣に座っていた議員の顔色を見て慌てて市長・副市長に報告して謝罪文事件になった経緯がある。
前段のnote「北見市の財政危機_自治体経営のリアル」で当時、筆者が八代市議会において取り上げられた際の議事録を引用しているが、この議員には伝わっていたようだが、外野からのヤジがいくつか記録されている。結局、八代市においてガンになっているのは、自ら壇上に立ちオフィシャルにこちらを糾弾するのではなく、自分の名すらも記録されない「レベルの低いヤジ」でしか場を乱すことができない・自分たちの存在意義を示すことができない・執行部や真っ当な議論をオフィシャルにしようとする議員を萎縮させる悲しい人たちであろう。
こうした「闇」を隠そうとする人間は、外部の視点や批判的な知見を徹底的に排除しようとする。当時は「なぜここまで」と不思議に思ったが、今にして思えば「不都合な真実に光を当てる可能性を嫌ったのではないか」と考えざるを得ない。知識を持った職員、世の中の実態を知った職員や議員が増えれば内部告発のリスクが高まったり疑義が生まれる。だからこそ、そうした外部・外界との接触を「封じる」動きを自分たちはフィクサーとして行う(八代市の場合はフィクサーと呼べるようなレベルではないが)。これは八代市に限らず、全国どこのまちでも起こりうる現象だ。
結局、やましかったんだよね、そして自分が話したことがどこかで刺さってしまった・核心を突いてしまったんだよね。。。
八代市の庁舎問題は、単なるひとつの談合事件ではない。利己的な人間の存在、ビジョンを持たずまちに向き合わず議会の顔色を伺うだけの執行部、利己的なドンに牛耳られる議会、執行部と議会のなぁなぁの関係、そして批判を封じて外界と隔離すること等が複合的に絡み合った「昭和100年のダメなまち」の典型例である。
闇を隠そうとする者たち、批判を封じる構図
正義を滅する
八代市の庁舎談合問題を考える上で最も深刻なのは、単なる金額の膨張や入札経緯の不透明さではない。それ以上に問題なのは、経済合理性・持続可能性や「市民のために」といった本筋を忘れ、見えているにも関わらず不正や疑義を指摘する声をことごとく押さえ込み、封じ込める「闇の力学」が庁内・議会内に働いていた・それを誰も止められなかった、止めようとした人すら抹消した点である。
「外部からの知識」を拒む防衛反応
改めて当時のプレゼン資料を見返したが、八代市の職員研修の場で発生した経験はやはり異様であった。庁舎の件に触れたことは間違いないが、それは全体のごく一部であり、大筋は「公共施設等を取り巻く環境」にはじまり全国で行われている「PPP/PFI事例の紹介」や自治体でのリアルな進め方として「常総市の事例」などを紹介し、「まちの経営」という視点を持つ必要性を説き、ポジティブにマインドセットしてもらおうと意図して構成したものであったに過ぎない。(しょーもない連中から反論が出たら、この資料も公表しようと思う)
にも関わらず、通常の自治体では見られないほど強い拒否反応であったし、そういえば前段でも「庁舎の問題には触れないように」といった要請がなぜか何回も担当者を通じてなされていた。
それに対して「庁舎に触れなければ、このまちが本気で取り組む契機にはならないので、そこは譲れない」として前段のとおりCM等の「今からできること」と「視野を広げること」を本編では解説した。
やましいから「わかりやすく」拒絶
もし、当日参加した人(やそれを見聞きした人)たちにやましいことが何もなく、「そんなのは机上の空論だ」「うちの市には合わない」と思うのであれば、十分に質疑応答の時間もとっていたのでその場で反論すれば良い、あるいは後日に文書レベルでも対面でも良いのでオフィシャルな場で議論すれば良い。しかし、その場では何も言わず、市長・副市長に密告して「謝罪文を出せ!」、どこの世界の人だろう。。。
