【連載小説】ダッチン! ~日本の寄付を文化に変える男~ ≪3≫
3 2004年6月 かつお 1歳
オイラはウサギだ。
みんなオイラを「かつお」と呼ぶ。
だからオイラは、かつおだ。
赤ちゃんのときは、違う名前だった。
なんだったかな。……思い出せない。
最近は、いつも腹ペコだ。
だから思い出せないのかな。
オイラ、今、モーレツに腹ペコだ。
はらぺこだ。はらぺこだ。はらぺこだ。
はらぺこだ。はらぺこだ。はらぺこだ。
はらぺこだ。はらぺこだ。はらぺこだ。
はらぺこだ。はらぺこだ。はらぺこだ。
はらぺこだ。はらぺこだ。はらぺこだ。
はらぺこだ。はらぺこだ。はらぺこだ。
はらぺこだ。
はらぺこだ。
ジュンは、米をバラまく。
オイラ、米よりヤサイや果物がスキだ。
でも、腹ペコだから米も食べる。
ありがたく食べる。
ただ、米は、ほとんどがゲージの下に落ちる。
だからオイラ、米は、
ほんのチョットしか食べられない。
下の床に米が見える。
……くっ、……くっ、
……オイラの手は届かない。
米を、ひと粒、ふた粒では、
腹ペコはおさまらない。
キャベツが食べたい……。
ニンジンが食べたい……。
リンゴが食べたい……。
今は、なんでもいいから食べたい。
ああ、……痒い。
痒い。
アチコチ痒い。
痒い。痒い。痒い。痒い。痒い。痒い。
痒い。痒い。痒い。痒い。痒い。痒い。
痒い。痒い。痒い。痒い。痒い。痒い。
痒い。痒い。痒い。痒い。痒い。痒い。
痒い。痒い。痒い。痒い。痒い。痒い。
痒い。
そして、ここはクサイ。
クサイ。クサイ。クサイ。クサイ。クサイ。
クサイ。クサイ。クサイ。クサイ。クサイ。
クサ…
あ、誰かが来た。
誰だ?
コーダイが戻ってきたのかな?
ケージュかな?
マサキかな?
マサキだ!
やさしいマサキだ!
マサキの目はやさしい!
マサキならリンゴをくれるかも!
ニンジンでもいいよ。
キャベツでもいいよ。
マサキ、…オイラ、はらぺこなんだ。
オイラ、はらぺこなんだ。
はらぺ…
ガッ!
わっ!
……コワイ。……コワイ。
……。
ジュンが、また、……ゲージをけった。
最近、これが多い……。
ネコがジュンを変えた?
そんな気がする。
ネコが来てから、ジュンは、
オイラの、ゲージをけるようになった。
コワイ…。でも動いちゃダメだ。
ゲージをけられる。
コワイ…。でも動いちゃダメ…。
マサキがオイラを見ていた。
目が合った。
……マサキの目はやさしい。
オイラ、赤ちゃんのとき、
このマサキの手のひらに乗った。
マサキは、やさしい目をしている。
赤ちゃんのオイラもやさしく見た。
今のオイラも、やさしく見ている。
マサキがジュンに、「連れてくから」と言った。
ジュンはネコと遊んでいて、なにも言わない。
お⁉
おおお⁉ ゆ、ゆ、ゆれる。
マサキが、オイラをゲージごと持ち上げていた。
部屋を出た。
……。
おお〜!
空気がオイシイ!
*
ひさしぶりの外はキモチよかった……。
オイラ、外がスキ。
ここは、はじめての家だなぁ。
マサキ?
フロに入るのか?
マサキの声はやさしい。
でも、今日は、
ときどきマサキの目から、やさしさが消える。
なにも見ていない目になる。
マサキ、元気がなさそうだなぁ。
ワッ!
水イヤダ! 水イヤダ!
ん? 冷たくないけど……。
水はイヤダ!
マサキ、やめて!
