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ここが変だよ!インドネシアのローカル日本食

インドネシアでは和食が人気で、日本から進出してきた外食チェーンだけでなく、ローカル資本のチェーン店がたくさん出てきています。

頑張っている店も多いし、高級店はきちんとダシを取っているとか、丁寧に作られていると感じることも多いのですが、一般的なローカル日本食はズレてきています。

それはローカライズで、大多数のインドネシア人消費者に合わせた正しい戦略なんですが、日本人のわたしとしてはそれは違うと指摘しておきたいのです。


1.サンバルファースト:とにかくサンバル(唐辛子ソース)をドバドバかける

料理人に対する冒とくだと思います。
インドネシア人は、「辛い:Pedas」の反意語は「甘い:Manis」と思っているくらい、味覚が日本人とは全く違うので、仕方ない部分はあります。
わたしはよくインドネシア人に「辛いというのは味覚ではない、痛覚だ」と指摘します。美味しいというのは自由だが、それは君たちの錯覚でしかないと伝えています。
痛覚を強めることで、うまみなどの繊細な味覚が感じられなくなってしまうのでしょう。ダシを使った料理や、素材の美味しさを引き出す薄味の料理は、サンバルをかけていては美味しく感じられないはずです。寿司にサンバルもあり得ない。

わたしの大好きな本格的な日本のラーメン屋には、絶対にサンバルを置くなよといつも思っています。

2.調味料がいまいち

サンバルどばどば以外にも、ちょっとどうかなと思うときがあります。

お酢がおいていない。
餃子を食べるときにお酢がないのです。華人の運営する山東餃子のような本格餃子は別にして、ローカルの餃子屋にはお酢がありません。
インドネシアはお酢よりライムで酸味を出す習慣があるのと、餃子に酢醤油を使う習慣がないのでしょう。
ラーメンでも、例えばつけ麺や油そばでは、途中で味変でお酢を少し入れることがあります。それができないです。

醤油がおいていない。
代わりにケチャップマニスという甘いソースがおいてあることが多いです。インドネシアの餃子は、肉に味をつけているのかもしれないし、明太マヨをかけたり、サンバルをかけるから、醤油がいらないのかもしれません。

マスタード、ワサビがおいていない。
カツを食べるときマスタードがないです。回転寿司にいってもワサビは頼まないと出てきません。しかもワサビとはいえないような、ひどいしろものです。

3.揚げ物が多すぎる

揚げ物がすべて悪いと言っているのではなく、バランスよく味覚を楽しもうねと言いたいのです。
しかも、インドネシアの揚げ物は、サクサク感を重視するため、食感がワンパターンになりがちです。

どうなってしまうかというと、天ぷらなのに衣がから揚げと同じとか、南蛮漬けのような揚げ物+マリネのような複雑な調理がないとか、鶏唐揚げの衣が分厚すぎるといった問題が発生します。

伝統的なテンペゴレンやタフゴレンの衣はそれほどではなく、素揚げに近くおいしくいただけるのに、現代的な揚げ物は衣が硬く分厚いのがよいと思っているんじゃないかと疑っています。

和食にもカツ、から揚げ、天ぷらなど揚げ物はありますが、それぞれ衣や触感は違います。本来揚げ物文化は多様で、食材や楽しみ方に応じて工夫するものなんです。その違いを楽しむようにしてほしいものです。

あとは油が常にパーム油です。ここももう少し工夫が必要なんじゃないかと思います。
菜種油をつかう、ごま油をつかう、ラードをつかうとか。日本なら天ぷらはごま油にこだわっていたり、とんかつならラードにこだわるとかあります。
インドネシアにはそういうこだわりがないようなのです。
イタリアンでも、これオリーブオイルを使っているか?と感じるときがあります。

4.料理がぬるい

和食もすべて熱々で食べることはありませんが、出来立てこそがおいしいし、特に肉や魚は冷えると固くなってくるし、汁物は熱い状態で出すべきなのです。
インドネシアだと、味噌汁はよくぬるくなって出てきて、肉や魚も作ってしばらく置いておいたんじゃないかと思うほど冷えているときがあります。
餃子やたこ焼きも同じです。

おそらく、インドネシアでよくあるパダン料理やナシチャンプルー屋は、作り置きが普通で、おかずが冷たくなっているのを食べるため、肉や魚が常温ということに違和感がないのでしょう。それと、インドネシア人は猫舌の人が多いようです。
焼きたての方が全然おいしいし、ジューシーなので、ぜひ本当の美味しい状態で和食を味わってほしいものです。

インドネシアにも熱々で食べる料理があるので、思い出してほしいです。

5.サーモンが好き

サーモンは寿司ネタとしては邪道です。そこをまずは知ってほしいです。
江戸前の握り寿司にサーモンはありません。
回転寿司屋にいくと、寿司とは言えない寿司ばかりが並んでいてがっくりと来ます。また寿司といえばサーモンと思っているようで、サーモンばかり出てくるのです。
日本の旅館の朝ごはんでも塩鮭の焼き物はあります。でも、いろいろな魚の中の一つという位置づけです。
インドネシア人は味覚がお子様なのかもしれないなと、正直疑っています。またサーモンかよとがっくりと来るので、もう少し進化させてほしい。

