転生したらポンコツだった件~最凶スキル持ちの苦悩~
数年前から流行っている、異世界転生モノ。
大抵は、転生した主人公がなんらかの "スキル" を持って、あらゆる困難に立ち向かっていく姿が描かれていたりする。
実を言うと、私もまた「スキル」持ちである。
ちなみに、残念ながら、転生者ではない。
『転生したらポンコツだった件』というタイトルで、自分の半生を描いても良さそうだが、需要がなく実現しないと思われるため、今回の記事で無理矢理タイトルに使うことにした。
さて、私が持つスキルとは一体何なのか。
今ここで、わたしの最大の秘密を皆さんにだけお教えしよう。
国家機密レベルの情報なので、取り扱いには十分注意していただきたい。
スキル名:「忘れる」
「ん?なんだって?」と思った方のために、もう一度。
耳の穴かっぽじって、しっかり聞いてください。
スキル名:「忘れる」
おそらく、多くの方が「何言ってるんだ、こいつ?」「頭大丈夫か?」と思ったことだろう。
はっきり言っておくが、
大丈夫か、大丈夫じゃないかと聞かれたら、大丈夫じゃない。
だいぶポンコツに仕上がった人間なもので。
(トホホでやんす。)
しかし、わたしは、このスキルを持っているからこそ、ここまで生きてこられたと本気で思っている。
辛いことや悲しいこと、そういうものをたくさん"忘れて"生きてきた。
"忘れた"おかげで、生きてこれた。
悲しみで涙が枯れるほど泣きじゃくったことも、苦しくて死にたいと思ったことも、怒りに打ちひしがれたあの時の感情も、今はもう忘れている。
忘れるというスキルは、人を生かしてくれるのだ。
でも、表裏一体とはよく言ったもので、”忘れる”というスキルには決定的な欠陥がある。
それは、嬉しいことも、楽しいことも、喜びに涙したことも、忘れたくない素晴らしい思い出すらも、嫌なものと同じように忘れてしまうことである。
チートスキルなんて夢のまた夢。
小説や漫画やアニメのように、世の中はそんなにうまくは行かない。
それでも、わたしたちは生きていかなければならない。
ああ、人生とは、なんと険しく果てしないのだろうか。
🐎🐎🐎
先月のことになるが、令和のナポレオンこと我が娘・まるのピアノ発表会があった。
娘は「ここぞというときに“なにか”あるで症」という、これまたレアなスキルを所持しており、今回も例に漏れず、強制的にスキルが発動した。
発表会の1週間前に水疱瘡を発症したのだ。
「もうダメかもしれない...」と絶望しかけたものの、まるは驚異的な回復力を見せ、奇跡的に発表会の参加が可能となった。
このあたりのことは、以前書いた記事に書いている。
そして、発表会当日を迎え、会場でお会いした先生に「今日という日を迎えられただけで、私たちは十分満足です」と挨拶したところ、先生が言った。
「本当に良かったです。まるさんは、本当にこの数ヶ月、色々と大変でしたから」
その瞬間、私の頭にクエスチョンマークが浮かんだ。
「……え?“色々”ですか?水疱瘡だけでなく???」
水疱瘡のことは、もちろん覚えていた。
数日前までやきもきしていたのだ。
すると、先生が驚いた顔をしながら、言った。
「え?水疱瘡もですけど、発熱とか、指とか、”色々”あったじゃないですか。」
「・・・・・・・」
吾輩、きょとん😳である。
徐々に、わたしの記憶という名の引き出しが軋みながら開き始めた。
指?熱?
…...あ、あああ!!
そうだった!!!!!!!
まるちゃま、そういえば、親指の爪が剥がれていた!!!
経緯としては、親指にバイ菌が入り、親指がパンパンに腫れ上がった。(瘭疽というらしい)。
痛みと熱を伴い、まるは夜眠れないこともあった。皮膚科(形成外科)には2回通い、外科的処置と薬を処方してもらった。
指が腫れすぎて、最終的にまるは親指の爪とお別れしていた。
しかも、親指事件の前には、熱と咳で病院にも行っていた。
皮膚科や病院に毎週のように通っていたこと、娘が親指が腫れて痛みに涙していたこと、腫れた後に親指の爪が剥がれてしまったこと、その間ピアノが弾けなかったこと、レッスンも6月はほとんど行けなかったこと。
そういった全てを綺麗に忘れていたのだ、ワタシッテバ。
そして、ようやく親指の症状が落ち着きピアノが弾けるようになったと思ったら、
ラスボス・水疱瘡、登場😱
「もうこれまでか…」と思われたが、ギリギリのところでなんとか最悪の状況から抜け出すことができた。
よくぞここまで乗り越えた、まる…そして私(&夫)。
しかし、親指と発熱のこと……
すっかり、うっかり、さっぱり忘れていた自分に、正直びっくりした。
そのあたりの記憶、どこ置いてきた?
