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Make Someone Smile


フラストレーションに居場所をつくり、
感情がめぐる社会を育てる

不安、怒り、孤独、フラストレーション。
言葉にならないまま、置き去りにされた感情。
社会の競争の中で、居場所を見失ってしまった声。
そのすべてが「なかったこと」にされやすい現代において、彼らの感情は、社会のどこにも引っかからず、見えなくなっていく。私たちは、そんな人たちに絵の具を手渡します。

描く人、見る人、届ける人、支える人。
それぞれが、それぞれの位置に立ち、互いに触れ合い、言葉では届かなかった想いが、色となり、かたちとなり、あるいは問いとなって、誰かの中に静かに響いていく。
この「循環」が、make someone smileが目指している未来です。

課題


いま、社会のあちこちで、怒りや衝突、不寛容が噴き出しています。人と人がわかり合えず、分断が深まり、世界のどこかで戦争が起き、日常の中でも見えない暴力や排除が静かに繰り返されています。けれどその根底に、ある共通した問いが横たわっているように思うのです。それは「私たちは、フラストレーションをどう扱えばよいのかを学ばずに大人になった」ということではないでしょうか。誰しも、生きていれば思い通りにいかないことがあり、傷ついたり、怒ったり、悔しかったり、もどかしなどといった感情が生まれます。でも、その感情を「どう消化するか」「どう外に出すか」という術を、私たちは教育の中でも、社会の中でも、十分に教わってきませんでした。

ただ耐えるか、押し込めるか、我慢するか。あるいは、他者にぶつけることでしか、どうにかならないような状態で生き続けてきたその結果、フラストレーションが行き場を失い、個人の中に蓄積し、社会の中に不穏な形で拡がっている現状があります。誹謗中傷や、争いや支配、無関心、差別、損得だけで動く価値観など。こうしたものは、感情の居場所が奪われてきた社会が生み出した副産物ではないでしょうか。

make someone smileは、そうした構造に小さな回路を開くプロジェクトです。

それは、フラストレーションという感情にまず目を向け、
それを丁寧に「表現」へと変換する場をつくることから始まります。

なぜ今、フラストレーションに目を向けるのか


いま、世界のあちこちで、衝突や分断、怒りや無関心が表面化しています。戦争や犯罪、誹謗中傷や差別、支配や排除――そうした現象の根底には、私たちが「フラストレーションの扱い方を学ばないまま大人になった」という構造的な問題があります。傷ついたり、悔しかったり、伝わらなかったり。生きていれば、誰にでもそんな感情は訪れます。けれど、その感情をどう消化し、どこに置けばいいのかを、私たちは教育や社会の中で教わる機会がほとんどありませんでした。ただ我慢するか、見ないふりをするか、それでも抱えきれなくなれば、他人にぶつけるか、自分に向けるか。そうして、居場所を失ったフラストレーションが、いまの社会に不穏なかたちで蓄積し続けています。この蓄積を減らす必要があると考えています。

感情が社会へとめぐる構造


生まれた作品は、その人の中で完結するのではなく、展示や発信を通じて社会に届けられます。誰かがその絵に出会い、ただの作品としてではなく、自然と問いが芽生えるような時間が生まれます。「この絵を描いたのは、どんな人だったのだろう?」「この色、この線には、どんな思いがあったのだろう?」そうした問いは、社会の中で見えにくかった存在に対してまなざしを向けるきっかけになります。それは、“理解”や“共感”を強いるものではなく、「知らなかった誰かに、関心をもつ」という、ごく小さな始まりです。この関心が、社会の輪郭を少しずつやわらかく変えていきます。

社会の影にいる人々


このプロジェクトの主役は、社会のなかで声を上げづらい場所にいる人たちです。障害のある方、不登校や引きこもりの子ども、闘病中の人、ケアを担う人、虐待や貧困を経験した若者、家族や制度からこぼれ落ちた人たち。彼らが抱えているフラストレーションには、個人の問題だけではなく、社会が直視できていない課題が凝縮されています。その感情は、制度や政策の中ではなかなか拾いきれない。だからこそ、「表現」という別の入口から、それを社会の中に見えるかたちでそっと差し出す必要があります。

「つながっていないハート」が象徴するもの
ハート(♡)は人類の歴史を通じて進化し、生命力や愛、友情、共感といった普遍的な価値を象徴するシンボルです。この普遍的な意味の上に、新たな価値としてmake someone smileの世界を創造しました。
通常のハートはつながって完全な形をしていますが、このハートはあえて開かれています。これは、未完成の部分が「受け入れる心」と「分け与える心」を象徴し、他者との見えない繋がり、共生と共創のためのスペースを示しています。

感情の循環を支える企業の関わり方


このプロジェクトには、企業の存在も組み込まれています。絵を描くための画材やキャンバス、展示の空間、発信の場など、表現の循環を具体的に支える資源を、企業の力によって用意していきます。企業はただの“支援者”ではありません。誰かの感情が表現となり、それが社会の中で問いや視点を生み出すという循環のなかに、企業もまた「関係の担い手」として参加していきます。それはCSRやブランディングといった枠を超えて、企業が「社会の中でどう関わるか」を見つめ直す新しい選択肢でもあります。このプロジェクトは、見えなかった存在を浮かび上がらせ、関係性を耕し、社会の価値観やつながり方に、静かな更新をもたらしていきます。

「表現」を、すべての人へ


これまで、フラストレーションを表現に変える力は、アーティストと呼ばれる一部の人々のものとして認識されてきたかもしれません。苦しみや怒り、不条理を作品として昇華し、それを社会に届けることで、新たな問いや視点を生み出してきた彼らの営みは、確かにひとつの希望のかたちでした。でも、その営みは、本来すべての人に開かれていてもよいものではないでしょうか。表現は、限られた誰かの特別な才能ではなく、人が生きていく中で自然と生まれる営みのひとつとしてあってほしい。make someone smileは、その最初の一歩をひらくプロジェクトでもあります。誰もが、自分の内側にあるフラストレーションを表現として外に出し、それが誰かのまなざしと出会い、新たな循環を生み出す。そのプロセスを、すべての人に差し出したいのです。

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