当時はこうした反論は、単なる保守的な反応で「こちらの考えが伝わらなかったんだろうな」程度にしか思わなかったが、今回の庁舎談合疑惑を見てみると、あの異様な反発は「やましいことを隠したいがための拒絶反応」だったのではないかと思わざるを得ない。
繰り返しだが、やましかったんだよね。。。わかりやすい。
外部の視点や新しい知識が入れば、内部の不正や矛盾が明るみに出る。だからこそ、「批判的なもの・自分たちの闇に近づくリスクは最初から排除する」組織防衛が働いたのだろう。この構図は、八代市に限らず存在する自治体がないだろうか。
問題の根本は「知られたくない人たち」が権力を持っていること、更にはそうした人たちに「意見を言えない」、そうした人たちを「正せない」「排除できない」組織としての執行部・議会、つまり八代市そのものである。
内部告発者の孤立
さらに深刻なのは、内部から声を上げた職員の扱われ方である。こうした「腐った構図」が脈々と連なっていたであろう当時の八代市で、設計図書の改ざんを指示された場面を目撃した職員が、勇気を持って人事課に直訴したようだ。しかし結果は「公益通報者として守られる」のではなく、公益通報者保護法で明確に禁じられている配置転換を命じられる報復措置だった。
これは「声を上げれば飛ばされる」という暗黙のルールを庁内に浸透させ、結果として誰も真実を語らなくなる構造を生む。組織にとっては法律を無視してまで行う短期的な防御になるかもしれないが、市民・まちにとっては致命的だ。なぜなら、不正が膨らむのを止める機会が失われる・法律すら守らない恐ろしい組織であることを明示するからである。
良心を持った職員が報われないどころか堕とされる、悪に迎合する職員が中枢に居座り議会の言いなりになる、ドンと呼ばれる議員も問題だが、本来は意思決定権者たる議会と独立した存在であるはずの執行部の闇も深いし、それは個人のレベルではなく組織的に病んでいると言われても仕方ない。
「まち」のために意思決定できない執行部と議会、情けないとしか言えないし、これまでの八代市民はこんな人たち、執行部と議会のために一生懸命働いて手に入れた貴重な金の一部を何十年にもわたって納税してきたのかと思うと可哀想でならない。
だからこそ、他のまちでは二度とこんな構図が発生しないように、行政・議会に関わる人たちは真剣に取り組まなければいけないし、コンサル・ベンダー・監査法人などに喰われるようでもいけない。
「知らぬ存ぜぬ」で逃げる政治文化
市長や議員への直撃取材では「知らない」「関与していない」という言葉が繰り返されたようだ。だが、内部文書に名前が明記され、複数の職員が同じ証言をしている状況で「知らぬ存ぜぬ」が通るはずがない。しかし、この時・この件に関する八代市ではそうでもないらしい。
それでも通ってしまうのは、日本の地方政治文化に「説明責任を果たさなくても(利権さえ誘導すれば)選挙で一定の支持が得られる」という土壌があるからだろう。つまり、多くの市民が政治に関心を持たず、特定の事業分野では「あの人がうちの仕事を作ってきてくれるから」と「まあ仕方ない」を受け入れてしまう構造そのものが、不正を温存してしまい、同時にまちを衰退させていく。
そうした意味では、このような議員を利己的で短絡的な利益を目的として何期にもわたって当選させてしまう(ごく一部の)市民にも多少の責任があると言えるだろう。
「批判を封じる構図」が生む悪循環
ここで見えてくるのは、八代市特有の問題ではなく、日本の自治体が抱える構造的な病理だ。
外部の視点を拒む
内部の声を封じる
なぁなぁでやり過ごす
議員は「知らない」と逃げ、市民は諦める
この4重の構図が重なれば、不正は必ず繰り返される。そしてそのたびに市民の信頼は削がれ、職員の士気も下がり、改善・改革の芽は摘まれる。これこそまちを貶めるの負のスパイラルである。
議会ドンと迎合行政──闇の顕在化
