企画側もキラキラしてたはず⭐︎──あつまれキラキラ★百箔繚乱[レポ011]
市谷の杜 本と活字館の企画展には、これまで二度ほど関わらせていただいたことがある。
そんな縁もあって、館のスタッフの方から「ぜひ見に来てください」と勧められていたのが、今回の企画展「あつまれキラキラ★百箔繚乱」だった。
僕は印刷好きでもあるし、箔というテーマにも正直かなり惹かれていた。
それでも日々の仕事に追われ、なかなか時間を作れずにいたのだけれど、ようやく足を運ぶことができた。しかも今回は、SKGスタッフ全員を連れて。
「百箔繚乱」というタイトルを聞いたとき、百種類もの箔が並ぶというし、さぞ煌びやかな会場なんだろうと想像していた。
けれど実際の会場は、「繚乱」と言いつつも、本と活字館の空間ととても良い距離感で馴染んでいる。派手になりすぎず、でも確かに楽しい。さすが。
展示デザインはCBK(中沢仁美さん+大重頼士さん)、グラフィックデザインは高田唯さんと秋山エドガルさん。
キービジュアルだったり会場に散りばめられた “mysterious friends(ミステリアス・フレンズ)” と名付けられた小さなキャラクターたちも、てっきり高田さんの手によるものだと思い込んでいたのだけれど、実は霜田哲也さんのアートワークだったと知って、少し驚いた。
案内してくださった館のスタッフさんに聞くところによると、高田さんと霜田さんが一緒に仕事をするのは今回が初めてだったらしい。
デザインとキャラクターが無理なく同じ空気をまとっていて、ずいぶん相性が良い。よく出会えるものだ。
展示の進め方もとても親しみやすい。
小さなキャラクターたちが語りかけるように説明してくれる構成は、肩肘張らずに見られて良いし、「なぜ人はキラキラに惹かれるのか」という問いから入る導入も、自然と展示の世界に引き込まれる。


個人的にうまいなと思ったのは、箔がロール状であることを、説明ではなく展示で示していた点だ。
天井から吊るされた箔を見ることで、「あ、こういう形なんだ」と身体的に理解できる。
おそらく多くの人が知らないであろう事実を、押しつけがましくなく伝えている。


また、メディアでは目にしていたものの、実物を見る機会がなかった祖父江慎さんや小玉文さん(BULLET Inc.)の仕事を、この場で見られたのも嬉しかった。


版そのものの展示もあり、圧のかかりかたの調整の仕方が見れる、といったとてもマニアックな視点をくすぶられる一方、強いて言えば、僕個人としては彫刻版のように立体的に浮き出る版や、オスメス版も見てみたかった、という欲は少しある。

以前、GRAPHでは(僕が出た後だと思うけれど)「調子箔」と呼ばれる箔を多く取り入れていて、その版もどこかで見てみたいと思っていた。
ただ、そこまで踏み込まない、と判断したうえでの企画だったのだろうとも思う。
玄人向けに寄せすぎず、多くの人に「箔って面白い」と感じてもらう。そのバランス感覚も、この展示の魅力なのだと思う。
全体を通して感じたのは、主催する側も展示内容を楽しんで企画しているだろう、ということ。
その空気が会場に滲んでいて、見ているこちらまで自然と楽しくなる。

おまけ。最後は純金箔入りのアイスを、スタッフみんなでしっかり堪能して帰った。

会期:2025年10月25日(土)~2026年02月15日(日)
会場:市谷の杜 本と活字館
協力 関西巻取箔工業、クルツジャパン、美箔ワタナベ、村田金箔グループ
展示デザイン 中沢仁美、大重頼士(シービーケー)
グラフィック 髙田唯(Allright)、秋山エドガル
アートワーク 霜田哲也(cinderella 2000 studio)