でも、それが私の仕様。
「忘れる」という最凶スキルを会得してしまった、わたしの宿命。
そして、色々なコトを忘れていても、発表会はやってくる。
🏢👗🏃♀️
会社の先輩がくれたお下がりの素敵なドレス。
親娘で前々から、「発表会にはこのドレスを着ようね」と言っていたのに、発表会前日のレッスンで「この教室では、発表会でドレスを着ない人が多い」と聞かされた。
それを聞いた娘から、ドレス着用拒否の意向が示されたため、急遽レッスン終わりの17時から百貨店をハシゴすることになった。
発表会に着る、普段着以上ドレス未満の服を探す旅が始まった。(発表会前日の17時から)
対応してくれた百貨店の店員さんに「遅すぎませんか?」と驚きと呆れの入り混じった複雑な顔をされ、私は「ですよね!わたしもそう思いまスー」と、とびきりの笑顔と共にスーを差し上げておいた。
とにもかくにも、もう悩んでいる暇はない。
服を買えば、違う店で「この服にあう靴がほしいです」と言って靴を求め、靴を買えば、違う店で「この服とこの靴にあう靴下がほしいです」と店員に丸投げした。
もはや、コーディネートRPG。
百貨店という名のダンジョンを駆け抜け、数々のドロップアイテムを取得し、ようやく装備を整えたまるは、翌日、戦場に立った。
爪を失った指を抱えながら、それでも彼女は堂々とステージに立った。
何度も練習を重ねた、あの一曲を迷いなく、弾ききった。
静かな会場で、娘の指が奏でる音に耳を傾け、聞き漏らさぬように、見逃さないように、息をのんで見守った。
あの高熱も、指が腫れた痛みも、爪が剥がれて驚いたことも、水疱瘡でかゆみに耐えたことも、百貨店の激走も、全部がこの一瞬につながっている。
そのすべてを、彼女は、何ごともなかったかのように、力強く逞しく、まっすぐな瞳で乗り越えてみせたのだ。
これまでの長い道のりを、ほぼ忘れていたわたしだけど、今日の娘の演奏を見て、全部がちゃんとこの瞬間につながっていたんだと感じた。
🎹🎹🎹
ヒヨコ帽子をかぶって、家であどけなく笑ったあの日。
卒園式で、デカガーゼを外して、みんなと笑っていたあの日。
そして、ミッキーマウスマーチを弾ききった、まるの記念すべき“初陣”。
思い出すだけで、笑いと共に涙が浮かんできそうな、そんな素敵な思い出たち。
そんな思い出を、わたしは忘れてしまう。
忘れても、確かに生きていける。
だけど、忘れたくないものだって存在する。
でも、否応なくスキルは発動してしまう。
忘れることを止められない。
であるならば、残そうと思った。
このnoteに。
忘れてもちゃんと思い出せるように。
未来の私が、ちゃんと思い出せるように。
忘れることは、私のスキルであり、生きる知恵。
そして、
記録することは、未来の私への、最高のギフトなのだ。
🎁🎁🎁
これを読んでくれた、そこのあなた。
もしあなたも“忘れる”というスキルを獲得してしまった仲間ならば、ぜひ”noteに記録する”、というスキルも取得してほしい。
忘れてもいい。
思い出せばいい。
思い出すために、書けばいい。
何気ない日々の、でもその日々の中にあるたくさんの宝物を。
落として、なくしてしまわないように。
noteという道具に記録して。
📖🖊️✨
令和のナポレオンの初陣も、こうしてしっかり刻まれた。
これで、忘れても大丈夫😌
ちゃんと記録しておいたから👍
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【転生したらスライムだった件】
今回は、みなさんすぐにピンときたと思います。なんせ、リムル(主人公・スライム)がいますから。
この作品は、現世で命を落とした主人公が、スライムとして異世界に転生し、驚異的なスキルを駆使して仲間と共に成長していく物語です。チート級の能力と温かい人間関係(人じゃない種族ばかりですが…)が魅力で、笑いあり感動ありの王道転生モノ。
漫画は29巻まで。そしてアニメ化もされており、Amazonプライム会員なら、シーズン1と2を無料で見れます。

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