八代市の庁舎における談合事件を直視すると、そこに浮かび上がるのは庁舎の1案件における単なる入札における不正ではない。長年議会を牛耳ってきた「ドン」の存在と、それに抗うことなく迎合してきた情けない行政執行部の構造である。まちのためではなく議会(のごく一部の)「顔色」を優先し、市民を見ずに誤った権力にペコペコし続けてきた・その行使を許容してきた結果、この闇が一気に表面化したに過ぎない。
議会ドンの影響力
a議員は副議長・議長経験を持ち、その他の報道・SNS・ネット上の情報でも八代市議会で大きな影響力を発揮してきた人物だと言われている。議会内ではいわゆる「ドン」と呼ばれる存在であり、庁舎入札におけるAの参入経緯でも、その名が頻繁に浮上している。
本来は「誰が入札に参加するのか・どのような基準で入札を執行するのか」等は完全に執行権の範囲であり、議会が介入できる分野では全くない。しかし、市役所内部文書や証言でも「市の関係者」としてa議員が登場し、入札基準の変更や随意契約に深く関わったことが示唆されている。執行部の職員はなぜかa議員のパシリとして存在し、公平性・競争性・透明性・公正性という行政が本来持たなければいけない原則すらa議員の「謎の権力」によって捨て去ってしまっている。
実際、a議員に対しては議会で複数回辞の職勧告決議案が提出され、市民やメディアからも厳しい批判が寄せられている。YouTubeで公開された議会映像でも、a議員の関与を追及する声が繰り返し取り上げられている。こうした事実は、単なる噂や憶測を超え、議会のドンが市政の重要局面に影響を及ぼしていたことを物語っている。
同時にこうした状況にも関わらずa議員は2025年度の市議会議員選挙でも当選しており、もちろん八代市民の判断であり公職選挙法に基づく結果であるから何ら法的問題はそこに存在しないが、八代市民も「腐った構図」を一掃できないことに対する結果責任はとっていかなければいけない。
行政執行部の迎合構造
問題は、議会ドンの存在そのもの以上に、それに迎合してしまう行政執行部の姿勢だ。庁舎建設計画ではAの応札を可能にするため、基準が急遽引き下げられた。スーパーゼネコンのBなど他社の参入が事実上阻まれ、Aありきの入札構図が作られた。これは行政の判断が「まちの利益」ではなく「議会ドンの意向」に従ったこと、公平性等の倫理観すら捨てたことを意味する。
さらに、不足金額を埋め合わせるための設計改ざんや、随意契約による利益上乗せなど、職員が「これは改ざんだ」と口にせざるを得ない局面まであった。職員の一部は異議を唱えたが、結果は配置転換や圧力という形で封じられた。行政がまちを見ず、議会ドンの顔色だけを見て判断する構造が、組織全体を支配していたのである。
「まちを見ない」ことの帰結
庁舎建設の総事業費は11,200百万円から17,100百万円に膨れ上がった。熊本地震や豪雨災害の復旧に本来投じられたはずの資金の一部が、必要以上に華美な庁舎に吸い込まれた。
実際に筆者が前述の職員研修で、新庁舎に要するコストの一部を老朽化対策に回した方が良いと指摘した坂本支所は、2020年の台風により支所及び周辺に甚大な被害を生じさせることになった。
行政がまちを見ていれば、市民が本当に求めていたものが何か、復興の優先順位がどこにあるか、地方自治法上は単なる事務所でしかない「お城庁舎」は市民が望むものであったのかは直視できたはずだ。だが実際は、市民の生活よりも議会ドンとの関係維持、一部の関係者への利益誘導が優先された。結果として、市民の信頼は深く傷つき、行政への不信が拡大した。それだけでなく、実際のまちへも甚大なダメージを生じさせることになった。
闇の顕在化
この事件は、繰り返しになるが突発的に生じたものではなく、長年積み重なってきた構造的な闇が顕在化したに過ぎない。議会を牛耳るドンと、それに迎合する行政。まちを見ない意思決定の積み重ね。それらが常態化するとともに臨界点を迎え、庁舎談合として爆発したに過ぎない。
