【BL二次小説】 東堂式恋愛術⑥
オレは……好きになっちまったんだろうか。
靖友を。
過剰に意識しているのは明白だ。
オレが靖友に恋を……。
いや!
いやいやいや待て!
待て隼人!
結論を出すのはまだ早い!
混乱してるだけだ!
一時的な気の迷いってやつだ!
数日たてば、きっとおさまる。
この胸の高鳴りも。
考えてもみろ。
リスクが高過ぎる。
道を踏み外すな。
靖友だって言ってたじゃないか。
「付き合うつもりはない」って。
靖友はちゃんと解ってるんだ。
男同士でそんなことになっちゃいけないって。
だから、気持ちは打ち明けたけど、そこまでで踏み留まったんだ。
靖友はちゃんと理性が働いたんだ。
だから「忘れろ」って。
「二度と蒸し返さない」って。
だから。
だからオレも靖友の言う通り、忘れなきゃいけない。
一時の感情に流されて、二人で地獄に堕ちちゃいけないんだ。
……そうだ。
それが結論だ。
何日かかるかわからないけど、忘れるんだ、この感情を……。
今日も一日中、全く授業が頭に入らなかった。
オレは放課後、部室に向かうため階段を降りている。
今朝は初めて朝練をサボってしまった。
こんなことじゃいけない。
今から思いっきりペダルを回して何もかも吹っ切ろう。
「新開くん……」
呼ばれて振り向くと、見知らぬ女子がモジモジしていた。
その女子が告白を始めた。
オレは機械的にカシャカシャといつものシミュレーションを頭の中で始める。
……待てよ。
この娘と付き合えば、靖友を早く忘れることが……?
バカ!
オレはなんてことを!
そんなことのためにこの娘を利用するのか!
鬼かオレは!
いや、鬼だっけ。
そんな独り漫才はどうでもいい!
……告白の内容が全く頭に入ってこない。
右の耳から左の耳へ抜けて行く。
靖友……。
頭の中は靖友でいっぱいだ。
どんどん重症化していく。
どうしよう。
どうしたらいい。
「……ぅおっとォ!」
誰かが通りかかっ……靖友!!
靖友だ!!
なんて間の悪い!
こんな場面を靖友に見られちまった!
オレは凍りついた。
「……」
靖友はオレと女子を交互に見て、一瞬固まった。
「わ、悪りィ」
クルッと向きを変え、走り去る靖友。
靖友!!
オレは思わず靖友を追いかけ……
「新開くん!」
女子に叫ばれて足が止まった。
オレは……。
「ごめん。オレ好きな人がいるんだ」
「ええ~?」
初めて言った断りのパターンだった。
オレは全速力で靖友を追いかけた。
オレは走りながら、カシャカシャとシミュレーションしていた。
靖友とのことを。
互いに尊敬出来るか……クリア!
信頼し合えるか……クリア!
高め合えるか……クリア!
ドキドキときめくか……クリア!
四六時中相手のことが頭から離れないか……クリア!
チャリのことも忘れるぐらい……初めて朝練サボった、クリア!!
オールクリア!!
初めてだ!
靖友!
おめさんは、おめさんはオレの……運命の人じゃないか!!
リスク?
構わない!
道を踏み外す?
望むところだ!
地獄に堕ちる?
バッチ来ーい!!
靖友!!
好きだ靖友!!
