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【セミナー登壇に先駆け、おやっさんにインタビュー!】町工場がBtoCに挑戦、「見せられなかった技術」が道を切り開いていく

「また取引先がひとつ廃業した」
「設備投資をしても、単価は下がるばかり」
「このままBtoBだけで、うちの未来はあるのだろうか…?」

今、そんな悩みを抱える町工場の経営者が全国にたくさんいます。
今回お話を聞いたのは、“おやっさん”こと栗原稔さん
町工場を中心としたみんなで作るコミュニティ「町プロタウン」の発起人、金属加工業・栗原精機の会長として長年BtoBの請負い仕事を続けてきた人物です。

「うちは請負い加工業を続けてきて50年。本当に悩み多き50年でした。今でも悩みは尽きません」そう語るおやっさんは、5年ほど前から自社製品の製作・販売を始めました。

「BtoCに挑戦して自社製品をお客様に直接販売するなんてうちには無理だって、最初は思っていました」

そんなおやっさんが「BtoCに挑戦する」という未知の一歩を踏み出すまでには、気づきと試行錯誤の積み重ねがありました。


PROFILE

1960年、東京都内で町工場を営む母親の実家で生まれる。父親は旋盤職人。内視鏡メーカーで開発設計業務に約10年従事したのち、家業の栗原精機に入社。平成15年から20年間社長を務め、令和5年、長男に事業承継し会長職に就く。平成30年には合同会社メイカーズリンクを設立、町工場から日本を明るく元気に!を掲げて活動中。町工場や中小企業を元気にするプロジェクト、OYASSAN&CO.(おやっさんアンドコー)を展開している。

OYASSAN&CO.:https://www.oyassanandco.com/


「また取引先が減った」、町工場の漠然とした危機感

-リーマンショックの頃、栗原精機も大きな打撃を受けたと聞きました。

はい、リーマンショック前、2008年の前半は過去最高の売上でした。でも9月以降、ぱたっと仕事がなくなって。前年比70%減。仕事量が3割まで減りました。
「来月も仕事がなかったら終わりだな」というギリギリの状態で丸1年を過ごしました。支援制度を活用してなんとか社員を解雇せずに踏ん張って、1年後にやっと戻ってきた。その時は、V字回復でしたね。

-そこからまた同じような不安はありましたか?

はい、ずっとありました。今でもあります。またいつ落ちるかわからない。その中でずっとモヤモヤ考えていました。「うちはこのままBtoBだけでやっていけるのか」と。

-なぜBtoC、つまり自社製品に挑戦しようと考えたのですか?

最初は全然そんなつもりはなかったんですよ。「うちには関係ない」って思っていました。うちは切削の請負加工が既存事業です。技術をPRしようと思っても作ったものは見せられない、秘守義務がありますから。どんなものを作っているのか伝えようがありませんでした。そこで、思ったんです。

「誰にも頼まれていないものを作ればいいんじゃないか」って。

それなら自分たちの技術をもっと多くの方々に見てもらえる。最初の発想は完全にサンプル作り、だから販売するつもりはありませんでした。

町工場の発想転換、「見せられない技術」を伝えるために

-最初に作ったものは何ですか?

真鍮製のテープカッターです。元々工場が休みの週末に自分が作りたいものを作っていました。何かものを作っていること自体が好きですし、性に合っているんです。だから、趣味の延長線でまずは「見せられるもの」を作ってみました。

私自身、最小限のデザインで機能を満たしているものは美しいと思いますし、好きなんです。シンプルなもの。だから、自分が作るものもミニマムなデザインにしたくて、そういうテイストになりますね。

複数の材料で試作を重ね、最初に販売することになったのはアルミ製のテープカッターです。

-どんなことがきっかけで、販売することになったのですか?

デザイナーさんとの出会いです。

「見せられるもの」ができたので、懇意にしていた方々やコミュニティの仲間のところにテープカッターを持って行きました。ある時、デザイナーさんから、「商品名は? 上代は? パッケージは?」と聞かれたのですが売るつもりで作っていなかったので何も答えらなくて。「販売できる形にするところ、私やりますよ!」ってそのデザイナーさんが言ってくれたんです。

ここからです、一気に商品化へと動き出したのは。

後に自社製品の開発・発表・販売を通じて町工場の活性化を目指す取り組み「町工場プロダクツ」を一緒につくっていくことになる頼もしいパートナーの登場でもありました。

-テープカッターが販売できる状態になったんですね。販路開拓はどうされたんですか?