ここで問われているのは、八代市だけの問題ではない。非合理的な社会である行政を取り巻くリアルな環境を考えれば、どの自治体にもこうした「病原」は潜んでいるだろう。違いはそれを顕在化させるか、未然に封じ込められるか・どこかで踏みとどまれるかだけである。そして、それはそれぞれの個人として、組織としての「覚悟・決断・行動」に委ねられている。
闇の噴出と新市政に託される期待
闇から得る経験知、新しい希望
八代市庁舎談合事件を通じて明らかになったのは、ただの不正ではない。議会を牛耳る「ドン」の権力構造と、それに短絡的・安易に迎合してきてしまった行政執行部、そして「まちを見る」という視座が欠落した意思決定の累積が、長年の闇を市民の前に露呈させたのである。
だが、希望はある。新たな市長と政策の転換が始まりつつあり、それが闇の体質を変える可能性を秘めている。最後に二元代表制の堕落への警鐘と、新市政が示した変化の兆候、そして未来への課題を整理したい。
二元代表制がなぁなぁになるとこうなる
二元代表制、すなわち、首長と議会という二つの意思決定機関が互いに切磋琢磨・牽制する仕組みは、権力の集中と暴走を抑え、民意を反映させながら自治体経営をしていくための制度設計であり仕組みである。しかし、これが「なぁなぁ」に陥ると、以下のような病理が生じてしまう。
議会内部に強力な支配者が育ち、実質的な決定権を持つようになる
議会が執行権の範囲に土足で、利己的な思惑で踏み込む
行政はまち・経営ではなく短絡的な判断を下し、議会ドンの顔色を優先して利益誘導に加担して動く
監視機能を失った議会はチェック機関として機能せず、意思決定機関としての場そのものが「利権操作」装置となる
市民への説明責任や透明性が無視され、議会・行政・業者の間で「密室合意」が常態化する
勇気を持った正しい分子すら悪の手で粉砕する
まちのマネジメントをする主体が喪失し、まちが衰退する
八代市の庁舎談合事件において、これらの病理はすべて確認できる構造だった。議会ドンが入札基準を操作し、行政が迎合し、議会が責任を回避し続けて闇を温存してきた(市民もa市議を再当選させた時点である意味同調したことになる)。執行部の中でも自浄作用を働かそうとした小さな勇気すら執行部・議会で握り潰してしまう。
八代市においても二元代表制は制度として存在しているが、「当たり前」の機能すら果たせなくなった、機能不全に陥ったことによって「ごく一部の人間」の暴走、まちを牛耳る時間・権能を与えてしまった。
新市政で示された変化の兆し
そのような八代市においても、2025年の市長選挙では前市長を破り新しい市長が選出された。報道や公表情報から、少なくとも以下のような政策変化が起き始めていることが確認できる。
アリーナ整備見直し(計画の一時停止・見直し表明)
新市長は、前市政が進めていたアリーナ施設整備計画を見直す考えを市議会で表明している。YouTubeで報じられた議会映像では、アリーナ整備方針の凍結または中断を検討する発言が確認されている。
「決まったことだから」というお役所論理を捨てるこの動きは、これまでの八代市の「(利権に染まった)ハコモノ事業を先行させること」という昭和100年の行政のやり方を改め、経済合理性・持続可能性の「当たり前の論理」で「立ち止まり・検証」を優先する姿勢への転換を示すものだ。
ANA客室乗務員の兼業登用
また、報道によれば2025年10月1日付でANAの客室乗務員を八代市役所の兼業職員として採用することとなったようだ。市の観光振興課所属とされ、地域活性化・魅力発信業務を担うとのことである。
このように、外部の人材を行政に取り込む試みは、閉じられた組織に新しい視点を注入しようという意志であり、SNSでの積極的な情報発信は「内に籠る」ことから脱却することにもつながる可能性がある。
