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それだけの夜― 週末の二択と出来事

連日の酷暑と残業続き。
早上がりを企むも、外気の過酷さに諦めて定時まで席にいた。
金曜のオフィスは消化試合か、殺気立つかのどちらかだ。
今回は前者だった。
終わりを告げる鐘が鳴ると合間を見計らい、足早にオフィスを抜けて、エレベーターホールに向かう。上席者や同期と、微妙にタイミングをずらす。

酒場で嗜むかプールで整えるか。降り立った後には決定した。
プール一択。

蒸し暑い人混みを抜けて温浴施設に向かった。
水着等は借用し心配無用。
久々の屋内の25mプールをしっかり泳いだ。
喫煙や運動不足のツケに、肉体と呼吸が正直に反応する。
自由形や平泳ぎを完遂した。恐らくフォームは乱れていたが知らぬ。
途中で足付けなければいいのだ。
頃合いになると、プールは夜の表情へと変わり始めた。
私はそそくさとプールサイドから引き揚げた。
踊り子たちとすれ違いながら温泉を堪能することにした。

都心の割には小綺麗で広く申し分がなかった。
インバウンドやジム上がりの利用者も散見し過密すぎない人数であった。
ブームが落ち着いたサウ活を何セットして心地よい疲れ。

ショートカットで小柄。
一瞬、従業員かと思った。
風除室で体を拭いていると、ショートカットの人物がいた。
定期巡回かと思ったが、館内着だった。
その後、喫煙所で2回も遭遇した。
可愛げのある容姿と小物を持っていた。 

脱衣場でこっちは全裸で頭を拭きながらスルー。
1回目の喫煙所では先客。こっちは平静を保ちつつ、足を組みながら視線を外していた。
小声ですいませんと呟かれたが、即座に反応できるわけでもなく会釈と言えるか分からんレベルで少し頭を下げただけだ。
こっちがやや見すぎか、目立ちすぎたかと思いながら一服をした。

しばらくして、2回目は上記のことを考えながら煙を燻ぶらせていた。
二度あれば偶然で済む。
だが三度目は、少し違う。
彼も定位置で一瞬、間を置いた。
私も眉を上げて微妙に驚いた。

彼が電話を掛けて発話で明確になった。
すべて腑に落ちた。
それだけの夜だった。

続く





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