#2 会社に行けなかった朝
2024年6月。
梅雨の雨がしとしと降り続く、ある朝のこと。
布団の中で目を覚ましたのに――
体は鉛のように重くて、まったく動かない。
夜に眠ったはずなのに、
なぜか早朝の3時や4時に目が覚めてしまう。
眠りは浅く、頭はずっとぼんやり…。
時間だけが、ただ過ぎていく。
新聞を手に取ってみても、
内容が頭に入らない。

そして、仕事のことを考えると――
なぜか涙が出てきた。
「会社に行きたくない…。
でも行かなきゃ…。
どうしよう…。
休んだらみんなに迷惑をかけてしまう…」
そんな風に、自分を責めるような思考がぐるぐる回る。
きっと同じ経験をした方なら、この感覚が分かると思う。
頭では「無理しない方がいい」と分かっているのに、
心は「それでも行かないと」と自分を追い詰めてしまう。
結局、私は電話を手に取り、上司にこう伝えた。
「体調が悪いので、今日はお休みさせてください」
…正直、罪悪感でいっぱいだった。
でも、心と体がついていかない。
そんな日が、数週間に一度、繰り返されていた。
妻は心配そうに声をかけてくれた。
「病院に行こう」
その一言に、少し救われた気がした。

心療内科で、医師から言われた言葉。
「少し休みましょう」
思わず私は聞き返した。
「どれくらいですか?」
「少なくとも1ヶ月は」
その瞬間、ホッとした自分がいた。
「休んでもいいんだ」って。
でも同時に、頭の片隅ではこんな考えが浮かぶ。
「会社に、なんて言おう…」
診断書を受け取り、家に帰ると――
ただ、時間が止まったようにぼーっとしていた。
その後、上司からは意外にもあっさりとした言葉。
「診断書を送ってくれ」
たったそれだけだった。
安堵と、不安。
心がふたつに引き裂かれるような感覚。
「やっと打ち明けられた安心感」
「でも、これからの生活はどうなるんだろうという不安」
両方が入り混じる、そんな朝だった。
こうして私は休職することになった。
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