外部の血が入ることで「つまらない小細工」はできなくなったはずだ。
これら二つの動き――アリーナ見直しと外部人材登用――は、旧体制の延長線からの脱却を図る初期動作と捉えられる。もちろん、これだけで数十年にわたって巣くってきた闇の構造がすべて変わるわけではないだろうが、少なくとも動かないまちが良い方向に向かって動き始めたことは間違いない。
この流れに期待したい
・新市政の動機と覚悟を見極める
新市政が掲げる「見直し・透明化・市民参加」の姿勢が単なるスローガンで終わってしまうかどうかは、政策実行と継続性で判断される。アリーナ中断や人材登用は初動・風穴を開けるために本当に有意義な一歩だと思う。次に問われるのは、どこまで徹底して闇の構造にメスを入れられるかである。そして、それは新市長と補助機関たる行政職員だけに委ねる問題でもないし、委ねているだけでは難しいだろう。
地域プレーヤー、(本来の存在意義をわかっている)議員、市民、そして関係人口たる人々、更には報道・SNS等がどうこのまちに関わり、「当たり前」の状態へ軌道修正してけるかが問われるし、周囲も自分も含めて傍観しているだけでなく「できること」をやっていくことが必要だろう。
・市民と地域プレーヤーの役割を強化する
行政・議会の変化だけでは十分ではない。市民・NPO・地域事業者が主体的に関与し、プロジェクトを共創する基盤を育てることが重要だ。議会ドンが強く影響していた領域を少しずつ生活領域へ引き戻し、透明性と責任性を注入していく。
例えば、アリーナ整備のような大規模事業は、公募前段階からサウンディング型市場調査、コンソーシアム組成を前提とした本質的なプラットフォーム等で市場性・経済合理性に基づく「合理的」な議論と機運を蓄積し、邪な思考回路・行動原理を持つ人々が能力的・手続的・実質的に参入できないように組み立てていくことも重要だろう。
闇を顕在化させた経験を組織的資産に変える
今回の庁舎談合事件そのものは、決して好ましいことではないが、そうした「黒歴史」を闇に葬るのではなく八代市というまちの記憶・経験知として残し、再発防止に活かす仕組みをつくることも重要である。議会改革、行政監査、内部通報者保護制度など、今回の件で課題になったことの抜本的改革はもちろんだが、公共事業等に関する発注方法なども見直していくチャンスであることを忘れてはならない。
性能発注が必要条件≠十分条件
今回の件は、「昭和100年の一般競争入札」だから発生する古典的な官製談合であり、しっかりとした性能発注のプロポーザルであれば議会のドンが絡んだり、執行部が後から手を加えることなど物理的にできなかったはずだ。
PPP/PFIももちろん万全・万能ではないが、一般競争入札だからこそ発生する談合・ダンピングが予防できる点、(なんちゃってPPP/PFIのコンサル丸投げほぼ仕様発注のものは別として)企画提案書を作成する能力やコンソーシアムを組成するネットワークがないとそもそもプロポーザルに参加できないし、プレゼンする力や質疑応答での即答するだけの企画提案となっていなければ競争も勝ち抜けない。
そうした意味でも仕様パズルの中で「いかに安くするか(+後でゴネて上乗せしてもらう)」一般競争入札+利権・既得権益・まちの病巣の理論から脱却するためには「性能発注」によるPPP/PFIとすることは、八代市に限らず最低限のことになっていくだろう。(少なくとも筆者が関わるプロジェクトは、公務員時代から本日に至るまで全て(形式は様々だが)プロポーザルで実施しており、一般競争入札によるものはひとつもない。)
一般競争入札だからこそ談合・ダンピングは発生するし、「事前に決められたことと金だけで結びついた世界」、昭和100年の世界、何も考えない世界、アホでも入れる世界、邪な考え方や情けない執行部がやられたい放題になる世界であることを忘れてはならない。
