《北海道・道北》僕と自転車と、人生の話。あの道は今も続いている。
◆はじめに
この旅は、道東を走った前作の、少し前のことです。
📘前作はこちらです。皆さんに読んでいただき、本当にうれしく思っています🙇
僕は自転車が好きです。
ここでは、ロードバイクで旅をした記録をもとに、自転車と人生、大切な人との関係を書いています。
過去の旅と現在の自分を重ねながら、心のどこかに残っていた景色や気持ちをたどっていきます。
過去の旅を振り返ることで、今を丁寧に生きようとする気持ちや、忘れかけていた感覚を思い出せるような、そんな時間になればと願っています。

自転車。このシンプルで、前にしか進めない乗り物は、これまでいろんなことを教えてくれました。
頑張ってるのにうまくいかないとか、周りと比べて焦るとか⋯そんなときでも、こぎ続ければゆっくりと着実に、前に進んでいるということを思い出させてくれました。
僕は小さい頃から自転車が好きでした。友達と走るのも楽しかったけど、ひとりで走るのも好きでした。 中学、高校、大学と、時が進むなかで、イヤなことがあればママチャリにまたがって走りに行くこともよくありました。
社会人になって数年が経った頃、年齢で言えば30歳手前ぐらい。 仕事にも慣れて、特に問題はなかった。
でも、どこか物足りない。 代わり映えのない毎日。 焦りも不安もあるけれど、なぜか根拠のない自信もある。 自分はこのままではなく、もっとできるはず。ほかのみんなとは違うはずなのだ。何者かになれるのだ。といった感じでした。
今思えば、少し恥ずかしくもあり、きっと多くの人が通ってきた道なのではないでしょうか。
モヤモヤした時、僕は高校のときに買ってもらったママチャリで、家の近くの川沿いのサイクリングロードを走ることがよくありました。 イヤなことを振り払うように、風を切って走る。なんか強くなれた気がする。 自転車は、いつもそういう時間をくれた気がします。
それからロードバイクと出会い、走るのがもっと楽しくなりました。ここからは、ロードバイクで道北を走ったことを思い出しながら、書いていこうと思います。
※少し長めの文章です(約5分)。手が空いたときにでものんびり読んでいただければと思います☕
◆本編|道北へ
・初日
昼前に稚内に到着。空気が涼しい。大阪の蒸し暑さと比べると体が軽くなる。 とりあえず、日本最北端の宗谷岬へ。

景色に感動しているうちに、あっという間に宗谷岬に到着。

ウニ・カニ・イクラの三色丼をご褒美にいただく。旅の始まりにふさわしい味だった。

そこから宗谷丘陵へ。 アップダウンはあるが、風を切って走るには最高の道。 丘の上には、日本最大規模の風力発電所「宗谷岬ウィンドファーム」が広がっていた。

そこで、一人の青年に出会う。 鹿児島から自転車で日本縦断してきたという、大学三回生の青年。 「今日、ここでゴールなんです」と笑う彼。 自分が走っている道の、もっと遠くから来た人の存在に、驚きと尊敬の気持ちが湧いた。その後、ノシャップ岬で日没を眺め、高台から利尻富士を望む。


宗谷の風と光に包まれながら、気持ちよく100kmを走り切った。 宿までの激坂が、最後の締めくくりとなった。
・2日目
早朝、空は曇り。
ライダーたちは「今日は雨」と言う。 でも、ユースホステルのオッチャンは「今日は大丈夫やと思うよ」と言い切る。 何の根拠があるのか…。でも地元の経験値に賭けて、出発。
今日はオロロンラインを南下し、サロベツ原野を目指す。

雲行きが明らかに怪しい…。
走り出してしばらくすると、ポツポツと雨。 やがてゲリラ豪雨のような土砂降りに。 あのオッチャン、やっぱり嘘やん…と思いながらも、とりあえず進む。
誰もいない原野。海と空と道と自分だけの世界。 ビショビショになっても、風を受けて走る。 誰も居ない⋯何故か分からないけど思わず雄叫びをあげてしまった。雨と向かい風に耐えながらも、途中でトンカツを食べたり、風車群や木道を歩いたり、旅の景色は変わっていく。

間近でみるともっと大きく見えた。
冷えた体を温めるため、豊富温泉へ。 黄色く濁った湯、えっ、むっちゃ汚れてる?!石油クサイ…。油が含まれてて身体にいいんだとか。この日はずっと石油クサイ奴になりました。

寂れた雰囲気にテンションが上がる。
その日は豊富駅から輪行で稚内へ戻る。


そして夜。ご褒美のウニ丼を食べて、ふと財布を見ると1000円しかない。 セイコーマートってコンビニに向かったが、持ってたキャッシュカードではATMが使えないという。 困って宿へ戻ると、オッチャンが「郵便局はどうなのよ?」と一言。天気の予想は当たらんかったけど、オッチャン素晴らしい。郵便局があった。 旅先では現金とゆうちょカードは大事だと学んだ。
・3日目
この日は利尻島へ。

