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#10 うつ病の症状を和らげるのに、私が始めた音読は本当に効果があったのだろうか?

音読との出会い

うつ病の療養中、私は新聞や本を読んでも、まったく頭に入ってこない時期がありました。

「ただ黒い文字の塊を目で追っているだけで、何も理解できない…」

そんな感覚でした。

読むこと自体はできるのに、内容が心に届かない。

ページをめくる手も重く、自己嫌悪だけが積み重なっていきました。

音読を知る

そんな時に出会ったのが「音読」でした。

音読は「目で読む」だけではなく、「口に出す」、そして「耳で聞く」。

インプットとアウトプットを同時に行うことで理解が深まる――。

そんな言葉をどこかで目にして、試してみようと思ったのです。

「目で読むだけじゃダメでも、声に出せば変わるかもしれない」

半信半疑でしたが、実際にやってみると驚くほど効果がありました。

声に出すと、不思議と文字が生きてくる感覚があったのです。

松下幸之助『道をひらく』との出会い

しかし、療養中に長い文章を読むのは正直つらいものでした。

「もっと短い文章で、無理なく続けられるものはないだろうか」

そう思って本屋に足を運び、たまたま手にしたのが松下幸之助の『道をひらく』でした。

この本のいいところは、まず文章が短いこと。原稿用紙1枚分ほどのボリュームで、無理なく読めます。

さらに本のサイズも手のひらに収まる小ぶりなもの。

持ち歩いても負担にならず、どこでも開ける気軽さがありました。

そして構成が素晴らしい。

困難なとき、人間関係に悩むとき、仕事でつまずいたとき――。

状況ごとに分けられていて、その時の自分にぴったりな言葉を選んで読むことができるのです。

「まさに今の自分に必要な言葉だ」

そう思える文章に出会えたときは、本当に心が救われました。

この本は今でも私のバイブルです。

音読の実践

音読をしてみると、まず気づくのは「意外とすらすら読めない」ということでした。

「え、こんなに漢字が読めなかったっけ?」


と驚くこともしばしば。

読めない漢字はあらかじめ調べて、横にふりがなを振る。これも一つの勉強になりました。

次に気づくのが「息継ぎのポイント」。

声に出すことで、自然に「ここで一息つきたい」という区切りが見えてきます。

そこに斜線を入れておくと、次からはもっとスムーズに読めるのです。

そして最後は「人に聞かせるように読むこと」。

ただ声を出すだけでなく、誰かに届けるような気持ちで読むと、さらに理解も深まりました。

音読の効果

療養中の最もつらい時期には、1つの文章を読むだけで精一杯でした。

「それでも…たった1つの音読が、確かに自分を支えてくれている」

そんな実感がありました。

そして続けるうちに、1つから2つ、3つと増やせるようになり、気づけば読める量が増えていきました。

お気に入りの文章には◎をつけて、何度も繰り返し読みました。

そうすることで「自分だけの大切な言葉」が増えていったのです。

音読を終えた後は、なんとも言えない清々しさがありました。

運動の後の爽快感、カラオケで思いきり歌った後のすっきり感――。

言葉にするのは難しいけれど、とても気分が良いのです。

音読のすすめ

ただし、音読は気持ちよくて止まらなくなることがあります。

うつ病の療養中は、体調に合わせて「読む量」を調整することが大切です。

「今日は1つだけでいい」

「ちょっと余裕があるから3つ読んでみよう」

そんな風に無理なく続けていくのがポイントです。

音読は、うつ病の回復に限らず、

「もっと本を理解したい」

「言葉を深く味わいたい」

という方にもおすすめできる方法です。

「目で読む」だけではなく、

「声に出して、耳で聞く」

たったそれだけで、言葉が心に届く力は大きく変わるのです。

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