希望を選ぶまちであれ
闇深ければ。。。
「谷深ければ山高し(逆もある)」と同様に、闇が深く巣くっているほどそれを顕在化していくことに痛みを伴うだろうが、それはまた「大きく変わる機会」の側面も持つ。八代市が現在、転換期にあることは間違いない。
講じられつつあるアリーナ見直し・外部人材登用といった動きは、その端緒である。
八代市が現存しているごく一部のつまらない利己的な動機・思考回路・行動原理とそれに迎合する情けない執行部(のごくわずかな人間)によって再び「見えない闇に飲み込まれる・自ら闇堕ちする都市」であってはならない。「闇を顕在化させて闘ったまち」として、次の世代に誇れる自治体となることを期待するし、それは八代市に限ったことではない。
改めて学びが大きい事例だからこそ、(まだいろんなことが確定した段階ではなく)かなりナイーブな面も内包しているが、敢えてこの日にこの事例をここに書き起こしておく。
自分への戒めとしても。
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本年度も2025年6月27日まで全6回、会場・オンライン合わせて過去最高の533名(終了時)にご参加いただき大変ご好評をいただきました。
全6回(各回_60分×3コマ)にわたって、弊社の基本理念である「現場重視・実践至上主義」に基づいた生々しいリアルな姿を事例を通じて学んでいくものですが、教科書的な「PFI法に基づくPFIとは」「VFMの算定方法」「事業手法比較表」等の話は一切ありません。
最近、類似の「PPP入門編」のセミナー・勉強会があちこちで開かれているようですが、それらとは一線を画す超オリジナリティ溢れたものになっています。
今回は更に内容をブラッシュアップして、能登地震・八潮市の道路陥没事故・Next PPP/PFIや事業パートナー方式なども交えながらPPP/PFIを解説しています。
来年度の開催時まではアーカイブ配信をご覧いただけますので、今からでもぜひお申し込みください。
※詳細はリンク「まちみらい公式HP」をご覧ください。
noteプレミアムへの移行
2025年1月からまちみらい公式noteは「noteプレミアム」に移行しました。(単純に今まで知らなかっただけ。。。)
noteにコメントも受け付けています。双方向型になっていけるようコメントにはレスを入れていきます。記事の「いいね!」も積極的にお願いします。
また、最下段にあるように「投げ銭」は絶賛募集中ですw
実践!PPP/PFIを成功させる本
2023年11月17日に2冊目の単著「実践!PPP/PFIを成功させる本」が出版されました。「実践に特化した内容・コラム形式・読み切れるボリューム」の書籍となっています。ぜひご購入ください。
PPP/PFIに取り組むときに最初に読む本
2021年に発売した初の単著。2025年5月現在7刷となっており、多くの方に読んでいただいています。「実践!PPP/PFIを成功させる本」と合わせて読んでいただくとより理解が深まります。
まちみらい案内
まちみらいでは現場重視・実践至上主義を掲げ自治体の公共施設マネジメント、PPP/PFI、自治体経営、まちづくりのサポートや民間事業者のプロジェクト構築支援などを行っています。
現在、2026年度以降の業務の見積依頼受付中です。
投げ銭募集中
まちみらい公式note、世の中の流れに乗ってサブスク型や単発の有料化も選択肢となりますが、せっかく多くの方にご覧いただき、様々な反応もいただいてますので、無料をできる限り継続していきたいと思います。
https://www.help-note.com/hc/ja/articles/360009035473-記事をサポートする
そんななかで「投げ銭」については大歓迎ですので、「いいね」と感じていただいたら積極的に「投げ銭」をお願いします。
