採用が変わるのは、深いところにある「想い」を聴いた時——ダムの底にいた理事長が、ティラノサウルスになるまで
モデルケース01 真純乃郷福祉会|原体験から「ここで働きたい」を生む言葉へ
「この話、もっと伝えたい!!」
2時間の対話を終えたとき、私の中にあったのはそんな気持ちでした。
今回お話を聞いたのは、社会福祉法人の理事長。採用に使う言葉を整えたい——そんなご依頼でしたが、私がやったのはコピーを作ることではありませんでした。
理事長の中に眠っていた「核」を、一緒に掘り当てること。
これは福祉法人の事例ですが、業種を問わず起きることだと思っています。社長、院長、園長——組織のトップが「自分の言葉」を持てた瞬間、何かが動き始めます。
よくある悩み
「理念はある。でも言葉が届かない」
ホームページには立派な理念が掲げてある。採用ページも作った。でも、応募が来ない。来ても定着しない。職員からの紹介も増えない。
そして何より、自分自身が「うちの魅力を一言で言えない」ことにモヤモヤしている。
忙しい日々の中で、採用広報に時間を割く余裕もない。でも人が足りないから現場は回らない。悪循環が続く——。
もし今、そんな状態にあるなら、この記事が何かのヒントになるかもしれません。
真純乃郷福祉会(ますみのさと)で起きていたこと
真純乃郷は、知的障害のある方々の入所施設を中心とした社会福祉法人です。
理事長の内藤和江さんとお話しした時、ホームページのリニューアルは進行中で、完成時期は未定でした。でも、採用は待ってくれません。
「何を大事にしている組織なのか」——それが、職員にも外にも、まだ伝わりきっていない状態でした。
理念はある。想いもある。日々、職員のために、利用者さんのために、内藤さんは奔走している。
でも、その想いがまだ「言葉」になっていませんでした。
私が行ったのはコピー作りではなく「核の採掘」
私が行ったのは、「核の採掘」。
2時間の対話を通じて、理事長の中に眠っている「原体験」に降りていく。そこから宝石のような言葉を拾い上げ、「核の3行」に結晶化する。
大事なのは、「理念」ではなく「原体験」に降りること。
なぜその理念を掲げるに至ったのか。どんな葛藤があったのか。何が転機だったのか。
その生々しい部分にこそ、人の心を動かす言葉が眠っているのです。
理事長の原体験——ダムの底から浮上するまで
真純乃郷の内藤さんは、インタビューの中でこう語ってくれました。
「私はずっと、自分自身を否定し続けてきました」
職員が一人辞めると言うたびに、「私のどこが悪かったの」「申し訳ない」と謝り続けていた。ここで起きたことは全部自分の責任だと思い込み、本来自分が負うべきではない荷物まで背負おうとしていた。
「今振り返ると、私はダムの底に沈んでいるような状態でした。息ができない。声を出しても届かない。水圧で全身が押しつぶされているような——そんな自己否定の塊でした」
転機はコロナ禍でした。
毎年やっていた大きな行事——利用者さん全員を連れての北海道・沖縄旅行、地域の方を100人招待しての運動会、40キロ歩いて鬼怒川温泉まで行くウォーキング——それが全部止まった。
「めちゃくちゃ大変なことをやっていた」と初めて気づいた。そして「これを本当にもう一度やれるのか」「そもそも本当に必要なのか」という問いが生まれた。
同時に、押し込めていた感情が溢れ出し、涙を流せるようになった。
「人前で泣くのは恥ずかしいことだと思い込んでいた。でも本当は、自分が泣きたかったんです」
そこから「苦手なことでも頑張るのが偉い」という考えを手放し、「一人ひとりの得意なこと、好きなことに目を向ける」支援へ転換した。
そして何より、「職員の幸せなくして、利用者さんの幸せなし」という確信。シャンパンタワーと同じで、一番上のグラスが満たされて初めて、下のグラスにも注がれていく——。
2025年4月。理事長は、ティラノサウルスの着ぐるみを着て職員の前に立ちました。
実はこれ、理事長がプライベートで参加して完走した「ティラノサウルスレース」の着ぐるみ。朝礼で「最近あった嬉しいこと」を共有する取り組みを始めた初日、理事長自ら「ティラノサウルスレースで完走しました」と言ったら、職員はシーンとしていたそうです(笑)。
その着ぐるみを、今度は訓示の場に持ち込んだ。
「ありのままでいいんだよ」というメッセージを、言葉だけでなく、自分の姿で示したかった。職員には「園長に怒られますよ」と言われた。夫は「ふーん」と一言。
それでいい、と思った。
私が完璧じゃないことを見せることで、みんなも「完璧じゃなくていいんだ」と思えるようになってほしい——。
ダムの底に沈んでいた理事長が、自分を許し、涙を流し、ティラノサウルスになった。
内藤さんの話を聞きながら、私は何度も胸が詰まりました。