本当はゆっくり回るつもりが、郵便局のATMが開くのを待ってたので、予定してたフェリーより遅くなった⋯。滞在時間は5時間に。 島をぐるっと回るには、激走するしかなかった。「時速30km以下になったら死ぬ縛り」を発動して、風をかき分けながら海沿いを走る。途中、またしても日本縦断青年と再会。 彼が「南の岬がよかったですよ」と教えてくれたので、そこへ向かう。
時速30km以下になったら死ぬ縛りは発動中だが、景色が綺麗すぎて何度も立ち止まって死にました🙈


アザラシがいた。 じっとこっちを見ていた。かわいいな。

利尻島の自転車道は快適。 50億円かけて整備されたという話も、途中の見知らぬオッチャンに聞いた。


最後は「甘露泉」を目指す。 百名水のひとつで、登山道を少し登った先にある。

登り切った先で飲んだ水は、名前のとおり本当に甘かった。 旅の終わりにふさわしいご褒美だった。
目標だった300kmに到達。
フェリーに滑り込んで稚内に戻る。 夜の防波堤ドーム、しじみラーメン。 旅は終わりに近づいていた。



・4日目
早朝、稚内空港へ。 途中、自転車の青年と再会。再々会。 聞けば、東大生で自転車部の主将。 旅の終わりに、またこうして出会えたのが嬉しかった。
空港で一緒に写真を撮って、それぞれの便で帰路へ。
ふと写真を見返すと、何枚か撮った宗谷岬の写真にも、彼が小さく写っていた。 旅の最初から、偶然はもう始まっていたのかもしれない。
◆結び|ゆっくりでも、着実に前に進んでいる
若い頃に走った北海道の旅。 あのときは、振り返る余裕はなかったけれど、 ゆっくりでも、漕ぎ続ければちゃんと前に進む、ということを、 ロードバイクに教えてもらった気がします。
あの頃の自分には「ゆっくりでいいし、焦らなくていい。ちゃんと前に進んでいるから、大丈夫」と伝えたい。
◆そして今|変わらない相棒と、変わっていく日々
今の僕はというと、相も変わらずあのときと同じロードバイクに乗っています。 もう10年以上経ったけれど、修理して、部品を交換して、少しガタはきているけど、まだ走っています。
「まだそのロードバイクに乗ってるの?」
と驚かれるけど、僕にとっては大切な相棒です。
たまに、あの頃と同じ川沿いのサイクリングロードを走ることがあります。 家族も居て、思いつきで北海道へ!とかは難しい。だから、近所をぼちぼち走ることが多いです。
あの頃の自分に声を掛けるなら「大丈夫、ゆっくりだけど、ちゃんと前に進んでるから安心していい」と伝えたいです。


河川敷で休憩中。
そして、高校のときに買ってもらったママチャリも、まだ現役です。 大学生のときに一度盗まれたけど、母が偶然道端で見つけて戻ってきた。 それ以来、ずっと修理を重ねて乗り続けていて、いまは妻や子どもたちと公園や図書館に行くときの大切な足になっています。
新しいものを気前よく買うのもいいけれど、 使い続けるうちに出てくるガタやクセが、むしろ味になります。
人生とか、家族とか大切な人との関係も、たぶん似てると思います。 うまくいかないこともあるけど、曲がりながら、上がったり下がったり、修復したり仲直りしながら、でも振り返ったら、思ってたよりちゃんと前に進んでいると思います。
自転車に乗っている途中、振り返ったときに「あれ、こんなに進んできたのか」と思える瞬間。 僕は、そんなときがいちばん好きです。
今も、進んでいるのか分からないくらい、ゆっくりでもいい。でも、あのときと同じように、ちゃんと前に進んでいけたらと思っています。
ちなみに、僕が今乗っている車も、中古で購入してから15年以上。新車で販売されてからは20年以上も経っています。この車もいろんなところに旅に出た相棒で、家族旅行にも、自転車旅にも付き合ってくれた存在。 家族みんなで乗るから、いつの間にかあだ名までついてしまったくらいの愛着があります。 この話はまた別の機会に。
◆おわりに|いつもの道を、いつものように
そろそろ暑くなってきたけど、天気もいいので、今日は家族でいつもの公園にでも行こうかという日。
子どもの自転車がパンクしていたので、朝のうちに直して、空気も入れた。 準備も、だいたい整ってきたから、いつものように、ゆっくり出掛けよう。

🚲️ 🚲️ 🚲️ 🚲️
ここまでお付き合いありがとうございます。
もし道東編も気になった方は、こちらもチェックしてみてください📘
自分の道を発見するきっかけになるかもしれません。
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