運よくそのタイミングでギフトショー出展の話をいただいたんです。商品1点だけでの単独出展は難しいと思ったのですが、「同じようなチャレンジをしているところがあるかもしれない」と考えました。

そこで他の町工場さんたちに声をかけ、2020年10月にMAKERS LINKとして初めてギフトショーに共同出展しました。これが今の「町工場プロダクツ」につながり、展示会やPOP UP販売へと活動を拡大することになります。2022年からは、渋谷ロフトでの催事も始まりました。

振り返ってみるとギフトショーへの最初の挑戦で、自社製品を多くの方に見ていただけたことが販路開拓の大きなチャンスになりましたね。

-自社製品が初めて誰かに届いた時、どんな気持ちでしたか?

正直なところ、私自身は最初は恥ずかしかったです。「これでいいのかな」と何度も思いました。でも、工場の雰囲気が変わったんです。

「自分たちが手を動かして作ったものが、お客さまに届いている。その上、喜んでいただけている」

「買いました!」とSNSで投稿してくれた人がいて。それを社員も見ていました。手に取ったお客様からダイレクトに感想をいただくことは、私たちにとって今までにないことでしたから、手応えを感じる初めての体験でした。

BtoBの仕事では、納品しておしまい。仕様書の通りに作って100点満点です。「ありがとう」と言われることはあまりありません。
でもBtoCは、ちゃんと「ありがとう」が返ってくる。それがすごく嬉しかったですね。

BtoCへの挑戦が、町工場にもたらすもの

-BtoCをやったことで、BtoBの仕事にも影響が出てきたそうですね。

はい、まさにそうなんです。自社製品を見た企業さんから「うちでも扱いたい」と言ってもらえたり、「OEMでこれを作れないか」と声をかけてもらうようになりました。

実際、世界的なあるブランドとコラボする話をいただいて、うちの商品にそのブランドのロゴを入れて出すことになりました。
想像もしていなかったことが起こりました。まさかそんな企業と取引をすることになるなんて思ってもいませんでしたから。

-今まさに不安の中にいる町工場の方に、伝えたいことはありますか?

正直に言って今、製造業はとても厳しい状況です。リーマンショックの時よりも、もっと重たい感じがします。
あの頃のように「国が声をあげてなんとしよう」みたいな空気もあまりありません。だからこそ、自分たちで動くしかないと思うんです。

答えはありません。でも、行動することで“何か”は起こる。

とは言え、自社製品はすぐに誰でも作れて売れるわけではありません。成功率も高いとは言えません。それでもです、作って世の中に発信することで誰かとつながれるかもしれない。自分たちの技術を伝えることで、知ってもらえるかもしれない。

「まずは自分たちの技術を伝えるアイテムをひとつ作ってみる」というのは、とてもいい最初の一歩になると思います。

-今回のセミナーでは、町プロタウンのコミュニティメンバー、有限会社小沢製作所の小沢達史さんも登壇されますよね。

はい。彼は30代で私よりずっと若くて。でも視野がとても広い方なんです。
自社ブランドのアウトドア商品をきっかけに、地域や教育といった分野にも関心を持って、ものづくりをしている。

私はどちらかというと“感性ベース”でやってきたけれど、小沢さんは“コンセプトベース”で考え抜いてる感じがしています。
同じBtoCへの挑戦でも、全然アプローチが違うんですよ。それでいいと思っていて。

「こうしなきゃいけない」なんてことはない。自分らしく試行錯誤を重ねて挑戦すれば、それがいちばん伝わると思います。

-最後に、お2人が登壇されるセミナーで「製造業のBtoCへの挑戦」というテーマに関心がある方にひとことお願いします。

今回のセミナーでは、そんな“コンセプトベース”の小沢さんと一緒に、私たちのその後、商品開発や販路拡大の具体的なところを話そうと思います。
町工場の挑戦に限らない話かもしれませんが、どんな挑戦にも決まった道なんてありません。

ヒントは、もしかしたら誰かの話の中にあるかもしれない。

今回の私たちの話が「やってみようかな」と思えるきっかけになったら嬉しいです。ぜひ、オンラインセミナー(無料)を聞きにきてください。

取材:田中健士郎
執筆・編集:リサ
写真提供:メイカーズリンク


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製造業経営者が語る!〜BtoBからBtoCへの挑戦〜


BtoBからBtoCへ。いま、製造業の現場で新たな挑戦が始まっています。実際にBtoCに挑戦している経営者たちがリアルな経験を語ります。現場の熱量と突破口を、あなたのビジネスに。

■ 開催日時
8月26日(火)17:00~18:30
無料(要会員登録)

登壇者
栗原稔さん(株式会社栗原精機・メイカーズリンク)
小沢達史さん(有限会社小沢製作所)
岸本豊寿さん(有限会社岸本工業)
清水俊英氏(FIELDSTYLE主催)

こんな方におすすめ
・製造業で新たな販路開拓やBtoC事業に興味がある方
・町工場メーカーの経営者・幹部・現場リーダー
・ファンづくりやブランド化に関心がある方
・異業種連携やコミュニティ活用に関心がある方
・製造業の現場のリアルな経験やノウハウを知りたい方

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