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「返事が遅かった理由は、最後まで聞けなかった」

「返事、遅くなってごめん」

久しぶりに届いたメッセージは、

その一文から始まっていました。

続けて、

「あの時、ちょっといろいろあって」

と書かれていました。

そのあとには、

別の話題が続いていました。

こちらも、

返事が来たことに安心して、

新しい話へ返しました。

何があったのかは、

結局聞きませんでした。

聞こうと思えば聞けたはずなのに、

会話が戻ったことの方を、

その時は大切にしたかったのだと思います。


空気説明


返事がなかった間は、

いくつか理由を考えていました。

忙しいのかもしれない。

体調を崩しているのかもしれない。

返しにくい内容だったのかもしれない。

でも、

実際に返事が来ると、

それまで考えていたことは、

少し遠くなります。

責めたいわけではありません。

理由を説明してもらうほどのことでもない気がします。

また普通に話せるなら、

それでよいと思いました。

「いろいろあって」

という言葉の先には、

何かがあったのでしょう。

ただ、

その場で聞き返すと、

せっかく戻った会話を、

もう一度止めてしまうように感じました。

温度差観測


返した側にとっては、

遅れたことを一度謝り、

会話へ戻れた時点で、

出来事は終わっていたのかもしれません。

詳しく説明するつもりがなかった。

今はもう話す必要を感じていなかった。

あるいは、

どこから話せばよいか分からなかった。

本当のところは分かりません。

一方で、

待っていた側には、

「いろいろ」の先だけが残ります。

その時は聞かなかったのに、

数日後、

ふと思い出します。

仕事のことだったのだろうか。

誰かとの間で何かあったのだろうか。

こちらのメッセージが、

少し重かったのだろうか。

最初は可能性だったものが、

思い返すたびに、

少しずつ出来事らしくなっていきます。

返した側は、

一度の返信で元の会話へ戻った。

待っていた側は、

聞かなかった部分だけを、

あとから何度も開いています。

時間がたつほど、

本当の理由は遠くなります。

代わりに、

自分の中で一番納得しやすい理由が、

そこへ残ることがあります。

けれど、

それは相手から聞いた話ではありません。

聞けなかった空白へ、

自分の記憶が置いた話でした。

ここまで読んで、
少し思い当たることはありましたか。
ここで少し整理してみます。

ちょっとあるある


・返事が来た安心で、理由を聞くのを忘れる。

・あとになって「あの時のいろいろ」が気になる。

・思い返すたび、違う理由が浮かぶ。

・自分の一言が原因だった気がしてくる。

・相手はもう覚えていないように見える。

空気診断

今の自分に近いものがあれば、
一つだけ心に置いてみてください。

【タイプA】

返事が来た時は、

理由より安心した気持ちの方が大きくありました。

【タイプB】

聞きたかったのですが、

会話をまた止めるようで聞けませんでした。

【タイプC】

時間がたってから、

自分の言葉に原因を探しています。

【タイプD】

本当の理由を知りたいというより、

自分の想像が合っているのか気になっています。

【タイプE】

覚えていたのは返事の遅さではなく、

最後まで聞かなかった部分だったのかもしれません。

こんな返し方もあります

正解ではありません。
今の距離感に近いものがあれば、一つだけ持ち帰ってください。

① やわらかめ

「返事ありがとう。いろいろあったんだね」

理由を聞き出さず、

相手の言葉だけを一度受け取れます。

② 少し自然に

「返事が来て安心しました。今は大丈夫そう?」

過去の説明より、

今の状態を自然に尋ねられます。

③ 仲が良い相手向け

「何があったか少し気になるけど、話したくなったら聞くね」

親しい相手なら、

気になっていることも無理なく伝えられます。

④ 空気をやわらげる

「また話せてよかった。続きは話せる時で大丈夫だよ」

理由より、

会話へ戻れたことを先に伝える言い方です。

⑤ 少し違う見方

「あの時は聞かなかったけど、今でも少しだけ気になっています」

時間がたっていても、

決めつけずに記憶を伝えられます。

こんな返しは少し気をつけたい

同じ言葉でも、
相手によって受け止め方は少し変わります。

① 強く聞こえやすい

「結局、何があったの?」

理由を知りたい言葉ですが、

説明を求められたように聞こえることがあります。

② 誤解されやすい

「自分が何か悪いこと言った?」

不安から出た言葉でも、

相手に気を遣わせてしまう場合があります。

③ 相手を急がせやすい

「今なら話せる?」

まだ整理できていない相手には、

すぐ答えるよう求める言葉になります。

④ 理由を求め過ぎやすい

「どうしてあの時、言ってくれなかったの?」

相手にも、

うまく説明できなかった事情があるかもしれません。

⑤ 距離感によって変わりやすい

「あの時の理由、ずっと考えてたんだけど」

親しい相手には素直な言葉です。

関係によっては、想像以上に重く受け取られることがあります。

最後に、少しだけ


聞かなかった理由には、

その時の自分なりの事情がありました。

返事が来たことに安心した。

元の会話へ戻りたかった。

相手が話さなかった部分へ、

無理に入らない方がよいと思った。

けれど、

空いたままの場所は、

時間がたつほど何かで埋めたくなることがあります。

この話が少し気になった方へ。
やわらか返信室では、
現在は主に4つの企画を書いています。


📮少し昔の相談員が現代の悩みに答える話


📰編集部がどうでもいいことを真面目に考える雑誌


🌙生活の途中で思い出す、景色や気持ちの話


📖人間関係の小さい温度差を観察する話


もし今回の記事が少し気になったら、

他の企画や自己紹介ものぞいてみてください。

どこかで、自分だけだと思っていたことに出会えるかもしれません。

最後にひとつだけ


最後まで聞けなかった理由は、

いつの間にか、自分の中でだけ完成していました。


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