ダムの底で息ができなかった日々。職員が辞めるたびに「私のせいだ」と謝り続けた日々。そこから少しずつ浮上して、ティラノサウルスの着ぐるみで職員の前に立てるようになるまで——。
「この人は、自分と向き合い続けてきたんだ」
そう思ったら、言葉を届けるお手伝いをしたい、という気持ちが湧いてきました。
この原体験があるからこそ、次の「核の3行」が生まれました。
核の3行
真純乃郷は、「真に純粋な、ありのままの姿」を大切にし、利用者さんも職員も"自分のままで"いられる場所です。
私たちは「声なき声に耳を傾け」「得意を活かし」「唯一無二のあなたが主人公になる」支援と職場をつくります。
職員の幸せなくして利用者さんの幸せなし——だから本音を言える空気を育て、あなたと一緒に"真純"を体現したい。
この3行は、私が「作った」ものではありません。
内藤さんの原体験から「採掘」したものです。
なぜ3行が採用に効くのか
「核の3行」があると、何が変わるのでしょうか。
1. 判断基準が揃う
面接で何を聞くか。現場で何を大事にするか。発信で何を伝えるか。すべての判断基準が、この3行に集約されます。「うちはこういう組織です」と、誰もが同じ言葉で語れるようになる。
2. "刺さる人だけ"が来る
「ありのままでいい」「得意を活かす」「本音を言える空気」——この言葉に惹かれる人と、そうでない人がいます。それでいいのです。刺さる人だけが来ることで、ミスマッチが減る。
3. 職員が誇りを持てる
自分たちの組織が何を大切にしているか、言葉で説明できるようになる。すると「うちで働かない?」と自然に紹介が生まれる。採用広報の最強の味方は、誇りを持った職員です。
理事長の変化
インタビュー後、内藤さんからこんな感想をいただきました。
誰にも話したことのない——あえて話してこなかった——自分史を聞いてもらい、嬉しかった。
自分のやってきた努力が言語化されて、『私って凄いじゃん!』と改めて自分を褒めたくなった。
ビフォーは「自分のやってきた事が整理されていない状態。満足していない状態。自身を疑っている状態」。
アフターは「自分がやってきた事が積み上がって今がある事を認識した。自分を褒めてあげられた。進むべき方向が更に明確になった」。
そして一番刺さった言葉が「究極の対人支援」。
——この言葉が、核の3行を"現場の誇り"に変えていきます。
簡単な仕事じゃなかった!と今更気付いた
2週間後のアンケートでは、こう書いてくださいました。
改めて、どんな思いで今にいるのか、ここからどうしたいかが明確になり、部下にそれを言語化しています
言葉は、引き出しにしまっておくものではありません。
理事長が自分の言葉を持ち、それを部下に語り始めた時——組織は内側から変わり始めるのです。
私はこの仕事を「究極の対人支援」だと思っています。
内藤さんも、この言葉が一番刺さったと言ってくださいました。「簡単な仕事じゃなかった!と今更気付いた」と。
誰かの言葉を整えるということは、その人の歩みをまるごと受け止めるということ。私自身も、対話のたびに学ばせてもらっています。
同じ悩みがある理事長へ
「理念はある。でも言葉が届かない」
「採用がうまくいかない」
「自分の想いを言語化できていない」
言葉にならないモヤモヤを抱えているとき、誰かに「聞いてもらう」だけで、霧が晴れることがあります。
私にできるのは、あなたの話を聴いて、あなたの中にある言葉を一緒に見つけること。答えは、いつもあなたの中にあります。
もしそんな状態にあるなら、まずは「核の3行」を一緒に掘り当てることから始めませんか。
2時間の対話で、あなたの原体験に降りていきます。そこから、あなただけの言葉を採掘します。
今回の真純乃郷では、「核の3行」を起点に、こんな言葉のセットをお渡ししました。
理事長メッセージ全文(原体験から現在地までを、温度感ごと残した情報源)
HP掲載用の短縮版(初見の読者に1分で届く挨拶文)
サイト制作用の要素分解メモ(理念、大切にしていること、採用で伝えたい現場のリアル、キーワード集など)
「核の3行」は、これらすべての土台になります。土台があるから、ホームページも、採用ページも、パンフレットも、面接での説明も——すべてがブレなくなる。
ホームページが完成していなくても大丈夫。むしろ、「核」が先にあった方が、その後のすべてが一本の軸でつながります。
◇◇◇
あらがき ゆきこ|インナーストーリーを探り当て、魅力を「手の内」に
👉 私が何をしている人か・サービスのご案内
▶︎ あなたの物語を、一緒に見つけに行く。
👉 30分の無料オリエンテーション(合うかどうか、気軽にお確かめください)
▶︎ こちらから予約
📩 無料メルマガ(月5本)
内面の言語化のヒントをお届けしています。
登録特典:PDF『心がふわりと軽くなる30の魔法の問いかけ』🎁
▶︎ 登録&特典受け取りはこちら → メルマガ登録リンク
