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今の私はこの3冊でできている

「本棚を見れば、その人がわかる」という格言がある。

ということは、自分のことがわからなくても、本棚を見たら自分がどんな人間かわかるということだ。

会社員をしていた頃、実用書やビジネス本が本棚を陣取っていた。読みたいというよりも、もっと力をつけなくては、と焦りにも似た思いで読んでいた気がする。

フリーランスになった5年ほど前からは、小説やエッセイ本が増えた。

文章を書くためには、心が豊かになるものに触れた方がいいと思ったからだ。元々、小説やエッセイ本が好きなこともあり、さらに本を読むのが好きになった。

そして、今。価値観の土台となっている3冊を選んでみた。果たして私は、どんなことに興味を持っているのだろう。


風と共にゆとりぬ/朝井リョウ


エッセイ「ゆとり三部作」シリーズの一冊。

『時をかけるゆとり』も『そして誰もゆとらなくなった』も公共の場では読めないほどおもしろかったのだが、本書は爆笑しただけでなく、「変わろう」と決めたきっかけにもなった。

私は友達が多くない。積極的に増やしたいという気持ちもない。そんな考えなので、コラム「大人のための友達論」で紹介された「実際に友達が少ないけど、幸せ」を主張する人の意見に、大きく頷きながら読んでいた。

だけど「実際に友達が多いし、幸せ」側のとある一言に衝撃を受けて、自分のことが恥ずかしくなった。

自分のことを「友達を誘って断られたら悲しいので、誘えないタイプ」だと決めつけていたが、そうではなく。朝井リョウさん同様、自分の誘いは断られないだろうと思っていたのだ。なんという傲慢さ!

ただ傲慢なだけで、人見知りでもなんでもなかったのかもしれない。友達が多い、という人を斜めに見ていた自分が嫌になる。

本書を読んで以来、もっと人と関わりたいと思うようになった。

子どもの園でも積極的に話しかけるようにしたり、昔の友達に久しぶりに連絡を取ったり。新しくできた「書く仲間」とランチに行く約束をしたのも楽しみだ。家族ぐるみで遊びに行ける友達も増やしたい。

今年が終わるころには、プライベートで遊びに行ける友達が増えていたらいいなぁ。

なぜ働いていると本が読めなくなるのか/三宅香帆

新書とは、その分野の要点がわかりやすく一冊にまとめてある専門知識の入門書だ。

あまり馴染みがなかったが、三宅香帆さんのYouTubeで「新書こそがもっとも最高の読書ジャンルである」と紹介していたことがきっかけで、手にするようになった。

本書は内容もさることながら、新書っておもしろい!と知的好奇心を刺激してくれた一冊でもある。

娯楽としての本も好きだが、学ぶことも好きなので、教養を身に付けるために読むことも多い(身に付いているかは置いといて)。

新書は情報が簡潔にまとまっているので理解しやすく、なぜ今まで読んでこなかったのだと後悔しっぱなしだ。

学生時代は勉強することが当たり前だったが、社会に出てからの方が人生は長いので、これからも何かしらの勉強を続けたい。

特に私はフリーランスということもあり、学びは必須だ。特別に学びたい分野がなくても、何かを知るということは楽しいし、会話のきっかけにもなる。

「学ぶことが好き」にさらに火をつけてくれた本書。家族から「雑学王」と異名をとるほど役に立たない雑学をひけらかしているが、もっとひけらかすためにも新書を読み漁ろう。

「そうだ京都、行こう。」の30年

JR東海のCMやポスターでおなじみの「そうだ京都、行こう。」

私は関西在住なので、CMもポスターも見たことがなかったが、それでもなぜか知っていた。

たまたま書店で写真集を見かけ、何の気なしにペラペラっとページをめくると、めくる手が止まらなくなるくらい写真やキャッチコピーに魅了され、荷物がいっぱいだったにも関わらず、迷わずレジに向かってしまった。

「そうだ京都、行こう。」は、「京都を歩く旅人の男性が、東京に住む大学生の姪に向けて書き溜めるとしたら」がコンセプトとなっている。

キャッチコピーは口語なので、本当に旅人の男性と話しているかのよう。だから、圧倒されるくらい美しい写真にも関わらず、古都・京都に親しみを感じることができる。

短い言葉で京都の魅力を表現しているキャッチコピーは、何度読んでも鳥肌が立つ。特に天龍寺の紹介は、毎回涙が出るくらい心が震える。

長い争いの時代を
変えたい、と
植えられた桜でした。

「そうだ京都、行こう。」の30年

「ぜひ行ってみてください」と書かれていなくても、今すぐ行きたくなってしまう。

「言葉」を仕事にしている私にとって、こんなにも心を揺さぶられる言葉を書けるコピーライターのことが、嫉妬するほど羨ましい。

ページを開くたび、誰かの心を動かす文章を書きたい、京都の魅力を書いていきたい、と感動だけではない、さまざまな感情がわき起こる。だから、書くことをやめられないのだと思う。

「本棚を見れば、その人がわかる」というけれど、どうやら私は、これからも世界を広げながら学び、書いていく人間だということがわかった。

この記事は、京都在住エッセイスト・ライターの江角悠子さんが主催しているオンラインサロン「‎京都くらしの編集室」の「noteチャレンジ」4月のお題「【本】私という人間を定義した3冊。今の自分の価値観の土台になっている本。2026年度のはじまりに、自分の現在地を確認する」というテーマで書きました。


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