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課題志向で考えないリハビリは、患者さんに何も届かない

リハビリの意義について考えるとき、私が大切にしているのは「課題志向型」の視点です。
患者様の本当の課題を見つけ、その課題に対して的確にアプローチしていく。この考え方と、それに基づいた介入がなければ、リハビリの本質には近づけないと感じています。

日々の臨床では、患者様がリハビリ室に来られ、プラットホームに寝ていただき、関節可動域訓練から始める、という流れは決して珍しいものではありません。もちろん、それ自体が間違っているわけではありません。ただ、「どの動作のための可動域なのか」「どの課題につながるのか」を考えないまま進めてしまうと、その時間は非常にもったいないものになってしまいます。

例えば、課題となっている動作が座位や立位であるならば、必ずしも臥位での介入が最適とは限りません。開始前に課題となる今日、現在の動作状況を確認、評価する事が大切です。また、肩関節の動作ひとつをとっても、体幹の安定性や肩甲帯のコントロールが関与しているのであれば、介入する肢位や環境設定を見直す必要があります。単に臥位で関節を動作場面、筋活動を考慮しない関節可動域動だけでは、本当の問題にはたどり着けないことも多いのです。


自分の好きな漫画『バガボンド』の一場面です。
宮本武蔵と吉岡伝七郎の対峙の中で、伝七郎が武蔵との力量差から
「さあああああっ」と声を張り上げる場面があります。
武蔵は、頭の中で「どうしてそんな声を出す」
「その方が剣術らしく見えるのか」
「届かねえ」「何も届いてこねえ」と続き、本質を突く言葉が出てきます。
「お前の剣の目的は何だ。形を整え、もっともらしく、剣術らしく見せるための剣」「何も聞こえてこねえ」

この場面は、リハビリにも通じるものがあると感じています。
形としての「それらしい流れ」をなぞるだけの介入になっていないか。ルーティーンとして関節可動域運動、筋力増強、動作練習を行っているだけになっていないか。もしそこに明確な目的や課題へのつながりがなければ、患者様には何も届かず、変化も生まれにくいのではないでしょうか。

脳卒中片麻痺患者様の立ち上がりでも、麻痺側からの誘導か、非麻痺側からの誘導か等、患者様の身体機能の状態によって変える必要もあります。
前方への恐怖心があり、足底への荷重、骨盤帯の運動性が低いから、まずは安心し前方へ動きを出すために前方から介入する。また、若干下部体幹、APAsの働きも出てきたから、次に麻痺側から股関節外旋、足関節内反を抑止しつつ、一緒に動き、離殿、伸展相の体幹活動を誘導する等、目的に応じ、アセスメント、介入方法も次々変更し、再度アセスメント、実行していく事が必要です。

大切なのは、目の前の患者様にとって「何が課題なのか」を常に問い続けることです。そして、その課題に対して最も効果的な方法は何かを考え、介入の形を柔軟に変えていくことだと思います。

一人ひとりのリハビリにおいて、その患者様の本当の課題にアプローチできているか。形式ではなく本質に向き合えているか。
その問いを忘れずに、日々の臨床に取り組んでいきたいと感じています。

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