6.明太マヨが好き

明太マヨが好きなため、なんにでも明太マヨがかかっている。
たこ焼きとか餃子とか、うーんと考えさせられます。
餃子屋に醤油とお酢がおいていないときがありますから。なのにサンバルは必ずあるのです。マクドナルドのポテトもケチャップではなくサンバルで食べるのがデファクトです。

明太マヨといっても、明太子は入っておらず、一味唐辛子とマヨネーズを混ぜ合わせているだけのような味に感じます。

明太子が入っていない明太マヨになると、もはや日本の味ではないですね。明太子自体は韓国が起源ですから、オリジナルな和食ではないものの、日本の味覚になじんでいる食材です。

7.原型をとどめていない和食

寿司
庶民派回転寿司、ローカル資本の回る寿司で人気のネタは寿司とは言えないネタです。カリフォルニアロールはまだスモークサーモンが使われていますが、魚が一切使われていないネタがたくさんあります。
さらに言えば、そんなネタばかり流れているのです。

シャリは酢飯でさえない感じの味です。
美味しければいいんですよ。進化させてくれてありがとうという気持ちになったでしょう。ところが、インドネシアは美味しく作ろうというより、見た目をどぎつくさせる、あるいは原価を下げる方にベクトルが向いているようです。
料理が侮辱されているように感じる時があります。

照り焼き
照り焼きは基本的には醤油と味醂がベースになります。ところが、味醂は日本酒をベースにするため、インドネシアではハラム(食べてはいけない食べ物)になり、使えません。
醤油でさえ、醸造過程でアルコールを使うため、通常の作り方ではハラムになってしまいます。
従って、ハラル(食べてよい食べ物)にするために、味が変わってしまうということが起きます。

それだけではありません。インドネシア人はケチャップマニスという甘いトロッとした調味料を使うのが好きで、これを使っている場合があるのです。
そうなると、かなり味にずれが出てきます。

鶏白湯
おそらくインドネシア人は日本の鶏白湯ラーメンを食べたことがないのだろうと思います。
鶏白湯といってもいろいろありますから、どれが本当の鶏白湯か決めることはできません。ですが、基本的には鶏ガラを強火でぐらぐらに煮ることで白濁させたスープが鶏白湯と認識しています。
色は白に近いのです。

ラーメンでいえば天下一品や、同じ京都の天天有がオリジナルで、もっといえば博多の水炊きが白濁系の鶏スープです。
インドネシアの鶏白湯は違うんです。茶色いです。

おでん
コンビニでおでんを提供してくれているのですが、大根、ゆで卵、こんにゃくといった、出汁しみしみ系の具がない。
からしもありません。
おまけに韓国の影響からか、インドネシア人が辛いのが好きだからか、真っ赤な辛いスープのおでんになってしまっています。

ゆで卵の半熟と温泉卵の区別がついていない
半熟卵は沸騰したお湯から短時間(約7〜8分)茹でて作ります。白身はしっかり固まり、黄身は半生。
温泉卵は約65〜70度の一定の温度のお湯に約20〜30分間じっくり浸けて作ります。この温度帯では、黄身はぎりぎり固まるが白身はまだ固まらないため、黄身はねっとり半熟、白身は半透明でぷるぷる状態になります。
インドネシアの温泉卵は、日本人オーナーの本物の和食料理店以外では大抵半熟卵で出てきます。

インドネシアギンダラは日本のギンダラではない
バラムツという魚のようです。インドネシアではGINDARAと言われています。

Wikipediaを読んでいただけると分かるように、人間では消化できないワックスエステルを大量に含み、食べると下痢になってしまうため、日本では厚労省から販売禁止指定されています。
たまに日本料理屋でギンダラと書いてあるものは、本当のギンダラを日本から輸入している可能性もありますが、ニセモノのGINDARAの可能性が高いのでご注意ください。
わたしは20年前にタケノコ先生に「あれ食べないでくださいね。」と教えてもらい、驚いた記憶があります。

8.ちゃんとしているところ

最後に褒めることもしておきたいと思います。
日本食レストランの特徴は、はきはきした店員の挨拶です。
「いらっさいませー」「ありがとうございましたー」
ローカルレストランでも、中華でも、西洋料理でもどこにもない、日本料理レストランの文化を、インドネシアはしっかり守ってくれています。しかも声だけでなく笑顔もすばらしい。
インドネシア人は「いらっしゃいませ」というところ、「しゃ」が言えない人がいて、「さ」になってしまいます。そして、アクセントが最後の「ませ」につく。そしてセーと伸ばす。これを聞くと、わたしはとてもうれしい気分になります。がんばっているんだなと思うし、ときどき励まされている気持ちにさえなります。

すべてのローカル日本食がやっているわけではありませんが、日本らしさが現れるので、ぜひ取り組んでいただきたいですね。
挨拶がしっかりしていれば、多少味がいまいちでも、わたしは高評価になります。

きちり(東京STD3082)がまだスタートアップだった96年頃、わたしの先輩の投資先だったので、応援しようと夜飲み会に使っていました。うるさいくらいに挨拶の声が大きくかつ頻繁なため、ちょっとやりすぎじゃないですか?と聞いたら、「いやあれでええんや。挨拶がしっかりしていれば多少のミスは許される。」と言ってました。そういう方針だったらしいです。

おわり





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