マサキ、オイラをイジメないで!
イヤダ。
にげなきゃ! にげなきゃ! にげなきゃ!
にげなきゃ! にげなきゃ! にげなきゃ!
にげなきゃ! にげなきゃ! にげなきゃ!
にげなきゃ! にげなきゃ! にげなきゃ!
にげなきゃ! にげなきゃ! にげなきゃ!
にげなきゃ!
マサキ、やめて。
にげなきゃ! にげなきゃ! にげなきゃ!
にげなきゃ! にげなきゃ! にげなきゃ!
にげなきゃ! にげなきゃ! にげなきゃ!
にげなきゃ。
……にげれないか。
ん? にげる!
にげなきゃ! にげなきゃ! にげなきゃ!
にげなきゃ! にげなきゃ! にげなきゃ!
……にげれないか。
マサキ、やめて。
ん?
目がやさしい……。
これはイジメではないのか?
水イヤダ。にげなきゃ。
……にげれない。
マサキも、びしょぬれだな。
あれ?
マサキ、血が出てる?
おお、マサキ! タオルだ。
オイラ、タオル、スキ!
タオルはコワくない。
マサキの目がやさしい。
タオル、スキ。
きもちイイ。
ドライヤーも、スキ。
きもちイイ。
マサキの手、きもちイイ。
マサキの目がやさしい。
マサキの目がオイラを見てる。
目の奥もやさしい。
よかった。
いつものマサキだ。
* *
コーダイの部屋は、ジュンの部屋よりイイ。
クサくないし。
この1週間、オイラは平和だった。
コーダイは、ジュンのようにゲージをけらない。
そして、しょっちゅうゲージから出してくれる。
マサキがフロで、オイラを洗った。
あれはイジメではなかった。
あれからオイラは、痒くない。
にげようとして、いっぱいジャンプした。
マサキは血が出た。
ジャンプしなきゃよかった……。
ペットショップのカナちゃん。
マサキ。
ふたりとも、目がやさしい。
ほかの人間は、オイラを見下す。
目でわかる。
ウサギだと、見下している。
自分は人間サマ。
オイラはウサギ。
見下さない人間は、ふたりだけ。
今は、マサキだけ。
ウサギを見下している人間は、コワイ。
ウソのやさしい目をしている。
ウソのやさしい目は、奥にコワイ目がある。
カナちゃんは、見下さなかった。
やさしい目の奥も、やさしい目だった。
マサキも、見下さない。
やさしい目の奥も、やさしい目だ。
もしかしたら、ふたりは、ウサギかも……。
人間のように大きいけど、ウサギかも……。
カナちゃんに、あいたいなぁ。
マサキに、あいたいなぁ。
マサキに、あいたいなぁ。
マサキに、あいたいなぁ。
マサキに、あいたいなぁ。
マサキ、……なかなか来ないなぁ。
4 に続く
PS.
この記事は、小説です。
連載します。週1の投稿を目標とします。
でも、ときどき隔週になるかもしれません。ご容赦くださいませ。
おそらく、21話前後となります。
雅樹さん ⇓ が主人公です。
雅樹さんに、Zoomインタビューを行ないました。
それを元に書いています。
あと、
雅樹さんのnoteの記事も参考にしました。
雅樹さんのkindle本も参考にしました。
ゆえに、雅樹さんのことはほぼ実話です。
それ以外の登場人物についての描写は、
インタビュー、
note記事、
kindle本、
を元にした僕の創作です。フィクションです。
登場人物には、一部、架空の人物もいます。
物語の案内役である小野寺未唯は、
ミイコさん ⇓ がモデルです。
モデルと言っても、描写は僕の創作です。
『かつおクラブ』はコチラです。
『宇宙兄弟』寄贈プロジェクトはコチラです。
このように、noteにはリンクも貼ります。
リンクを省き、文章だけにして、TALES(テイルズ)にも投稿します。
テイルズはこちらです。
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